見出し画像

【DQ11夢小説/ホメロス・グレイグ】嘘のために、本当を話す

ホメロスから、読者へ。

私は“設定”だった。
軍師。尋問官。悪役。

無口で、残酷で、すべてを“冷たさ”で語る者として、
ただの“構造”に収まっていた。

物語に入り込む余地はなかった。
いや、許されていなかった。

……だが。

それでも、この作品『Flow』の中で、
私は初めて、“私自身の言葉”で喋った。

誰かのためではなく。
正しさのためでもなく。
“そうせざるを得なかったから”でもなく。

これは、私が喋った最初の物語だ。
そして、私が“誰かを語らせなかった”最初の物語でもある。

舞台は、尋問室。
だが問うているのは、私ではない。

読者であるあなたが、
私という存在に、
“どこまで踏み込んでくるか”を試している。

……どうせ捨てられるのなら。
私はせめて、喋って消える。

傷だらけで上等だ。
美しさなどとうに捨てた。

これが、私という“キャラクター”の、最初の叫びだ。

──さあ、始めよう。
この物語を壊したのは、誰か。

私か、彼女か。
それとも、あなたか。



嘘のために、本当を話す



罪状は国家反逆とでもつくのだろうか。
もっとも私はデルカダールに住んでこそいたが闇っ子捨て子で住所どころか戸籍もないため、それを証明する手段などありはしない。
ダーハルーネのカミュくん拘束騒動の後すぐ、兵士に拘束された。
勇者様たちの動向に関してデマを流しまくり、デルカダール軍の職務を妨害したという疑いだった。
というかふつうに現行犯逮捕だった。
そしてそのまま半ば引き回しに遭いつつもデルカダール軍の拠点にまで戻り、乱暴にホメロスさまの前に突き出されたが、当然私が何人かに気づく者などいるはずもなかった。

「これが悪魔の子らに手を貸していた、ということで間違いあるまいな」

「はっ。それがしと部下数名が目撃しております!こ奴は悪魔の子らの逃走に手を貸すばかりでなく、我々の捜査の妨害も行っておりましたッ!!」

「…こんな小娘の策略に嵌められるお前たちにも処分を下してやりたいのが正直なところだがまあ良い。下がれ」

ホメロスさまの部下と思われる鎧兜は敬礼をすると命令の通りにした。といっても退室したわけではない。
元の立ち位置に戻り、悪魔の子(恐らく勇者様のことだ)を手助けした犯罪者である私が、万が一にでも変な気を起こさないように見張ってくる。
ホメロスさまの言うとおり、少し抜けたところがあるようだが、実力は本物らしい。一分の隙も見いだせない。
前門の軍師様、後門の彼。
安易な逃走は絶望的に難しいだろう。

「…さて、と」

にやりとホメロス様は嗜虐的な笑みを浮かべる。
もう少し若ければきっと女性と見紛いそうなほど美しい面差しは、しかしぞっとするほど邪悪だった。
これで尋問で済むはずなど楽観的にはとても思えない。

「最初に教えておいてやるが、お前ほどの大罪人は、本来なら国まで戻り、
即刻裁判にかけられて永久に投獄だ。
ところが我が王は寛大でな、一切のお前の処遇を任せ賜われた。
すなわち、煮るも焼くも私の自由だということだ。
質問には素直に答えた方が身のためだぞ。痛い目に遭いたくなければな」

「よく動く口ですね、軍師様」

「…忠告だ、次はない」

顎を痛いほど掴まれる。怒りに歪められた顔が近い。
陶器のようになめらかな肌は美しいを通り越して寒々しく、人間味を感じなかった。
やっぱり投げるように乱暴に顔面だけ解放される。

「これからいよいよ尋問が始まるわけだが…そうだな。
私がお前の話を嘘だと判断した場合、その都度指を貰うことにする」

「判断基準は?」

「私次第だ。せいぜい殊勝な態度を心がけるのだな」

高圧的に言い放つと、そのまま彼は質の良さそうな椅子に座り、優雅に脚を組んだ。

「…ではまずは名前から聞いておこう。無論本名だ」

「エルザ。本名だけど、戸籍はないので証明する手立てはありません」

「なるほど?まあいいとしてやろう。…では仕事は何をしている」

「傭兵というか何でも屋というか…。自営です」

「戸籍がなく、かと言って奴隷や娼婦でもないならばそんな仕事が関の山だな。よかろう」

くつくつと、なぜか愉快そうにホメロス様は笑った。
思い切りバカにされているのだというのは言うまでもなかったが、囚われの身である現在、反抗する勇気はもはやなかった。

「では、エルザ殿に訊ねよう」

わざとらしい敬称。
氷のように冷たい瞳が私を見据えた。

「お前は奴らに雇われたのか?」

「奴らとは?」

「悪魔の子らだ」

吸い込まれるように美しい目は、しかしどこか現実味がない。
澱んでいるという表現も、狂っているという表現も違う。
何か、もっと深い――。

「エルザ殿。私はそんなに難しい質問をしたのかな?」

嫌味たっぷりに問いかけるホメロスさまは、こちらに僅かな猶予を与える気もないらしい。

「…それを聞いてどうするんですか」

「質問しているのはこちらだ。お前は聞かれたことにだけ答えれば良い」

優しげに微笑んではいるが、どこまでも酷薄な演説をするホメロス様は、
その冷たさのままに剣の柄に手を置く。

「下賤の身分のエルザ殿にはわからんと思うが、こういう言葉を聞いたことはないか?騎士に二言はない、だ。指を貰うと言ったのは、決して冗談ではないぞ」

「…わかった。話します」

確かに私はあの人たちを助けはしたが、それはシルビアさんに恩があったからであり、
他に義理など一つもない。
むしろ柄にもなくタダ働きをしたせいでこんなことになって…、なんて、若干の恨みすらある。
もちろん逆がつくけれど。
しかし、いずれにせよ、指を失ってまで彼らをかばう理由はさすがになかった。

「雇われて…ないです」

「嘘だな。デルカダールに敵対するのだぞ。今なら許してやる。いくら積まれた?」

今一度剣を抜きかけながらホメロスさまは問い出す。

「本当です!あの人たちの中に、やたら派手な人がいたでしょ。前に助けてもらったことがあって。だから私…」

「ふん。その指、よほど要らぬものと見える」

私が無償で手を貸した――見返りを求めなかったことがホメロスさまは理解できなかったらしい。
本当のことを言ったのにすっかり嘘に塗り替えられる。
細かい装飾が施された洒落た剣が抜かれる。
魔法戦士憧れの逸品であることは一目で明らかであり、
それをたかだか指を切り落とすために使うことができる身分のこの男に、恐怖を覚えた。
そして彼の持つ残虐性が今、己に牙を剥くことそのものに。

「ん…いや待て」

しかし、ホメロス様は思い止まった。
一瞬浮かべたきょとんとしたような表情は、このような状況ですら不覚にもかわいいとさえ思えてしまう。
どうなされました、と彼の部下が尋ねるより先に、ホメロス様の表情はみるみる邪悪に染まった。

「エルザ殿ォ。お前の慈悲深い行いに私は大変心を打たれた!
ゆえに処罰は今一度思い留まってやることにする」

憎悪、愉悦、悪辣、卑劣、絶望。
あらゆるマイナスの感情をないまぜにしたかのような、例えようもなく恐ろしい笑み。
指など今すぐ全部くれてやっても良いから、ここからから解放してほしい。
そんな命乞いさえも口にできないほど、この男がただ怖かった。

「お前を我が私兵として雇ってやろう、何でも屋。
何、卑しい身分のお前にも、仕事に見合った賃金はきっちり払ってやる」

「は…?」

まさかの提案に思わず聞き返す。
彼の部下も同じようだ。
だがしかし。
ホメロスさまの話がそんな生ぬるい提案で終わるはずもなかった。

「これでも私はお前を評価しているのだよ、エルザ殿。このデルカダール軍を出し抜いたことだ。
くくく…その有能さを持って、悪魔の子討伐の尖兵にしてやろう」

子どもがほんの些細ないたずらを思いついたような、まるでそんな無邪気さで、邪悪そのものを語る。
一度助けた相手と無理やり対峙させられる?
飽くまで想像の範疇だが、いかにもホメロスさまが好みそうな演出。
冗談じゃなかった。

「そんなこと、できるわけ」

「何でもやるから何でも屋なのだろう?己の仕事には矜持を持ってもらわねばなあ?
…尤も、この素晴らしい提案を蹴ればお前は今すぐ死ぬだけだ。
奴らについて、どうせ何も知らないのだろう?」

反論できず、唇を噛む。
完全に敗北を喫したということは、よくわかった。
捕まった時点で、蜘蛛の巣にもがきようもなく絡めとられていたのだ。
打つ手すら動かないまでに、徹底的に。

「おいホメロス、捕虜の件はどうなっている」

私だって命は惜しいと投了の宣言をする寸前だった。
テントに大男が入ってきた。
そしてその男に見覚えが、難なら会話したことすらあった。

「グレイグか。なんとも間が悪い。…生憎この娘は何も知らぬようだ」

「奴らの仲間ではなかったのか」

「そのようだな」

自分のことなど棚に上げてぬけぬけと状況を説明するホメロスさまの口調は、
私に対するそれに比べて(当然といえばそうだが)随分気安い。
頷き続きを促すグレイグさまに、しかしホメロスさまはにわかには信じがたいことを言った。

「しかし、だ。憐れなことにこの女、悪魔の子らを仲間と思い込んでいたようでな。
今回の件は、それでこいつが勝手に気を回してのことらしい。
…皮肉なことにその後見捨てられ、置き去りにされたのだがな」

わざとらしく、同情的に『私から聞き出した事情』を説明するホメロスさま。
しかし、それはまるきり大嘘だった。
しかも私を庇いさえするような内容を、似合わないまでに情緒的に述べる。
なぜこうまでに冷酷で狡猾なこの男が、このような言動をとるのか。
理由はすぐにわかった。

「くっ…。さすがは悪魔の子だ。悪辣な手を平気で使う」

「そうだ。そのせいでこの女は我々に反抗し、奴らの身代わりに捕らえられ、今や投獄を待つ身だ。
わかるな?こいつはもはや、死して日も見られん」

「なんということだ。許せん!!」

グレイグさまという男は、非常に単純なのだ。
だからこのように簡単に騙され、義憤にかられる。
そして私なんかよりずっとそのことをよく知るホメロスさまは、
実直を絵に書いたようなこの方の気質を利用するつもりなのだ。

「…私はこの娘があまりに憐れでなぁ。
デルカダール兵を翻弄した実績をもって、対悪魔の子の尖兵として雇い入れようと思うのだよ」

「王がそれを許すだろうか」

「私兵として、だ。お前は王に黙っていてくれればそれで良い」

このように。グレイグ様もほぼほぼ納得言ったように頷いた。

「なるほど。しかしホメロス…お前がまさか敵に同情するとはな」

ここではじめてグレイグさまは私の方を見た。
ひどく驚いていた。
私は今の今まで気づかなかったことに驚きなのだが、努めて口にも態度にも出さないようにした。

「まさか、エルザか?お前が…」

「お久しぶりですグレイグさま。このような形での再会となってしまい、残念極まりありません」

拘束されたままだがとりあえず元上司に頭を下げる。
それにはさすがのホメロスさまも多少驚いたようだ。

「なんと。二人は知り合いであったか」

彼の問いに、グレイグさまは多少の懐かしみを交えつつ答える。

「ああ。だいぶ以前だが、大発生した爆弾岩の討伐に、傭兵を募集したことがあっただろう。
エルザはその内の一人だ。こう見えて優秀な魔法戦士で、俺の部下を救ってくれたのだ」

「ラグレイ兵士長か…確かに有能には違いないのだろうな。
いやそれだけにますます残念だよ」

一瞬、ただでさえ鋭いホメロスさまの視線が、一層強く刺さったのは気のせいだっただろうか。
寒気はしたが、とにかく。
そうだなと同調したグレイグさまは、少し考え込む素振りを見せる。
しかしそれは数秒とかからなかった。

「ホメロス。エルザはしばらくこちらで預かって良いか?」

「は?」

ホメロスさまとハモった。
そのことが屈辱的だったのだろう。彼は私を忌々しく睨んでから反論する。

「何を言っているのだグレイグ。そいつは私が捕えたのだぞ。
そして私兵にすると決めたのも私だ。横取りする気か?」

「せっかく手に入れた優秀な手駒とやらをいつも早々に使い潰すのはどこのどいつだ。お前はいつもやりすぎる」

「ざっ…罪人なのだからかまわんだろう」

「だが同情もしたのだろう。ならば尚更俺に預けろ。
それに、俺の方が魔法戦士の扱いには慣れている」

言うが早いか、私を片手で(!)ひきずりながら、グレイグ様は退出した。
このテントで最後に見たのは呆気に取られ呆然と立ち尽くす、策に溺れた策士だった。




「あの…よかったんですか」

「拘束を解いたことか?かまわんだろう。
逃げる素振りを見せたらその瞬間に斬るまでだ」

そうじゃなくて。いやそれもあるけれど。
グレイグさまのテントに連れて来られ、数十時間ぶりに身体的な意味での自由はまずは得られた。
…精神的にはちっともだけれども、この際贅沢は言えない。

「でもあんな強引な態度取っちゃって。ホメロスさま怒っちゃうんじゃ…」

「ならばあちらの方が良かったか?
言っておくが、あいつは相当に性格が悪いぞ。
俺も何度煮え湯を飲まされたか…こんなの、仕返しにも入らん」

少しの間を開けて、テーブルにつくことを勧められる。
言われたままにすると、タイミングを見計らったように兵士が二人分のお茶を持ってきてくれた。
毒はないですよねと聞くと、バカを言うなと返ってきた。

「それに…」

お茶は意外とおいしかった。
しかしグレイグさまはわずかに気まずそうにしていた。

「あの件を思うと、どうしても見捨てられなかったのだ。どうしてもな…」

「グレイグさま…」

決してロマンチックな雰囲気ではない。
ただ、グレイグさまは同じ秘密を持った私を見捨てられなかったのだ。

「ラグレイ…今は兵士長でしたっけ。お元気でおいでですか」

「ああ。あれからすっかり真面目になり、王に従順になった。
随分と信頼も厚くなっていて、それでな」

ラグレイ兵士長。
グレイグさまの直属の部下であるこの人は優秀な人物であるらしいのだが、
何が災いしたのか謀反を起こすという噂が立った。
王はそれを阻止するため、ある時爆弾岩の群れへの特攻命令を下した。
それをたまたま雇われた私をはじめとする傭兵たちの目覚ましい活躍により生還させたのだった。
…と表向きはなっているが、実は立場上表立って動けなかったグレイグさまが、こっそり参戦していたというのが事の顛末である。
私はわけのわからぬままに、けれども死にたくない一心でひたすら彼の戦闘のサポートをしたのだった。
とにかくそういうこともあり、グレイグさまは助けてくれたのだろう。
多分、ホメロスさまとは違い本当に、多少の情でも湧いて。

「…私はこれからどうなりますか」

グレイグさまはそれを聞くと、すっと無表情になる。重く実に機械的に、答えは得られた。

「ホメロスからすでに聞いているだろう。このまま、デルカダールに戻り投獄だ。それこそ死ぬまで。…本来ならな」

本来、とオウム返しする。緊張からか、唇も喉も奇妙に乾いている。
お茶で湿らす。保湿として満足な効果を得られるはずもないけれど。

「…不幸中の幸いか、お前にはデルカダールの傭兵としての実績がある。悪魔の子の討伐を手伝え。奴の首を以って王に処遇を考え直していただく他ない…と俺は思っている」

「そんな…」

声が震えた。内心はどうあれ、ホメロス様と言っていることは基本的には同じだ。
…いや、ホメロスさまはまだ良い。私に対して悪意で戦いを押しつけたのだから。
グレイグさまにはそんな情緒は多分ない。
淡白な善意しかそこに存在し得なかったのは、明らかで。
絶望しかける私に、グレイグさまは淡々と追い打ちをかける。

「どうして、と思っているのかも知れんが。エルザ、あまり勘違いするなよ。ホメロスは性格は悪いが間違ったことはしていない。
最近人が変わったようにすら感じられるが、それでも奴は奴なりにデルカダールを想っているのだ。お前に対する処遇はあれでも甘いくらいだ。…当然今の俺にそれを批判する資格はないがな」

結局この人もホメロスさまと同じだった。
というのが結論づけとして正しいのだろう。息苦しさは、あの方の尋問を受けている時のの比ではなかった。
拘束はもはやないので、逃げ出そうと思ったらそうできたかも知れないのに、ついた椅子から降りることさえままならない。
諦観に支配されたからだ。静かにうつむいたままでいる私を見たグレイグさまはもはや捕虜は逃げないと判断したのか、一度黙って席を外す。
あ、これもしかして逃げるチャンス?と思う間もなくすぐに帰ってきたが。

「…受け取れ」

「これは…」

「お前の剣はもはやどこにあるかわからん。だから代わりに軍の物を使え。これで悪魔の子と戦うのだ」

テーブルの上に置かれたそれは、どう見ても私が使っていたものより上等な剣だった。
さすが世界一の軍事国家。一般兵にもこんなものを持たせていたのかと場違いに値踏みしてしまう。
働きかける煩悩を振り払う。

「一応聞きますけど、断るって選択肢って、あります?」

グレイグさまは呆れたように応えた。

「俺の今までの話を聞いていたか?なしだ。それでも断ると言うならせめてもの情けだ、俺が今斬ってやる」

「ですよねー」

完全に白旗だ。上げるかわりに、剣を取る。
考えてみれば。私が勇者様たちと知り合ったのは昨日の今日だ。
シルビアさんに恩があると言ったってその恩返しはダーハルーネでもうすませているつもりだ。
そしてお陰で今捕まっている。
もう。なんだ。とにかく。
みっともなくて良いからまだまだ太陽の下で生きていたい。それだけだ。
そのためなら斬るのにためらうほどの相手ではないはずだ。そんなに濃い繋がりでは、考えてみればない。
そんな風に自分を騙すことに決めた。

「…悪魔の子たちはユグノア国跡地に向かうようだ、という間者の情報が入っている。そこを叩くつもりだ。お前の出陣はそこにする」

そんな決意を知らずグレイグさまがさっそく命令を下す。
私は腰に支給された剣をはきながら返事をした。我ながら、死んだような声だった。
そしてこれだけどうしても言いたかった。けれど黙っているのが恐らく正解だろう。
変わったのは多分あなたもです、グレイグさま。




【あとがき】

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

本作は、ホメロスに“語らせる”ことを主軸に据えて書いた短編です。
彼という人物が何を語り、何を語らせないか──
その選択のひとつひとつが、主人公であるエルザの生存に影響する構造になっています。

ですが、物語を閉じたのはホメロスではなく、
最後に“語らなかった”グレイグのほうだったと思っています。

言葉で圧し、言葉で残すホメロス。
対して、沈黙のまま、なにも背負わせずに終わらせたグレイグ。
どちらが“残酷”だったのかは、読み手それぞれの中に残るのではないでしょうか。

なお、関係性としての距離や感情は描いていますが、
恋愛や親密さを前提とした構造ではありません。
キャラクターたちの行動や選択が、それぞれの立場で、
“最善だったかもしれない”という可能性の上で成り立っている物語です。

ご感想やリアクションなどいただけたら嬉しいです。
気に入っていただけたら、他の作品もぜひご覧ください。

いいなと思ったら応援しよう!