AIを創作に利用してはいけないらしい話
先日ダンガン文庫からコンテストが開かれるという話があった。
冒頭二万字を募集。ジャンルは不問だが、男性向けレーベルのため女性向け作品は募集対象外とのこと。なるほど。まあこの時点で応募する気はあまりなかった。今そんなにネタないし。時間もないし、書きたい内容を書くのに手いっぱいだし、1歳6ヵ月を目前に控えた坊ちゃんは寝ていなければ暴れるか泣き叫ぶかだから、まあ締め切りに追われる作業って言うのがまじで今無理である。ならこんな文章打たずにハロワ行けやって話でもあるのだけど。
いきなり脱線したがこれもいつもの愚行。なぜこんな応募もしない文庫大賞の話でわざわざ1記事書こうと思ったのかという話に当然なる。理由は簡単で、この大賞の募集要項、禁止事項が結構突飛だから興味を持ってしまったのだ。
[以下引用]
・生成AIまたはそれに類するツールを使用した企画の考案、原稿の執筆、またはその補助を行うことは禁止いたします。
・生成AIまたはそれに類するツールを使用した企画の考案、原稿の執筆、またはその補助を行うことは禁止いたします。
・生成AIまたはそれに類するツールを使用した企画の考案、原稿の執筆、またはその補助を行うことは禁止いたします。
衝撃的すぎて三回もコピペしちゃったよママ・・・。このAI大戦国時代に、AIの使用禁止。いや、使用禁止するのはいい。こう、ポン出しとかで応募しちゃうとクオリティの保持以前に権利関係に引っかかっちゃうことがあるからな。うん、それはそれでいいと思うぜ、私応募せんし。と、まあ静観の姿勢を取ることにした。……のだが、先日衝撃的なポストが回ってきた。
【コンテストに関する注意事項】
— ダンガン文庫(公式) (@danganbunko) July 15, 2026
開催中のコンテストにて、生成AIにより生成された原稿をエントリーされているケースを複数確認しております。
弊社の運営するコンテストにおいて、生成AIの利用は原則禁止とさせていただいております。…
このようなアナウンス。あ~、わかるよ、わかる。マナーのなってない変な応募者がいるんだよな。AIポン出しで面白い作品ってまずないんだよな。粗製乱造にどうしてもなる。完全に今自分がやってることに唾を吐いてるんだが、それでもこれは事実。AIを使えばどれだけつまらなかろうと2万字はあっという間に書けてしまう。そんなもんで500作品という限られた枠を食いつぶされて、運営がお怒りになるのはもっともだ。これは完全にAI小説書きが悪い。AIポン出しがバレてないと思ってるのもすごい。要はそういう知能レベルのAI小説書きが多(割愛)
と、まあこうすごく他人事でくだんの騒動は眺めている。応募しないから私にはいずれにしても関係ないのだけど。
とか言ってたら社長のアカウントからかなり衝撃的な発信があった。
ダメです。
— オタクペンギン(社長) (@NovelPengin) July 15, 2026
そもそもコンテストの審査上、誤字脱字は重視していません。(文法的な間違いや誤用などのほうが重視されます)
弊社の場合、コンテストは作家としての能力を測る場として作っているものになります。 https://t.co/VH4oiAOsGj
お……おう…。
募集要項もすでに「プロット練るのもAI利用禁止だよ」と書いてあるに等しいような規約の書き方だったのだけど、ここにきてその疑念は確信に変わる。「誤字脱字チェックもAI利用禁止」ってほんとにそのレベルの発言である。たとえば文書作成アプリとして死ぬほど有名なWord。あれの校正機能は昔ながらのスペルチェックだけかと思いきや、今はCopilotとかいうAI支援まで乗っかっているそうだ。へー。私のPCには恐ろしいことにOfficeが入っていないので詳しいことはわからないし、どこまでが従来型の校正でどこからがCopilotの仕事なのか、使ってる本人だっていちいち把握してないだろう。Xでは滅多に聞かない影の薄い存在になって久しいCopilotちゃんだが、たしかにあれは用途がなんだろうと元は生成AIだ。当然、このルール下では使用禁止にならなければ筋が通らないということになってしまう。ちょっとたとえとしては逆だけど、幻・伝説禁止ルールでついでに出禁になるフィオネを思い出した。Wordちゃんカワイソ。
他にも調査しようとして取材に行く代わりにGoogleで検索するのもアウトだと言える。最近のGoogleはご存じのとおり検索した時点でgeminiが要約を頼んでもいないのに出してくれる。あれ結構な頻度で嘘書いてるからあてにできないことも多いのだが、視界に入れた瞬間にレギュレーション違反になりかねないことはアホらしいが注意喚起しておかねばならないだろう。なぜならばこの大賞は「作家としての能力を測る場として作っているもの」なのだから。AIにわずかでも汚染されていたら、厳密にいえば恐らくアウトだ。でないと、社長の「誤字脱字はそこまで見てない」という発言にはいたらない。じゃあ実際どこからがアウトなんだ?AI要約が目に入っただけならセーフで、内容をうっかり参考にしたらアウトなのか。そのラインはどこにも書いていない。「なんのために校正がいるんだ、このルール設定は妥当だ」という旨の発言をしていた反AIと思しき人物もいたが、PCの変換機能に甘やかされてきた我々現代人には中々適応しにくいルールだし、むしろ「誤字脱字をしないことでかえってAIとして怪しまれるんじゃないか」と無駄に疑心暗鬼に苛まれるようなことにもなりかねない。
『どうやってAI生成って判断しているのか』とご質問いただいていますが、冒頭に『〇〇の指示に従い出力します』と書かれているものがあるレベルから、小説全体の整合性が全く取れなくなっていくものまで様々です。もちろん、明確なもの以外は判断しませんが、現状でもすでに発覚しているものがあります
— オタクペンギン(社長) (@NovelPengin) July 15, 2026
一応擁護しておくと社長はこのようにも発言しているので、無用な駆け引きは無用な駆け引きのようです。最近ジョジョ漬けになってるから無駄に頭ジョジョです。
それにしたってここまで厳格なルールを敷くからにはルールの適用はぜひ徹底してほしいところで、Xでも数名が指摘していたが、そもそもPCを使って原稿を書くこと自体が不正の温床になりかねないのが現実的なところである。
私としても、普段からAIにどっぷり浸かっている自覚がある。たとえプロットを立てるのにその時はAIと相談なんかしていなかったとしても、以前AIと壁打ちしてる中で思い付き、そのまま忘れていたアイデアを偶然思い出し、使ってしまう可能性なんていうのもある。これは不正で処理されるのだろうか、とかいう話になってしまうので、やっぱこの募集要項あんまよくねえよ。と、少なくとも私は思う。
一部の反AI派はこのレギュレーションに疑問をもつ人たちに対し「AI禁止なんだから禁止。そこまでしてAIを使いたいのか、ラインを探るな」などとお花畑なことを言っているが、はっきり言って逆である。
ルールがあまりにも厳しすぎるから、「どこからがAI使用扱いなんだ」というラインがはっきりしないとみんな怖くて応募なんてできないのだ。みんなは言い過ぎかもしれないが、大企業の主要ツールで、生成AIを全く使っていないものは今や少ない。前述したWordもそうだし、Googleもそう。案出しにXを検索するのもアウトになりかねない。あれにはgrokが使われているからだ。むしろ日常的にAIを使っている者ほど、そこらへんは敏感だと思う。知らず知らずのうちにルール違反を犯すのが嫌なのだ。
解決策としてはXでは以下のようなものが挙げられていた。
・原稿用紙で手書き→提出(AIポン出しを手書きすればよいのでアウトと揶揄されていたw)
・執筆には必ずポメラを使用する
・山奥の電波の繋がらないところで合宿
・応募料を課す
まあそんなとこだろうなと思う、というかむしろそうするしかないだろう。しかし合宿するにしても、あらかじめAIと作ったプロットを頭に叩き込んでいけば不正をすることは理論上可能になる。そこまでしてAIを使いたいのかと言われるかもしれないが、ルール上可能であることは無視できない。
そんな感じで今回の文庫大賞は中々燃え盛ってて見ている分には楽しいと白目を剝くしかない。まあどんなコンテストでもAIポン出しで勝てるジャンルはおそらく皆無なので、AI使いの私としてはやるなとは言わんが時間の無駄だとは一応忠告しておこうと思う。素直にカクヨムとかにアップした方がいい。マジで。
今回の話は今Xでも大きく議論になっているので、ポメラを買うかどうかだけ考えながら、これからもゆるりと追っていこうと思う。どうせ碌なことにはならんのだろうけど。
