2.Media / Streaming / Audio ⑥Tubiさん
AVODの成長が示す「無料ストリーミング」の新しい可能性
CES 2026のC Space Studioに、FOXグループの無料ストリーミングサービス Tubiさんの Chief Revenue Officer Jeff Lucasさんが登壇されました
テーマは「AVOD(広告型ストリーミング)とパーソナライゼーションの未来」です。9分強の動画です。
ストリーミング市場はNetflixやDisney+のようなサブスクリプション型(SVOD=サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)が主流でしたが、近年急速に拡大しているのが広告付き無料ストリーミング(AVOD=アドバタイジング・ビデオ・オン・デマンド)です。
Tubiはその代表的なサービスで、数万本の映画やテレビ番組を無料で提供し、収益は広告によって生み出されています。特に若年層や価格に敏感なユーザーにとって、無料で高品質コンテンツを視聴できる点が大きな魅力です
インタビューでは、AVODが急成長している理由として次の3点が挙げられました。
サブスク疲れ(subscription fatigue)
広告付き視聴への心理的抵抗の低下
CTVデータによる高精度ターゲティング
特にCTV(Connected TV)では、ユーザーの視聴行動データを活用した広告配信が可能になっています。これによりテレビ広告は従来のマス広告から、よりデジタルに近いターゲティング広告へと進化しています。
またTubiさんは、AIを活用したレコメンド機能にも力を入れています
膨大なコンテンツの中からユーザーの好みに合う作品を提示することで、視聴時間を伸ばし、広告価値を高める戦略です
「無料であること」そのものではなく、「体験として最適化されていること」が強調されていました。視聴履歴や嗜好に基づいたパーソナライズ、コンテンツ発見のしやすさ、広告の配置設計。これらすべてを含めた“視聴体験の設計”が、Tubiさんの競争力の源泉と言えます
広告主にとっても、AVODはテレビ広告とデジタル広告の中間に位置する新しいメディアとして注目されています。
「テレビのブランド力」と「デジタルのデータ精度」を両立できるメディアだからです。
特に注目すべきは、広告のあり方の変化です。従来のテレビCMは視聴を中断する存在でしたが、Tubiでは視聴体験に溶け込む形で設計されています。つまり、広告は“邪魔なもの”ではなく、“コンテンツ体験の一部”へと再定義されているのです。この変化は、CTV(Connected TV)の普及と密接に関係しています。テレビでありながらデジタル的な精度を持つ環境が整ったことで、「リーチ」と「ターゲティング」を同時に実現できるようになりました
Tubiさんの強み
「ニッチの集合体」としての戦略にあります。特定のジャンルやコミュニティに深く刺さるコンテンツを数多く揃えることで、多様な視聴者を引きつけています
これはマスを狙う従来のテレビとは異なるアプローチであり、結果として広告主にとっても高い親和性を持つ接点を提供しています
日本市場においても、この動きは無視できません。テレビ広告の強さは依然として残る一方で、若年層を中心に視聴行動は大きく変化しています。Tubiのようなモデルは、「テレビかデジタルか」という二項対立を超え、両者を統合する新しい選択肢として位置づけられます。
結論として、Tubiが示したのは、無料モデルの成功ではなく、「体験設計によって広告価値を最大化する」新しいメディアの形です。AVODはもはや代替ではなく、ストリーミングの中心に位置し始めています。
2025年 C Space Studio
TubiさんのCEO、アンジャリ・スーさんが、登壇されていますので、あわせて、ご覧いただければと思います

