4. クラシックだけではない発表会を始めた理由
前回の記事の続きです。
前回は、発表会の曲選びの実際の進め方について書きました。
今日は、私がクラシックにこだわらず生徒の弾きたい曲を演奏する発表会を始めた理由についてお話しします。
♪1. 発表会はクラシック曲が当たり前だった昔
発表会と聞くと、どのような曲を思い浮かべますか?
少し前まで、ピアノの発表会といえば、クラシック曲を演奏するのが当たり前でした。
先生が生徒のレベルに合わせて曲を選び、その曲を本番まで練習する。
私自身も子どもの頃は、先生から与えられたクラシック曲を弾いていました。
けれども、当時の私は、その曲をよく知らないまま練習を始めることも多く、「この曲を弾きたい」と思って選んだわけではありませんでした。
発表会に出ることも、どこか決められた行事のように感じていました。
知らない曲を覚え、暗譜し、間違えないように演奏する。
発表会が近づくほど練習は苦しくなり、楽しみというよりも、「失敗してはいけない」という気持ちのほうが強くなっていました。
学年が上がるほど、人前で弾くことへの緊張感や、暗譜に対するプレッシャーも大きくなっていきました。
何度「辞めたい」「出たくない」と思ったか分かりません。
♪2. クラシックを否定したいわけではありません
もちろん、クラシック音楽には大切な学びがたくさんあります。
美しい音の出し方、フレーズの作り方、左右の音のバランス、曲全体の構成など、演奏の基礎を身につけるうえで欠かせないものです。
今でも、生徒の成長につながるクラシック曲は、発表会の選曲に取り入れています。
ただ、すべての生徒がクラシック曲に心を動かされるわけではありません。
アニメの曲が好きな生徒もいれば、映画やゲームの音楽、J-POPに憧れている生徒もいます。
それなのに、「ピアノの発表会だからクラシックを弾かなければならない」と決めてしまってよいのだろうか。
教室を始めて、生徒一人ひとりと向き合うなかで、私はそう考えるようになりました。
♪3. 「この曲を弾きたい」が練習を変える
生徒が自分から、
「この曲を弾いてみたい」
「発表会でこの曲を演奏したい」
と言ったとき、その表情はとても生き生きしています。
自分で選んだ曲には、特別な思いがあります。
少し難しいところがあっても、「弾けるようになりたい」という気持ちがあるため、粘り強く練習できることがあります。
普段はなかなか練習が進まない生徒が、好きな曲になると何度も繰り返し弾く。
そんな姿もたくさん見てきました。
その経験から、発表会は先生が選んだ曲を披露するだけの場所ではなく、生徒が好きな音楽と向き合い、自分の音楽を届ける場所であってもよいのではないかと思うようになりました。
♪4. 発表会の曲目が少しずつ変わっていった
Dolce Of Musicの発表会では、教室を始めた当初から、クラシックだけでなく、アニメ、映画、ゲーム、J-POPなど、生徒が日頃から聴いている曲も選曲に取り入れてきました。
ピアノやエレクトーンのソロ演奏に加え、アンサンブルやバンド演奏にも取り組んできました。
当初は、全員で演奏するアンサンブルを、当日のリハーサルだけで仕上げる形で取り入れていました。
小学校の音楽会のようなスタイルでしたが、普段は一人でレッスンを受ける生徒たちに、発表会で大勢の仲間と演奏する楽しさを体験してもらいたいと思ったからです。
選曲にあたっては、現在の演奏力で取り組めるか、本番までに仕上げられるか、その生徒に合った楽譜があるかなどを確認して考えました。
市販の楽譜では難しすぎる場合には、弾きやすい形にアレンジしたり、別の候補を提案したりすることもあります。
大切なのは、クラシックかポップスかという二者択一ではありません。
その生徒が何に心を動かされ、その曲を通してどのように成長できるか。
生徒の「弾きたい」という気持ちと、講師としての判断を組み合わせながら、一緒に曲を決めていくことが大切だと考えています。
♪5. 発表会を、一年の楽しみにしたい
発表会は、間違えずに演奏できたかどうかだけで評価する場所ではありません。
一曲を長い時間かけて仕上げたこと。
緊張しながらもステージに立ったこと。
自分の好きな曲を、家族やお客様に聴いてもらえたこと。
その一つひとつが、生徒にとって大切な経験になります。
子どもの頃の私が感じていたような、苦しくて逃げたくなる発表会ではなく、
「今年は何を弾こうかな」
「来年もまた出たい」
と、生徒が楽しみにできる発表会にしたい。
それが、私がクラシックだけではない発表会を始めた理由です。
発表会の形に、たった一つの正解があるわけではありません。
生徒の姿や時代の変化に合わせながら、教室も発表会も少しずつ変わってよいのだと思います。
それではこの続きは次回に。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました♪

