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「SFハードアクション」という言葉の、乾いた響きーーGREY (上) (ぶんか社コミック文庫) Kindle版 OREマンガ


SF。
ハードアクション。
そう聞いて思い浮かべるのは、
銃声と爆発、
勝者と敗者が明確な世界かもしれない。

けれど、
たがみよしひさ『GREY』は、
そのどれとも少し違う。

これは、
戦う物語でありながら、
生き残ってしまう者の物語だ。

作品について――死神と呼ばれた理由

主人公・グレイ。

彼は、
市民(シチズン)になるため、
戦士(トループス)として戦場に立つ。

恋人リップは、
その道を選び、
あっけなく死んだ。

彼女を追うように、
あるいは彼女の死を確かめるように、
グレイもまた、
戦場を選ぶ。

どれほど過酷な戦いでも、
必ず帰ってくる男。

だから彼は、
“死神”と呼ばれる。

世界観――管理された戦争という悪夢

『GREY』の世界は、
どこか冷たい。

戦争は感情ではなく、
システムで運用されている。

中央コンピューター。
数字。
効率。

人間の生と死は、
コストの一部として処理される。

ここで描かれるのは、
「戦争の悲惨さ」というよりも、

戦争が
“当たり前の仕事”として
日常に組み込まれてしまった社会の、
静かな狂気だ。

グレイという存在――生き残ることの罰

グレイは強い。

圧倒的な英雄ではないが、
確実に、生き延びる。

その結果、
彼の周囲の人間は、
次々と死んでいく。

恋人。
仲間。
出会った誰か。

彼だけが、
戦場から戻ってくる。

この作品が突きつけるのは、

「生き残ることは、
 本当に祝福なのか?」

という、
残酷な問いだ。

下巻へ――明かされるもの、残るもの

物語は、
地下組織(レジスタンス)や、
謎めいた存在へと広がっていく。

中央コンピューター“TOY”。

支配者は誰なのか。

そして、
戦争は誰のために続いているのか。

すべてが明かされるわけではない。

だが、
読み終えたあと、
確かに胸に残るものがある。

それは、
派手なカタルシスではなく、

「この世界は、
 本当にフィクションなのか?」

という、
小さく、
しかし消えない違和感だ。

読後感――静かなSFの名作として

『GREY』は、
饒舌な作品ではない。

説明しすぎない。
感情を押しつけない。

そのぶん、
読者の中に、
長く残る。

SFハードアクションの形を借りた、
生存と管理社会の寓話。

今読んでも、
古びないどころか、
どこか現代的ですらある。

こんなひとにおすすめ

・派手すぎないSFが好き

・管理社会ものに惹かれる

・生き残る主人公の孤独が刺さる

・80〜90年代SF漫画を掘りたい

・読後に余韻が残る作品を探している

おわりに――死神は、なぜ歩き続けるのか

グレイは、
問い続ける。

戦いながら。
生き残りながら。

答えが出なくても、
歩くことをやめない。

その姿は、
どこか私たちに似ている。

だからこの物語は、
今も静かに、
読み手を選び続けているのだと思う。



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