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今こそTRUSTRICKを語ろう

はじめに

2025年12月18日、神田沙也加さんの突然の逝去からもう4年が経ちます。彼女が携わった音楽活動は数知れずありますが、中でもTRUSTRICKというユニットは私の青春を彩ってくれた存在でした。その魅力を多くの人に今一度伝えていきたいと考え、本記事を執筆することにいたしました。最後まで読んでいただけると幸いです。(以下敬称略)

TRUSTRICKとは?

Vocal 神田沙也加
Guitar Billy
この二人からなる音楽ユニット。TRUST(信頼)とTRICK(いたずら、策略)をテーマに、約二年活動していた。

2013年に共通の知人を通して知り合った二人が、2014年にアルバム「Eternity」をリリースしデビュー。そのわずか7か月後には
2ndアルバム「TRUST」をリリース。デビュー以後は楽曲がアニメの主題歌に起用されたり、アニメロサマーライブに出演したりと精力的に活動していた。当時、神田沙也加が「アナと雪の女王」への出演で人気と知名度を広く獲得していたこともあり、デビュー前から多くの期待を寄せられていたユニットであることは間違いない。
しかし、3rdアルバム「TRICK」のリリース後、突然の活動休止。
2016年12月17日に行われた「TRUSTRICK TRICK TOUR 2016」の最終公演をもって、その歴史に幕を閉じることとなった。(2019年4月5日に正式に解散が発表された)

2016年 活動休止前最後のアーティスト写真

Eternity

ここからはTRUSTRICKが発表した三枚のアルバムを紹介していこう。
まずは、記念すべき最初のアルバム「Eternity」だ。

2014年6月25日リリース。良質なポップスを届けるというコンセプトのもと制作された、バラエティ豊かな12曲が収録されている。
If~キミが行くセカイ~」や「ATLAS」のような幻想的で儚い楽曲から、キラキラエレクトロサウンドの「kissing」、けだるげでアダルトな雰囲気が漂う「Calico」まで多種多様な楽曲群が並ぶが、私が最も聴いてほしいのは
最終12曲目の「beautiful dreamer」だ。

神田 思い切って陽に振り切ったというか、言葉を選ばずに言えばバカみたいに明るい曲(笑)。
Billy そこは「底抜けに明るい」でいいんじゃないかな(笑)。
神田 バカみたいに明るい青春、みたいなものって神田にもなかった成分で。神田ってすぐ陰に陰に行きたがるから(笑)。それはBillyくんが関わったことで足された新要素ですね。明るく救う、というのは。「beautiful dreamer」というタイトルも、自分の中ではギリギリアウトなんですよ。でもそのぐらい何も考えずに「やったあ!」みたいな形で終わりたかった。スポーツみたいな曲ですね(笑)。
──陰で終わる方法もあったと思うんですけど、神田さん的には新しい扉を開けて終わるというのは、非常にいい終わり方ですよね。
神田 そうでしょうね。歌詞の中に「気付いてしまった」というフレーズがあるんですけど、これは自己発見ですね。

TRUSTRICK(神田沙也加×Billy)「Eternity」インタビュー (4/4) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

陰と陽が混ざり合う「Eternity」は最後に希望を残して終わっていく。「beautiful dreamer」はまさに、ユニットが結成されたその意味に気づかされる一曲となっているのだ。

TRUST

続いては、TRUSTRICKの「TRUST(信頼)」の部分を担うアルバムを紹介しよう。

2015年1月28日リリース。ユニット初のアニメタイアップ曲である「FRYING FAFNIR」は、前作で作詞のみを担当していた神田沙也加が初めて作曲にも携わった一曲だ。

さらに、壮大なメロディと透き通った歌声で魅せる「いつかの果て」や、福岡マラソンのテーマソングにもなった疾走感あふれる「On your marks!」など聴きどころたっぷりのアルバムとなっている。そんな中で特に異彩を放つ楽曲が
World's End Curtain Call-theme of DANGANRONPA THE STAGE-」だ。(本作にはTRUST Mixを収録)

ダンガンロンパ」の舞台版のテーマソングとして書き下ろされたこの楽曲は、神田沙也加が多様な声色を使い分けて歌唱する難解な曲だ。
舞台俳優、声優、歌手と様々なキャリアを重ねてきた神田にしか表現できない特異さが詰まっている。

TRICK

いよいよTRUSTRICK最終三枚目のアルバムを紹介するときがきた。

2016年10月26日リリース。「TRICK」というタイトルが示す通り、遊び心に満ちた上質なサウンドが特徴的なアルバムだ。
EGOISTのChellyをゲストボーカルに迎えた「TRICK」や、LUNASEA/X JAPANのSUGIZOのバイオリンの音色が響きわたる「I wish you were here.」など集大成にふさわしいお祭りのような内容となっている。

中には、神田沙也加自身の恋愛観を投影した楽曲も収録されている。
それが、アルバム4曲目の「blur blur」だ。


神田 人間界においてもっとも解明できなくて、なおかつ誰もが引っかかってしまう最大のトリックは、恋愛だと思うんです。だから今回は恋愛について歌った曲が多くなりました。

──なるほど。でも、神田さんが恋愛というテーマで曲を書いていくと、こんなにも暗く物悲しい雰囲気が漂うんですね(笑)。

神田 あはは(笑)。うん、私にとって恋愛は全然明るいものではないですね。これまでトラトリが発表してきたバラードでは、まるで聖人君子みたいな歌詞も歌ってきましたけど、私個人としては、幸せな部分を残しておくのが怖いんですよ。だってあとから見たときに一番つらいんだもん(笑)。だから自然と今回のアルバムは「寂しい」や「悲しい」ばかり歌ったものになりましたね。

──今作はより神田さんの生身の部分、等身大の神田さんをイメージさせる表現が多いなと感じました。chellyさんもお気に入りだという「blur blur」の歌詞はその生身っぽさが顕著で。

神田 これはモデルもはっきりいるお話です。でも、要はこういう人って世の中にいっぱいいるんですよ(笑)。誰と誰がデキてるらしいとか、そういう怪しげなことが起こる夜の話を書いているんです。自分がツアー先で泊まったビジネスホテルの廊下の匂いとか、照明の感じとか、埃っぽさとか。そういう匂い立つようなリアルな空気感を表現したいと思って書いた曲ですね。

──この曲はミュージックビデオも制作されています。こういうメロウな楽曲もトラトリの強力な武器だと思っていたので、MVが作られることで“メロウなトラトリ”がより広く伝わるのはすごくいいことだなと思いました。

Billy この曲調は、自分の得意なスタイルがそのまま出せた感覚があって。「こういう一面もあるんだよ」とより多くの人にアピールできる機会になると思うので、MVができたのは僕としてもうれしいですね。

TRUSTRICK「TRICK」発売記念 トラトリ(神田沙也加×Billy) × chelly(EGOIST)スペシャル対談 (3/4) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

人間性や恋愛観を赤裸々につづる神田の歌詞に、様々なバンドを経験しバラエティに富んだ演奏ができるBillyの曲が重なることで生まれるハーモニー。私はTRUSTRICKの持つ「ポップスに実直でありながら、自分たちの気持ちにもまっすぐな姿勢」に惹かれたのだろう。


終わりに

はじめにも述べた通り、TRUSTRICKは私にとっての青春でした。体調不良やメンタルの不調で学校をさぼりがちだった中学、高校時代。思春期真っ盛りの私にTRUSTRICKは寄り添ってくれたのです。思えば、Xやインスタグラムを始めたきっかけも神田沙也加さんの投稿を追うためでした。
今夜は目を閉じて三秒数えてみてください。きっと、神田さんの美しい歌声が聴こえてくるはずです。


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