「こどものなぜ?」#105 どうしてかさをさしても足元は濡れるの?
雨の日、傘をさして歩いていたはずなのに、気がつくと靴がびしょびしょ。ズボンの裾にも水はねの跡がついている。「ちゃんと傘さしてたのに、なんで足は濡れるの?」と聞かれると、たしかに、なんでだろう。上からの雨はちゃんと防いでいるはずなのに。
まずは、ひとことで言うと
雨つぶが地面にぶつかると、バシャッと水しぶきが下から跳ね上がってくるから。傘は「上からの雨」は止められるけど、「下からの水はね」までは止められないんです。
どうしてそうなるの?
足元が濡れてしまう犯人は、大きく分けて3人います。
犯人その1:地面からの水はね
雨つぶは、空から落ちてくる間にどんどんスピードが上がります。ふつうの大きさの雨つぶ(直径2mmくらい)で、だいたい時速23kmほど。自転車でけっこう飛ばしているくらいの速さです。
この速さで地面にぶつかると、雨つぶは砕けて細かい水しぶきになります。スプーンで水面をパシャッとたたいたときに飛び散るのと同じ。この水しぶきは、10cmから30cmくらいの高さまで飛ぶことがあります。水たまりの上に落ちたときは、もっと高くまで跳ね上がることも。
傘は頭の上にあるので、この「下からの攻撃」はどうしても防げません。
犯人その2:傘のふちからの「小さな滝」
ここが意外と見落としがちなポイントです。
傘は、広い面で受けた雨を、ぐるりとふちに集めて落とします。傘の面積はだいたい畳半分くらい。その範囲に降った雨が全部、傘のふちという細い線に集まって落ちるわけです。
ジョウロとホースの違いを想像してみてください。ジョウロはやさしく広がりますが、ホースの水は1か所にドバッと集中しますよね。傘のふちで起きているのは、まさにホースのほう。足元のすぐそばに小さな滝ができて、そこでまたバシャバシャと水はねが起きるのです。
犯人その3:風に乗る斜めの雨
風がある日は、雨が真下ではなく斜めに降ってきます。こうなると、傘の下にも雨が入り込んできます。風が強い日に足元がひどく濡れるのは、この犯人のしわざです。
こどもにこう伝えてみよう
「傘って、上から降ってくる雨は止めてくれるでしょ? でもね、雨つぶが地面にぶつかると、バシャッて水しぶきが下から飛んでくるの。傘は上にあるから、下からの水しぶきは止められないんだよ。」
「それにね、傘って広いところで受けた雨を、ふちのところに集めて落とすでしょ? だから足のすぐ近くに、小さな滝みたいにジャーッて水が落ちてるの。それもはねるんだよね。」
おうちでできる実験:
洗面器に水をはって、スプーンの背で水面をパチンとたたいてみてください。水しぶきがパッと飛び散るのが見えます。これが、雨つぶが地面にぶつかったときに起きていること。やさしくたたいたときと強くたたいたとき、水しぶきの飛び方がどう変わるか観察してみると、雨の強さと足元の濡れ具合のつながりが体感できます。
もう一歩ふしぎ
雨つぶは「涙の形」じゃない?
絵本やイラストでは、雨つぶはよく涙みたいなしずく型で描かれます。でも実際に空から落ちてくる雨つぶは、空気の抵抗で下がペチャッとつぶれた「おまんじゅう型」をしています。小さい雨つぶはほぼ丸く、大きくなるほどつぶれて、最後には割れて小さくなります。
長靴はなぜ水をはじくの?
長靴の表面はツルツルしていて、水が玉になって転がり落ちます。ゴムやビニールは水と「なじみにくい」性質を持っているからです。布の靴は水を吸い込んでしまいますが、長靴は下からの水はねにも強い。足元が濡れる仕組みを知ると、長靴の偉大さがよくわかります。
傘をさしていても足元が濡れるのは、傘のせいでも、さし方のせいでもなく、雨つぶが地面で暴れるせいでした。次の雨の日、水たまりの表面をよく見てみてください。小さな王冠みたいな形が一瞬だけできるのが見えるかもしれません。それが「水はね」の正体です。
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