アンスリウムの花を買ったら思い出した杏里の曲『Surf Break HALEIWA』について盛大に勘違いをしていたことに気づいて泣きたくなった
※ この記事はだらだらと長い上に杏里さんの曲を知らないと全く意味不明な話だと思いますので、ご興味がない方はスルー推奨です。すみません、でもどうしても書き殴りたかったのです。

アンスリウムは部屋の中でも割とよく花を咲かせてくれるので、グリーン系ばかりになりがちな室内園芸ではとても重宝する植物です。
個人的にはアンスリウムの代表的な真っ赤な色のやつはちょっと派手すぎてあまり好みではなかったのですが、現在育てている「ミスティーク」という品種は、白と淡いピンク、時折り緑も入るような優しい色合いでとても気に入っています。


花びらに見える部分は本当は花ではなく、苞(仏炎苞)という葉の一種だそうです。本当の花は棒みたいな部分。
うちにはもう一つ、アンスリウム・スカンデンスという品種もあるのですが、こちらは花は地味で、その後にできる実を鑑賞して楽しめる珍しいタイプのアンスリウムです。

しかし今回は一般的に花として親しまれているアンスリウム・アンドレアナムについての話になります。
このアンスリウム・アンドレアナムを購入した時、私はふと「そう言えば昔の杏里の曲でこの花が出てくるやつがあったよな?」と思い出しました。
子供の頃、家族が杏里さんのファンで私もよく聴いていたため、当時出ていたアルバムの曲は結構覚えています。
久しぶりに聴きたくなり、歌詞の一部で検索するとすぐに見つかりました。
杏里さんの1992年発売のアルバム『 MOANA LANI 』に収録されている、『 Surf Break HALEIWA 』という曲です。
歌詞はこちら↓
杏里さんの他のヒット曲に比べたらあまり有名ではないかもしれませんが,とても切ないけどかっこいいメロディの良い曲なのです。
あまり深く考えずに聴いていた子供の頃の私は、この曲に対して大雑把にこんな感じのイメージを抱いていました。
・ハワイが舞台(HALEIWAがハワイの町の名前というのは歌詞カードの注釈に書いてあった記憶があります)
・サーフィン好きの彼氏と別れた
・その彼氏との過去の思い出を歌った曲
今聴き直しても、大筋ではそこまで的外れではないイメージだとは思います。
しかし当時の私は、曲の一部において致命的な勘違いをしていたのです……。
私がアンスリウムをきっかけに20年以上の月日を経て思い出したのは、この曲の中の以下のような歌詞でした。
アンセリウムの花を
Wipe out ! Kick out !
Bring it to him, please
投げたら泣きたくなった
子供みたいに Ah
歌詞では”アンセリウム”となっていますが、植物によくある表記揺れと考えて良いでしょう。
これでアンスリウムのことじゃなかったら逆に驚きです。
それはそれとして、子供の頃の私は、この部分の歌詞をこのように解釈していたのです。↓

(花投げんなw)
(気性が激しい女だなあ)
(彼氏に貰った花だったのかな?)
などと曲を聴くたびに内心で突っ込んでいました。
当時は“アンセリウム“がどんな花かも知らず、植物にも特に思い入れはありませんでしたが、この曲の主人公に対してはあまり良いイメージを持てませんでした。
しかし、今回曲を聴き直して歌詞も改めてじっくり読んでみたところ、どうも私が考えていたのとは事情が違うんじゃないかという気がしてきたのです。
特に子供の頃はよく分からなくて読み飛ばしていた英語の部分(今も正直よく分かりませんが)。
“Wipe out”と”Kick out”はサーフィン用語のようなのであまり深い意味はなさそうですが、”Bring it to him, please”のところで私は「あっ……」と察しました。
「もしかして彼氏って、もうこの世にいらっしゃらない感じ……?」と。
それまでイメージしていた例のシーンは、私の頭の中で一気に、「海に投げられて(献花的な意味で)波間を漂う“アンセリウム”の花」という悲しい絵面に塗り替えられました。
そう考えると、他の歌詞の部分の”彼はいない”とか”幻でも”とかのフレーズもその可能性を示唆しているように思えてきます。
というか、もうほぼ100%そうなんじゃないかと思いましたが、はっきりと明示されていない限りは確定事項ではありません。
他に何か情報はないかとこの曲について検索をしてみると、ものすごいヒントが得られそうな情報に辿り着きました。
なんとこの曲の作詞家である吉元由美さんが、曲をモチーフにした小説を書いていらっしゃったのです。
これは絶対に読まなければ!と思いましたが、残念ながらすでに絶版になっているらしく、電子書籍にもなっていないようなので中古で購入しました。

【ネタバレ注意】
以降の文には小説のネタバレが含まれますのでご注意ください。

アルバム「 MOANA LANI 」の中の曲名がタイトルになっている短編集です。
冒頭の「 GIRLS IN SUMMER 〜Surf Break HALEIWA 〜」が目当てのお話です。(ちなみに「 GIRLS IN SUMMER 」もアルバムの中の別の曲です)
果たして、彼は生きているのか否か……シュレーディンガーの彼状態で、ドキドキしながら読もうとした矢先。
読む前から結果が分かってしまいました。
何故なら、

思いっきりネタバレしとるやん。
うん、まあやっぱりそうだよね。
いやでも、まだ「アレ」が残っている!
そう、”アンセリウム”の花が投げられるのか否か?
私は気を取り直して読み始めました。
数ある読者の中でも、いつ”アンセリウム”の花が出てくるかどうかに注目しながら読んだのはおそらく私くらいのものでしょう。
お話のあらすじはこんな感じです。
湘南の海で出会い、恋仲になった「ビビ」と呼ばれる女の子とサーフィンが大好きな大学生「ハルキ」。
就職活動や卒業を控えたハルキは、現実と夢との折り合いをつけるため、最後の挑戦として単身ハワイ・ノースショアへと旅立つがーー
その結末はあえて書きませんがご推察の通りです。
そして私が最も気になっていた、”アンセリウム”はというと……。
作中に一度だけ登場していました!
ただし、主人公に「投げられた」わけではなく、打ち上げられたサーフボードのそばに誰かが供えた花、という描写でしたが。
持ち主をなくしたサーフボードに、赤いアンセリウムの花が供えられ、ノースには珍しく静かな波の音が、人々の涙を誘った。
私が想像していたような海面に漂うイメージではなかったものの、ちゃんと花が出てきたことに感動しました。
そして、主人公であるビビちゃんは、とても健気で可愛い女の子でした。
間違っても花を床に投げつけるようなヒステリックな子ではありませんでした。
20年以上も酷い勘違いをしててごめんねビビちゃん(泣)。
ちなみに私が今回このnoteを書こうと思ったのは、このビビちゃんに謝りたかったからというのが一番の動機なのです(もちろん杏里さんと吉元由美さんにも)……。
お話そのものは悲しかったのですが、読後感は爽やかな気分になる良い作品でした。
短編集の他の作品も切ないけど良い話ばかりで、アルバムの該当曲を聴きながら読むとより一層楽しめます。
普通なら曲は曲の中で完結しているものであって、歌詞の意味も聴く人が想像するしかないのが当たり前だと思いますが、今回のように作詞の方が自らバックストーリーを公開してくれていたおかげで私は「真相」を知ることができたのです。
こんなケースは滅多に体験できないでしょうし、普段はほとんど読まない恋愛小説を読んだこともあってとても新鮮な気分になれました。
それにしても、私が植物に興味を持たなければアンスリウムを買うこともなく、この曲を思い出すことも真相を調べることもなく、一生アホな勘違いをしたままだったんだろうなあ……。
