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ひらがなのなまえ

わたしの名前は
ひらがなだ

丸くて
やわらかくて
どこにもとがらず
なのに
胸の奥をするりと通り抜けていく

そんな音をしている

父が
女の子が冬に生まれたら
「のえる」と名づけると
ずっと前から
決めていたらしい

その理由を
わたしは知らない

だけど
ひらがなの名前は
わたしの声より先に
わたしの輪郭をつくってくれたように思う

ひらがなは
やさしすぎる
つよすぎる
かなしくなるほど
まっすぐで

ときどき
そのやわらかさに
わたしの心が追いつかない

でも
このかたちじゃなければ
きっと
わたしは
わたしでいられなかった

ひらがなは
隠れる場所がない

そのぶん
あたたかさが残る
影も光も
ぼんやりと浮かびあがる

わたしの名も
そういう名前だ

いつか
この名前の音を
もっと好きになれるだろうか

まだわからない
でも
ひらがなで呼ばれると
ほんの少しだけ
心が静かになる

それだけで
今日はじゅうぶんだと思えた

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