なぜ無言で店を出られないのか〜日本人とごちそうさま文化〜
飲食店を出るとき、つい口にしてしまう「ごちそうさま」。
返事がないと寂しくなるこの不思議な感覚について考えてみました。
食事を終えて店を出るとき、必ず何か言葉を発してしまいます。「ごちそうさま」「ごちそうさまでした」、カジュアルな店なら「ごっさ~ん」なんて言うこともあります。
この習慣、いつから身についたのでしょうか。
気がつけば、無言で店を出ることができない体質になっていました。
黙って退店しようとすると、胸のあたりがムズムズして、妙な罪悪感すら湧いてきます。まるで大切な儀式を忘れたような、そんな居心地の悪さです。
料金を払っているのだから、別に何も言わなくていいはず。理屈ではそう分かっています。でも、体が勝手に反応してしまうのです。レジでお金を払い、お釣りを受け取り、扉に向かって歩きながら、自然と口が動きます。
「ごちそうさまでした」
ところが、この言葉への反応は店によってまちまちです。
忙しい時間帯のラーメン店では、厨房の音にかき消されて誰も気づかないことがあります。ファミレスでは、ホールスタッフが遠くにいて届かないこともしばしば。コンビニのイートインコーナーなんて、そもそも誰に言えばいいのか分からないときもあります。
返事がないと、なんとも言えない寂しさを感じてしまうのは私だけでしょうか。せっかく感謝の気持ちを込めて言ったのに、宙に浮いてしまった言葉。独り言をつぶやいた後のような、微妙な恥ずかしさが残ります。
「言わなければよかったかな」
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