人間ドックの放射線でがんになる?高須克弥氏の発信を医師が検証する
高須克弥氏のポストが1万を超えるいいねを集めている。「人間ドックの放射線被曝が自分のがんの原因だ」という内容で、エイベックス会長の松浦勝人氏へのアドバイスとして投稿されたものだ。引用リポストには医師や著名人が同調し、AIのGrokまでが「一因となった可能性は否定できません」と追認した。フォロワー93万人への発信が、こうして層を重ねて広がっていく。医師として読んで、看過できないと判断した。

人間ドックへの正当な批判
高須氏の主張には、正しいことが含まれている。
「人間ドックでの異常なしは、検査した項目に異常がないということにすぎない」
これは事実だ。人間ドックは万能ではない。検査の間隔に発見できないがんがある。偽陰性は存在する。甲状腺がんのように、見つけても治療しないほうがよいケースすら議論されている。
人間ドックの限界を知ることは大切で、それ自体は正当な問題提起といえる。
放射線の話は別の問題
問題はその先だ。
「放射線被曝が原因でがんになった」という主張は、医学的な根拠を欠いている。
人間ドックで行われる主な検査の被曝量はおおよそ以下の通りだ。
胸部CT:約7mSv
胃バリウム検査:約3mSv
胸部レントゲン:約0.06mSv
PET-CT:約10mSv
放射線によるがんリスクが統計的に有意に上昇するとされる閾値は100mSvとされている。国際放射線防護委員会(ICRP)が示している基準で、それ以下の線量域ではリスクの上昇は疫学的に捉えられないほど小さい。「100mSv以下は完全に安全」と言い切ることは科学的に慎重であるべきだが、「証明できないほどリスクが小さい」という表現が現時点では正確だ。低線量域のリスク推計手法(LNT仮説)については科学者の間でも議論が続いており、閾値という概念自体に留保がつく。
ここから先は

よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!
