電子カルテのカスタマイズ禁止?厚労省の標準仕様案がおかしい
2026年2月24日、厚労省が電子カルテの標準仕様書(基本要件)の案を出した。対象は200床未満の中小病院と診療所。中身を見て、目を疑った。
電子カルテを構成する全てのアプリケーションにおいて、医療機関単位でのカスタマイズに対応不可能な仕様にすること。これを必須要件とする。
カスタマイズ禁止。全面的に。
カスタマイズは「好み」ではない
診療科が違えば、やっている医療がまるで違う。手術記録のテンプレートひとつとっても、外科と眼科では必要な項目が異なる。精神科には措置入院や医療保護入院の法定文書がある。整形外科で交通事故を扱えば自賠責の対応が要る。労災もある。この仕様書にはそのどれも書かれていない。
カスタマイズがなくなるということは、こうした科ごとの業務が回らなくなるということだ。「好み」の話ではなく、業務の根幹に関わる。
医療情報学の専門家がパブリックコメントを提出していて、そこにも同じ指摘があった。「精神科単科病院と整形外科単科病院では行うべき業務が全く異なる」「ノン・カスタマイズでの運用はなかなか厳しかろう」と。
順番が違う
厚労省の狙いはベンダーロックインの解消だという。特定の電子カルテベンダーに縛られて乗り換えられない状態をなくしたい。目的自体はわかる。
だが、カスタマイズを禁止してもロックインは解消されない。
ロックインの原因はカスタマイズではない。データのフォーマットがベンダーごとにバラバラで、他社のシステムに移行するときにデータを持ち出せないことが原因だ。だったら、最初にやるべきことはデータの書式統一だろう。書式さえ統一されていれば、カスタマイズがどれだけあっても移行できる。カスタマイズの自由を残したまま、乗り換えの自由も確保できる。
引っ越しが大変だからといって、全国民に同じ間取りの家に住めとは言わない。荷物の梱包ルールを決めればいい。家の中をどう使うかは住む人の問題だ。
米国はどうしたか
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