AIも人も「想像力」と「ブレない芯」が重要だと気づいた話
こんにちは、夜月(やづき)です🐑✨
【はじめに】
本記事は、生成AIによるイラスト・小説などの創作物生成を手放しで全肯定・推奨する意図のものではありません。
私自身、創作者としての表現や活動を大切にしたい立場から、今回はあくまで「個人開発における思考の整理や、プログラミング補助ツールとしてどう付き合うか」という視点で得た気付きをまとめたエッセイです。
また、自作アプリの宣伝も含みます。
あらかじめご了承いただけますと幸いです。
最近、政府(小野田紀美知財担当相)から生成AIの学習データ透明化を求める指針が発表されるなど、クリエイターの権利保護とAI技術の付き合い方は、まさに今とても大きく、繊細に議論されているテーマです。
私自身も一人の創作者として、その動向を注視しながら活動しています。
その一方で、個人開発や作業効率化の現場では「AIを使えば、作りたいものが何でも形になる」と言われるようになり、実際にコード作成や設計の壁打ちなど、心強いアシスタントとして活用する場面も増えてきました。
けれど、実際に自分の手で同人イベント向けのレジアプリを作ってみて、痛烈に感じた「結論」があります。
AIと一緒に何かを作るとき、本当に必要なのは「プログラミング技術」でも「知識の多さ」でもなく、「使う側の立場に立つ想像力」と「自分の中にブレない芯、コンセプトを持つこと」でした。
AIがどれだけ優秀でも、自分の中に「誰のために、どんな場面で使うのか」という明確なイメージや芯がなければ、いいものは生まれません。
そしてこの気付きは、AIとの向き合い方だけでなく、誰かに何かを依頼するとき、あるいは人と人とのコミュニケーション全般にも全く同じことが言えると感じています。
今回は、同人イベント向けレジアプリ「LambRegi(ラムレジ)」を開発した実体験と、仕事で10年ほど新サービス開発の現場に身を置いてきた経験から「ものづくりで本当に大切なこと」についてじっくり書いてみたいと思います。
「想像力」と「芯」がないと何が起きるか
LambRegiは、同人誌即売会やマルシェなどで使えるオタク向けレジアプリです。
「電卓片手にテンパるのをやめたい!」「既存のレジアプリだと商品登録が面倒で、かゆいところに手が届かない…!」という、私自身の切実な悩みから生まれました。
基本機能はオフラインでサクサク動きますが、もしスペースで売り子さんが必要な規模のときには「複数端末でリアルタイムに売上を共有できるオンライン機能」も作ろうと思い立ち、構想を練りました。
開発を進める中で、便利そうなアイデアを思いついては「これ良さそう!世の中にもうあるかな……なさそうだから、AIにどうやって実装するといいか相談してみよう」と飛びついたことが何度もあります。
たとえば、先ほどの複数端末での同期機能。
「会場で何台かスマホを繋いで、在庫と売上がパッと同期できたら便利そう!」という漠然としたイメージだけでAIに相談を始めると、返ってくる提案はどれも技術的に正しくて素晴らしいのに、なぜか自分が本当にほしいものとどんどんズレていくんです。
「権限設計はどうしますか? 主催者と売り子さんで見える画面を変えますか?」
「同期のタイミングは? 会計が確定した瞬間? それともカートに入れた時点?」
「基本のオフライン動作と、オンライン同期はどう切り分けますか?」
AIから投げかけられる問いに対して、自分の中に明確な答えがないと、会話はどこまでも発散していきます。AIは可能性を100通り提示してくれますが、「どれを選ぶべきか」の基準が自分の中にないから、いつまでも決められない。
結局、あっちへ行ったりこっちへ戻ったりを繰り返し、時間と気力だけが過ぎ、中途半端な機能のまま、出していました。
これは、AIの性能の問題ではありません。
私自身の「想像力不足」と、自分の中にブレない「芯」が定まっていなかったからです。
他者への依頼も、人間関係も全く同じ
この「想像力不足」と「芯のなさ」って、絵描きさんや字書きさん、それから開発ならエンジニアさんへ依頼して失敗するときと同じなんですよね。
もし自分が依頼する側だとして、こんな頼み方をしたらどうなるでしょうか。
「なんかエモい感じのイラスト描いてください!」
「なんかいい感じの切ない推しカプ小説書いてください!」
「なんかいい感じの同人向けレジアプリ作ってください!」
……言われた側は、めちゃくちゃ困ってしまいますよね。
「えっと、どんなシチュエーションですか?」
「昼ですか、夜ですか?」
「ハッピーエンドですか、メリバですか?」
「誰が、どんな場所で使うアプリですか?」
依頼された側はこんなふうに質問攻めにするか、あるいは完全に想像だけで作るしかなく「なんかめちゃくちゃ手間がかかった」とか「欲しかったのと全然違う…」となってしまうのです。
AIにコードを書いてもらうのも、まさに「他のクリエイターさんに依頼する」のと同義だと気づきました。
【役割分担】
◆ AI(技術者)
圧倒的なスピードと技術で、言われたものを形にする
◆ 私(依頼主・ディレクター)
どんな世界観で、誰のために、何を作りたいかを言葉にして伝える
描く技術、書く技術、コードを書く技術そのものは、クリエイターやAIが得意とするところ。
でも、「どんな場面で、誰のために、何を実現したいのか」というビジョンや仕様を固める責任は、依頼主である自分にしかありません。
そして、これは「人からのご意見やアドバイスを受け取るとき」も同じです。
使ってくださった方からご意見をいただけるのは本当にありがたいことです。でも、いただいた意見をすべて無条件に取り込めばいいわけではありません。
「このアプリは誰のために、何のために作るのか」という自分の中の「芯」があるからこそ、
「この意見は今のコンセプトにぴったりだから取り入れよう」
「便利そうだけど、今回は合わないから見送ろう」
というように、適切に取捨選択ができるようになるのです。
そして、「想像力」があればご意見をいただいた人が「どんな状況でどのように困ったのか」といったようなことを思案することもできて、より一層「困ったを解決するもの」を取り込むことができるようになるのです。
人とお話するときも「なぜこんなに楽しそうなのか」「どうして怒っているのか」「何が悲しかったのだろうか」など、相手の反応などを見て、感情や考えなどを「想像」することはあると思います。
そして、自分の考えという「芯」があれば、その人に向けて、自分の考えをぶれることなく伝えられるでしょう。
なお、誰かへ上手に伝えるためには、次の「材料」も必要になってきます。
最初は「リサーチ」で材料集めから
最初から明確なイメージや芯を持てる人は多くありません。特に、自分がこれまで触れたことのない新しい領域に踏み込むときはなおさらです。
だから私がまずAIとともに行うのは「イメージを固める前に、リサーチを手伝ってもらう」ことです。
知らないことは決して、恥ずかしいことではありません。
むしろ、いきなり「こういう機能を作って!」と頼む方が恥ずかしいです。なので、まずは自分自身のためにも様々なことを調べておくのが重要なのです。
この分野には、どんな選択肢や前例があるのか?
似たような課題を、どうやって解決してきたのか?
専門用語や仕組みの基本的な考え方はどうなっているのか?
これは「AIに答えを教えてもらう」のではなく、「自分の中にまだない語彙や引き出しを、外から持ってくる」というインプットの作業に近いです。
イラストでも、見たことのないものはうまく描けません。
小説でも、知らない言葉はうまく使えません。
開発でも、知らない仕組みはうまく組み込めません。
リサーチ、そしてインプットは遠回りのようでいて、実はものづくりがうまくいく一番の近道です。
知らないことについて「なんとなくの想像」を膨らませても、大抵的外れになってしまいます。先に材料を集めておくことで、その後に描くイメージの解像度がまったく変わってくるのです。
知識を得たら「想像力」をフル稼働
ここが、ものづくりにおいて一番大切で、一番面白いところだと感じています。
リサーチをして知識という材料を集めたら、次はいよいよ「自分がこれから作るものの中で、それがどう動くか」を頭の中で組み立てて動かしてみます。
ここまでやって、ようやく「イメージがある」状態になります。
そしてこれこそが、AIに丸投げできない、人間だけの領域です。
AIは「一般的にはこういう設計が多いですよ」と教えてくれます。けれど、「あの混雑した同人イベントのスペースで、売り子さんが迷わずサクサク操作できて、主催者が手元でリアルタイムに売上を把握するあの瞬間」に何が最適かを判断できるのは、現場の空気を知っている自分自身の想像力だけです。
LambRegiで言えば、
「メモ帳のお品書きをコピペするだけで、書式がバラバラでも一括登録できたら準備がラクになるよね」
「サークル主さんが買いにきた人へ合計金額とかの画面を見せるとき、スマホを持ち替えずに画面を180度くるっと回転させて、さらには年齢確認ボタンを出せたらスマートじゃない?」
「新刊+アクキーのセット割は、複数セット買われたときも自動で『〇〇セット×2』って計算してほしい!」
「イベントが終わってクタクタなときに、売上CSVをExcelで出せたら今まで使っているものとかにも使いやすいかも」
「複数人で使うリアルタイム同期では、売り子さんに見せる必要のない画面は隠して、シンプルにしよう」
こうした機能は、プログラミングの難しさではなく「現場で使う人がどんな状況で、どんな気持ちでこれに触れるのか」という立場に立って初めて導き出せたものでした。
「相手の立場になって想像し、敬意を払うこと」
これはものづくりだけでなく、人間関係においても、相手に自分の都合や愛情を押し付けることなく、心地よい距離感で優しく歩んでいくための大切な力なのだと思います。
想像力と発想力を鍛えるには「使う側の視点」に慣れること
私がこうして個人開発でなんとか形にできているのは、これまでの仕事の影響もかなり大きいですね。
私の本職は「新サービスを作って運営する」という部署。そろそろ10年ほどになるでしょうか。特にこの6年ほどは実際にサービスの設計などを一から考え、チームメンバー総出で一つのサービスを作っていくことを何度も経験しています。
その際には、本来はただの事務員なんですが、今ではWeb画面のデザインとUIの設計なども担当することも。
この仕事って、本当に「発想力」「想像力」、そして形になるまで粘る「継続力」が必要なんですよね。
では、その想像力や発想力はどうやって鍛えるのか?
個人的に一番大切だと感じているのは「徹底的に、使う側つまり相手の視点に慣れること」です。要は客観視できることですね。
自分がユーザーだったら
イベント当日のバタバタしているサークル主だったら
機械にちょっと弱い人だったら
作り手側の「こういう仕組みにしたい」という都合ではなく、「使う人がどんな状況で、どんな気持ちでこれに触れるのか」という立場に立って想像する。
この「使う側の視点」を日頃から意識して行ったり来たりする習慣こそが、頭の中のシミュレーションの解像度をグッと高めてくれるのだと思います。
AIは「想像力の丸投げ先」ではなく「想像力の土台を構築するもの」
こうした経験から、私の中で、AIを使ったものづくりの順番はこうまとまりました。
* * *
材料集め
知らない分野をAIと一緒にリサーチし、知識のパーツを集める想像のシミュレーション
その材料をもとに使う側の視点に立って「これを作りたい!」と「こうだったら便利」という芯のある具体的なイメージを組み立てる具現化
イメージが固まった状態でAIに相談し、思っていた形に仕上げるために、何度も話し合う
* * *
AIは、想像力の代わりをしてくれる存在ではなく、私たちが思いっきり想像力を働かせるための材料と土台を、圧倒的なスピードで用意してくれる最高の相棒です。
「AIに何を作らせるか」と悩む前に、まずは「使う人の気持ちになって、自分の中にどれだけ具体的でワクワクする完成図を育てられるか」を頭の中にもつ。
それさえできていれば、技術的な知識のギャップはAIと一緒にいくらでも埋めていけます。
みなさんも何かを作るときには、まず「材料集め」と「使う人目線でのシミュレーション」から始めてみましょ✨
🐑 お知らせ📢
めぇりょう会計「LambRegi」が超・大幅アップデートしました!
「イベント現場でのシミュレーション」を何度も重ね、開発している、オタクによるオタクのためのオタク用レジアプリ「LambRegi(ラムレジ)」が、なんと……
このたび、めちゃくちゃたくさんの新機能&改善を詰め込んだ大幅アップデートを行いました🎉✨
イベント当日のスペース設営から、お会計、在庫管理、撤収まで、創作者のみなさんの「痒い所に手が届く」機能が盛りだくさんです!
基本のレジ機能はオフラインでサクサク安心して使えて、売り子さんと協力するときはオンラインでリアルタイム同期。
「使いやすさ」と「安心感」をとことん追求した仕上がりになっています!
🐑 Pro版の価格改定について
今回の大型アップデートに伴い、より安定したサーバー環境の維持や今後のさらなる開発・機能強化のため、Pro版の価格を改定させていただきました。
そのぶん、今まで以上にサークル参加者さんの心強い味方になれるよう、機能も使い勝手も全力でパワーアップさせています!✨
もちろん、無料のフリープランでも基本的なレジ機能はたっぷり使えますのでご安心くださいね!
面倒なアプリのインストールは不要、お手持ちのブラウザですぐに使えます。
次回のイベント参加のお供に、ぜひ新しくなったLambRegiを連れて行ってみてくださいね📱🐑✨
👇LambRegi(ラムレジ)を使ってみる
使い方はレジ内にもありますが、以下のページでも公開していますので、参考にしてください。
📖 ちょっと画面が古いけど、基本機能の使い方はこちらの記事もどうぞ!

