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水の大切さを知ることは最高の健康投資|災害時に命を守るために今すぐ備えたいこと


蛇口をひねれば、当たり前のように水が出てくる。

朝起きて水を飲み、ごはんを炊き、みそ汁を作り、顔を洗う。
子どもの手や口を拭き、食器を洗い、お風呂に入る。

私たちの暮らしは、思っている以上に水に支えられています。

けれど、その「当たり前」は、災害が起きた瞬間に失われるかもしれません。

健康のために食事を整えることも、運動をすることも大切です。
しかし、どれほど栄養のある食品を用意していても、飲む水や調理する水がなければ、命を守ることはできません。

水を備えることは、特別な防災対策ではありません。

自分と家族の命を守る、最も基本的な健康投資なのだと思います。



私たちの体は、水なしでは働けない

水は、ただ喉の渇きを潤すものではありません。

体内では、栄養素を運び、老廃物の排泄を助け、体温を調節するなど、生命を維持するための重要な役割を担っています。

管理栄養士として食事の大切さを伝えていると、どうしても「何を食べるか」に目が向きがちです。

たんぱく質をとろう。
野菜を食べよう。
バランスを整えよう。

もちろん、どれも大切です。

しかし、その土台には水があります。

ごはんを炊くにも、薬を飲むにも水が必要です。
発熱や下痢、嘔吐などで体調を崩したときには、普段以上に水分が重要になります。

特に小さな子どもは、自分で水を用意できません。「喉が渇いた」「いつもと違う」と、うまく伝えられないこともあります。

だからこそ、大人が先回りして備えておく必要があります。

災害時、最初に困るのは水かもしれない

災害への備えというと、非常食、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを思い浮かべる人が多いでしょう。

けれど、まず確認してほしいのが水です。

国は、飲料水と調理用水を合わせて、1人当たり1日約3リットルを目安とし、最低3日分、できれば1週間分を備えるよう呼びかけています。

1人なら、3日分で9リットル。

わが家のような夫婦と子どもの3人家族なら、3日分で27リットル、1週間分では63リットルになります。

数字にしてみると、「そんなに必要なの?」と驚きます。

2リットルのペットボトルなら、3人家族の1週間分は30本以上です。
収納場所を考えると、少し気が重くなる量かもしれません。

私も、必要量を意識したとき、「置く場所がない」「重たい」「一度に買うのは大変」と感じました。

でも、災害が起きてから水を探し回るほうが、ずっと大変です。

小さな子どもを抱えて、空になったスーパーの棚を前にする。
給水所まで重たい容器を持って歩く。
そんな状況を想像すると、今できるうちに少しずつ備えておこうと思えました。

完璧にそろえなくてもいい

防災の話を聞くと、「全部そろえなければ」と思ってしまうことがあります。

しかし、最初から1週間分を完璧に用意しなくても大丈夫です。

まずは、2リットルの水を6本入りで1箱買う。

置き場所を決める。

次の買い物でもう1箱追加する。

それだけでも、昨日まで水を備えていなかった家庭にとっては、大きな一歩です。

長期保存水を用意する方法もありますが、普段飲んでいる水を少し多めに買い、飲んだ分だけ買い足すローリングストックも続けやすい方法です。
農林水産省も、日常的に使う食品や水を循環させながら備える方法を紹介しています。

私は、防災は「特別な日だけ頑張るもの」ではなく、日常生活の中に混ぜ込むものだと思っています。

収納場所が限られているなら、一か所にまとめなくても構いません。

キッチン、玄関収納、寝室などに分散して置けば、家具が倒れて一部を取り出せないときにも役立ちます。

車を使う家庭では、持ち運びやすい500ミリリットルの水を少し用意しておくのも便利です。
ただし、車内は高温になるため、保管方法や商品の表示を確認し、定期的に入れ替えることが大切です。

飲む水だけでは足りない

備蓄するときに忘れやすいのが、「生活に使う水」です。

国が示す1人1日3リットルは、主に飲料と調理に使う水の目安です。

実際の災害生活では、手洗い、歯みがき、食器洗い、体を拭くこと、トイレなどにも水が必要になります。

飲料水とは別に、生活用水も意識しておきたいところです。

お風呂の残り湯をすぐに抜かない、給水用のポリタンクを準備する、ウェットティッシュや水を使わないシャンプー、使い捨て手袋、紙皿、ラップなどを備える。

水そのものを大量に用意するだけでなく、「水を使わずに生活する工夫」を準備しておくことも防災になります。

ただし、小さな子どもがいる家庭では、浴槽への転落事故を防ぐため、残り湯の管理には十分な注意が必要です。

水の備蓄は、家族への愛情

災害は、こちらの都合を待ってくれません。

仕事が忙しい日かもしれない。
子どもが熱を出している日かもしれない。
家族が別々の場所にいるときかもしれません。

だから、「落ち着いたら備えよう」ではなく、何も起きていない今日に動くことが大切です。

水を買って帰ることは、華やかな健康法ではありません。

体重が減るわけでも、見た目がすぐに変わるわけでもありません。

それでも、いざというときには、その1本が家族の喉を潤し、薬を飲ませ、ごはんを作り、不安な心を少し落ち着かせてくれます。

健康投資とは、未来の自分や家族が困らないように、今できることを積み重ねることです。

今日の買い物で、水を1本多く買ってみる。

家に何本あるか数えてみる。

賞味期限を確認する。

それだけで、災害への備えは始まります。

蛇口から水が出る今日だからこそ、水の大切さを考えてみてください。

何も起きなければ、それが一番です。

それでも備えた水は無駄にはなりません。
日常で飲みながら、新しいものを買い足せばいいのです。

水を備えることは、恐怖のためではなく、安心して暮らすため。

大切な人の命を守るために、今日から始められる健康投資です。


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