しがない修士学生の読書録#1 「トヨタの会議は30分」(前編)
大学院に入って変わったことといえば、研究室という閉鎖的な環境で過ごす時間が増えたこと。まるで俗世を離れるような感覚。
高校時代に古文単語帳を開いた際、「かしらおろす」という単語に出会った気がする。まさに「俗世を離れて〜」的なニュアンス。あの時はしっくりこなかった記憶。でも今なら少しわかる。今は、かしらおろす時期なのかもしれない。
そんな訳で、圧倒的に大学院生は社会との接点が少ない。浪人を経験したことがあるが、浪人生と同じくらい少ないと思う。毎日通う場所が、予備校か研究室かだけの違い。毎日会う人は同じだし、ルーティーンもさして変わらない。もはや、家と研究室のシャトルラン状態なのである。
圧倒的な接点への飢え。もっと色んな考えに触れ、広い視野が欲しい。
今まではコミュニティを創り、そこに人を呼んでくる形で接点を作っていた。しかし、それには多大な労力と時間がかかることをこれまでの五年間で思い知った。(決して悪いことばかりではないし、かけがえのない思い出であるが。)もっと効率的に薄く、広く視野を広げる方法。そう「読書」だ。
1.読書録、はじめました。
出ました、毎度恒例の見切り発車企画。いつまで続くかもわからないし、他の人にとって面白いかもわからない。まぁ一旦やってみようの精神でやってみます。企画の精神だけは、コミュニティを離れても生き続ける。このリンクを開いて下さった物好きな皆さん、僕の頭の中を少しだけ覗いていってくださいませ。
2.伊丹の空港で
7月末、法事で大阪にある祖母の家へ行った。その帰り、1時間空港へ早く着いた。ふらっと立ち寄った保安検査場前の本屋さん。いかにも仕事ができそうなビジネスマンが多かったが、そこそこ客はいた。
大阪伊丹〜長崎までの1時間、暇を潰せる本はないかと店内をほっつき歩く。目に入ったのは、空港店での購読ランキングのコーナー。
どれどれ、みんなはどんなものを読んでいるのか。
飛行機の整備士の裏側や、ビジネス書、資格書まで様々。さすがは関西を代表する西の玄関。意識が高そうなもの・賢そうなものが並んでいる。
少し外れた場所に置いてある1冊の本が目に止まった。
「トヨタの会議は30分」
なんともシンプルなタイトルだが、中身は気になる。あの世界のトヨタの会議。少し覗いてみたい。パラパラと読んでみると、国語が苦手な僕でも読みやすそうだったので即決。気づいたらレジにいた。
3.無茶か、無理か
何事もそうだが、物事を突き詰めようとすると壁にぶつかることがある。ここでは本の中にあった、壁へのぶつかり方の一節を紹介。
本当に無理かどうかはやってみなきゃわからない。
「無茶と無理は違う。」
様々な筆者の経験談が書かれているが、ここで筆者が言いたいのは「無茶と無理の線引きをするために、まずは自分で納得いくまで試行錯誤してみよ」ということ。
自分のキャパシティの限界はどこなのか、得意とする部分はどこなのか。
試行錯誤をする中でこれが分かってくるのは、トヨタの会社内に限ったことではない。それは研究をはじめ、きっとどの世界も一緒である。
例えば、学会の要旨を書いていても、データの解析をしていても、自分自身だけで生み出せる進捗には限界が見えてくる。「無理」だと思えれば、それ以上は頑張っても「無茶」なので。ということ。
これは「諦めること」とは一線を課す。ここでの「無理」は、できる人にヘルプを求めるタイミングを見定めることである。本の中でも、そのために試行回数を増やしつつ、質を高めることが重要、とあった。
確かにその通りだ。自分にはそれが足りない。試行錯誤の数と質が足りないから、ヘルプを求めるタイミングを見誤ってしまう。どんどんと時間だけが過ぎていき、社会から取り残されていく感覚に陥る。これでは本当に「かしらおろす」ようになってしまう。
4.上手なSOSの出し方
じゃあどうやってSOSを出すのが正解なのか。キーは「相手への情報の出し方」にある。
ペライチ(A4一枚)の資料に必要な情報を簡潔にまとめ、1分以内に上司に即決してもらう
このシステムを採用しているからこそ、トヨタは無駄な会議や作業時間の削減ができているらしい。
まずは、A4一枚にきちんと今の到達点・仮説をまとめることができるか。
もし仮に迷ったとしても、自分のいる緯度と経度を正しく伝えることができれば、相手は迎えにくることができる。
資料は「何の話か」→「今(上司に)どんな回答や判断が求められているのか」→「結論」→「論拠」→「補足」の順番でつくる。
当たり前といえば当たり前のことだが、意外と抜けている方が多いのではないかと思う。ちょっと意識し直そうと自分でも思った瞬間でした。
頼るのがダメなのではなく、頼り方がまずいほうがよほどいけない。
「それで、結局何の話だっけ?」
「結局、何をしてもらいたかったんだっけ?」
こうなると最悪である。相手も自分も時間を浪費することになる。
まぁ、実際こうはいっても「何が分からないのかが分からない」という状態だとSOSは出せない…。勉強でとにかく悩んでいる時と一緒。
試行錯誤と頭の整理の繰り返しあるのみなのだろう…。
もっと足掻いて良いし、もっと頼って良い。この本に、少しだけ背中を押してもらった気がします。
今回は「前編」と題目を銘打った。後編があるかはわからないが、もしあれば本にあった「ネガティブな相手への接し方」「部下の育て方」の項目についても記したい。
お し ま い !
#2に続く …
