生徒との関係がこじれた若手教員へ|注意した翌日からできる関係修復の手順
「昨日、あんなに強く注意しなければよかった」
「廊下ですれ違っても目を合わせてくれない。もう嫌われたのかもしれない」
「明日の朝、どんな顔で『おはよう』と言えばいいんだろう」
生徒のためを思って注意したはずなのに、家に帰ってから何度もその場面を思い返す。
言い方が強すぎたかもしれない。
みんなの前で言うべきではなかったかもしれない。
自分の表情や声の大きさまで思い出して、胸が苦しくなる。
翌朝、いつもなら話しかけてくる生徒が目をそらした。
授業中も、こちらを見ようとしない。
友達とは笑っているのに、自分が近づいた瞬間だけ表情が変わった気がする。
すると、「注意の仕方を間違えた」という後悔は、いつの間にか「私は先生に向いていないのかもしれない」という不安にまで大きくなっていきます。
生徒との関係が気まずくなったとき、多くの先生が何とか元に戻そうとします。
けれど、焦れば焦るほど、何をすればよいのか分からなくなるものです。
たとえば、
何度も話しかけようとするけれど、避けられるのが怖くて近づけない
気まずさをごまかすために、以前より明るく接してしまう
もう嫌われたくなくて、必要な注意までできなくなる
長い謝罪をしたほうがよいのか、何も触れないほうがよいのか迷い続ける
同僚に相談したいのに、「指導力がないと思われそう」で一人で抱え込む
検索して出てきた「生徒との信頼関係のつくり方」を読んでも、自分の状況にどう当てはめればよいのか分からない。
「まずは生徒の気持ちに寄り添いましょう」と書いてあっても、明日の朝、実際に何をすればよいのかまでは見えてきません。
そして職員室ではいつもどおりに振る舞いながら、頭の中では昨日の場面を繰り返す。
頑張って関係をつくってきた先生ほど、「たった一度の注意で、全部壊してしまった」と感じてしまいます。
けれど、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
生徒との関係が苦しくなった原因は、「注意したこと」だけではありません。
実は、生徒との信頼を大きく左右するのは、注意した瞬間よりも、そのあと先生がどう関わったかです。
強く注意された生徒は、その場の言葉だけを見ているわけではありません。
翌朝も先生は挨拶をしてくれるのか。
自分を避けるようになるのか。
ほかの生徒には笑顔なのに、自分にだけ態度が変わるのか。
一度失敗した自分を、その後もずっと「問題のある生徒」として見るのか。
生徒は、注意された翌日からの先生の姿を見ながら、少しずつ判断しています。
「先生は自分の行動を注意したのか」
それとも、
「先生は自分そのものを嫌いになったのか」
この二つは、まったく違います。
先生の中では「行動を直してほしかっただけ」でも、その意図が生徒に伝わっているとは限りません。
だからこそ、関係を修復するときに必要なのは、注意した事実をなかったことにすることでも、何とかしてすぐに許してもらうことでもありません。
まずは、先生と生徒の間で何がずれてしまったのかを整理することです。
ここが見えていないまま動くと、謝っているのに伝わらなかったり、関係を戻そうとする言葉がかえって生徒を追い詰めたりします。
「自分は先生に向いていないから、うまくいかない」のではありません。
関係修復の順番を、誰からも具体的に教わっていなかっただけなのです。
このまま「嫌われたかもしれない」という不安だけを抱えていると、少しずつ日常の関わり方まで変わってしまいます。
生徒のいる廊下を避け、用事があっても別の生徒を通して伝えるようになる
また反発されるのが怖くて、授業中に必要な注意ができなくなる
生徒の一つひとつの表情を気にして、帰宅後も「今日も駄目だった」と落ち込み続ける
本当は関係を戻したい。
でも、間違った言葉を選ぶのが怖くて動けない。
そのまま時間だけがたつと、生徒との距離以上に、「次に何かあっても、自分には関係を直せない」という思いが先生自身の中に残ってしまいます。
私は高校教員として7年間、担任、進路指導、生徒支援などを経験してきました。
担任をしていれば、生徒に注意しなければならない場面は何度もあります。
いつも落ち着いて伝えられたわけではありません。
強く言いすぎてしまったことも、生徒との距離ができて悩んだこともあります。
だからこそ、この記事では「理想的な先生なら、最初から関係をこじらせない」という前提では書いていません。
先生も感情のある一人の人間です。
大切なのは、一度も間違えないことではなく、関係がこじれたあとに、どう向き合い直すかだと考えています。
このnoteでは、次のことをお伝えします。
注意したあと、生徒の態度が変わったときに、まず何を事実として整理すればよいのか
「謝るべき部分」と「指導として伝え続ける部分」を混同しない考え方
生徒を追い詰めずに話せるタイミングと場所の選び方
気まずくなった生徒へ、関係修復のために伝える言葉の組み立て方
一度の話し合いで関係が戻らないときに続けたい、日常の関わり方
一人で抱え込まず、学年主任や管理職などへ相談したほうがよい判断基準
具体的な声かけの例と、明日から実際に使える関係修復シートも用意しました。
この記事を読んだあとには、
布団に入ってから注意した場面を何度も思い出すだけではなく、「まず何を整理するか」が分かる
翌朝、生徒の顔色をうかがって避けるのではなく、自分が最初に取る行動を決めて教室へ向かえる
「謝ったら指導がぶれるのでは」という迷いが整理され、直すべき伝え方と、伝え続けるべき内容を分けて考えられる
生徒がすぐに笑ってくれなくても、小さな反応から関係の変化を落ち着いて見られる
このような状態を目指せます。
先生として生徒に必要なことを伝える以上、すべての注意を避けることはできません。
どれほど丁寧に関わっていても、言葉が強くなってしまう日もあります。
生徒との受け取り方がずれることもあるでしょう。
だから必要なのは、「二度と関係をこじらせない完璧な先生」になることではありません。
関係がこじれたときに、逃げずにつくり直せる先生になることです。
昨日の注意を、なかったことにはできません。
けれど、昨日の出来事だけで、これからの関係が決まるわけでもありません。
明日の朝を、また生徒の反応だけで苦しくなる一日にするのか。
それとも、何が起きていたのかを整理し、自分にできる一歩を決めて教室へ向かうのか。
関係をつくり直すために必要なことは、この先に順番にまとめています。
あとは、今の自分と生徒の状況を重ねながら、読み進めてみてください。
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