仮想論:アドラー心理学
アドラー心理学には、5つの基本前提という理論があります。
少し前の記事でもご紹介しましたが、今回は仮想論をテーマに挙げて、もう少し深堀りしてみようと思います。
仮想論とは何か - 私たちがつくる主観的な世界
アドラー心理学では、私たちが生きる世界は、客観的な事実そのものではなく、私たちがそれぞれに意味づけをした主観的な世界だと考えられています。
この考え方を「仮想論」と呼びます。
私たちは、身の回りで起こる様々な出来事に対して、自分なりの解釈を加えています。
たとえ同じ出来事であっても、人によって受け止め方や意味合いが異なるのは、このためかもしれません。
まるで、私たちはそれぞれ異なる色のメガネを通して世界を見ているようなものかもしれません。
なぜ「仮想」なのか - 事実と解釈の違い
「仮想論」における「仮想」とは、真実であるかどうかはさておき、「まるで~であるかのように」と捉えるという意味合いが強いと言えます。
これは、私たちがそれぞれの経験や信念に基づいて、世界や人々、そして自分自身に対して独自の物語を作り上げているようなイメージです。
例えば、「あの人が不機嫌そうな顔をしている」と思ったとします。
ある人は「自分は嫌われているんだ」と解釈するかもしれませんし、別の人は「お腹が痛かったのかな」と考えるかもしれません。
どちらの解釈が事実に近いかは分かりませんが、それぞれの解釈はその後の感情や行動に影響を与える可能性があります。
このように、出来事そのものには意味がなく、私たちが与える解釈によって、それはまるで異なる現実のように感じられるのです。
「仮想論」が私たちに与える影響 - 行動と意味づけ
私たちが「仮想」の現実をどのように捉えるかは、私たちの思考や感情、そして行動に深く関わっています。
アドラー心理学では、人の思考、感情、行動には、その人なりの目的があると考えます。
私たちが作り上げた「仮想」の目標を達成するために、私たちは無意識のうちに様々な行動をとっているとも言えるかもしれません。
たとえば、「自分は能力がない」という「仮想」の信念を持っている人は、新しいことに挑戦することを避けたり、うまくいかない理由を自分の能力のせいだと考えたりするかもしれません。
一方、「自分は愛されない」という「仮想」の信念を持っている人は、他者との深い関係を築くことを恐れたり、相手の些細な言動に過敏に反応したりする可能性もあるでしょう。
このように、「仮想論」は、私たちがどのような世界に住んでいると感じ、どのような行動を選択するかに、大きな影響を与えていると考えられるのです。
「仮想論」を知るということ - より良い生き方へ
アドラー心理学の「仮想論」は、私たちが生きる世界は絶対的なものではなく、自分自身の解釈によって形作られているという考え方を教えてくれます。
この考え方を理解することで、私たちは自分の抱く信念や意味づけが、必ずしも唯一の真実ではないことに気づくかもしれません。
もし、私たちが今生きている世界が少し苦しいと感じているなら、もしかしたら、私たちが作り上げている「仮想」の物語を見直してみる良い機会かもしれません。
「まるで~であるかのように」と捉えていた世界を、別の視点から捉え直すことで、より自由で豊かな生き方を送るためのヒントが見つかる可能性もあるでしょう。
このように、「仮想論」を知ることは、自分自身の考え方のクセに気づき、より主体的に人生を選択していくための一つのきっかけになるかもしれません。
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