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ツイ・ハークの武侠バトルアクション 『射鵰英雄伝』

中華圏ではあまりに有名な金庸の大長編小説を、ツイ・ハークがどう料理するのか。期待と不安が入り混じる中で始まる本作は、まるで大河ドラマの総集編のような猛スピードの展開で幕を開ける。しかしその窮屈さを抜け出した先に待っているのは、主人公の郭靖と黄蓉の切ないすれ違いが続くメロドラマと、武術の秘伝書を巡る壮絶なバトル。2時間半があっという間に過ぎていくアクション巨編だ。

2026年2月6日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 12世紀前半。中国東北部に興った金は南下して宋を攻めた。1127年に宋の都・開封は陥落し(北宋の滅亡)、生き延びた皇弟は南京で即位して南宋の時代が始まる。

 その数十年後。金との戦いで父を失った宋人の青年・郭靖は、母と共にモンゴルで育った。彼は武者修行の旅の中で、天下五絶(五大武術家)の一人・黄薬師(東邪)の愛娘・黄蓉と恋仲になる。だが武術の師である江南七怪が殺され、そこに黄薬師が関わっていると誤解した彼は黄蓉のもとを去った。誤解は間もなく解けたが、郭靖と黄蓉は離れ離れになってしまう。

 黄蓉は武術の秘伝書・九陰真経を託されていたが、それを狙う欧陽鋒(西毒)に狙われ、チンギス・ハーンの娘コジン姫に救われる。彼女は郭靖の許嫁だった。黄蓉は自分と郭靖の関係をコジンに打ち明けられないまま、彼女と姉妹のように親しくなっていく。

 そんな中、モンゴルに郭靖が戻って来た。コジン姫はこれに大喜びするが……。

■感想・レビュー

 武侠小説の巨匠・金庸の長編小説「射鵰英雄伝」を、ツイ・ハークの監督・脚本・プロデュースで映画化した武侠アクション映画。

 物語の序盤は大河ドラマの総集編のようにエピソードが詰め込まれ、話が急展開していく。これは大長編の原作を、とりあえず映画の中に押し込んだ結果のようだ。

 印象があまりにも窮屈なので、映画を観ながら「ひょっとしてテレビドラマの総集編なのか?」「本国版より短い海外向けの短縮版か?」などと考えもしたが、確認した限りそうしたことではないらしい。

 原作は中華圏で何度も映画やドラマになっているので、それらを知っている観客にとっては、この映画のような「ダイジェスト版」でも用は足りているのかもしれない。僕はもう少し前半をたっぷり観たかったが、それをやればやったで、原作のファンは「あのエピソードがない」「このエピーソドも入れろ」になってしまうのかもしれない。

 今回の映画は二つのエピソードを軸にして、物語を組み立てている。一つは九陰真経という秘伝書を巡る、黄蓉と欧陽鋒(西毒)の確執。もう一つは郭靖と黄蓉とコジン姫の三角関係だ。

 中でもこの映画は後者に比重が置かれているようで、力の入れ方もかなりのもの。美術セットも衣装も重厚でお金がかかっていそうだし、モンゴル族の場面では登場人物にモンゴル語を話させている。チンギス・ハーンや息子のトゥルイを演じているのは、モンゴル人の俳優だ。

 中華系でお馴染みの物語だからかもしれないが、登場人物のキャラクターは明快で輪郭線がはっきりしている。実写映画だが、キャラ設定がアニメ的なのだ。物語は紆余曲折があっても、登場人物たちは単純明快で行動はストレート。これが物語のスピード感とダイナミズムを生み出している。

 モンゴルを舞台にした、郭靖と黄蓉のすれ違いメロドラマ。このすったもんだがあるから、二人の再会シーンは素直に感動できてしまうのだ。これは泣いたよ。

(原題:射鵰英雄伝 侠之大者)

109シネマズ木場(シアター4)にて 
配給:ツイン 
2025年|2時間27分|中国|カラー 
公式HP:https://shachoeiyuden.com/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt28131433/

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