ターセム&石岡瑛子コンビの代表作 『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
『落下の王国』4Kデジタルリマスター版が公開。ターセム・シン監督と、衣装デザイナー石岡瑛子による圧巻のファンタジー・アドベンチャーです。撮影中の事故で絶望したスタントマンの青年と、骨折で入院した5歳の少女が病院で出会い、紡ぎ出す復讐の物語。世界各地の絶景を舞台に、石岡瑛子のきらびやかな衣装が映画の世界観を一つにまとめ上げ、観る者を圧倒します。現実の苦しみから逃避し、物語の力で生きる力を取り戻していく主人公たちを通して、この作品は「物語についての物語」を描き出します。

■あらすじ
1915年のカリフォルニア。オレンジ農園で木から落ちて骨折した5歳の少女アレクサンドリアは、小児病棟の下の階に入院しているスタントマンの青年ロイと知り合う。撮影中の事故で後遺症の残る大ケガをしたロイは、仕事を失い、恋人もスター俳優に奪われて自暴自棄になっていた。
ロイは少女の名前からアレクサンダー大王の逸話を話すが、彼女はそれが気に入らない。「明日からはもっと面白い話をする」と言うロイの言葉に導かれて、アレクサンドリアはしばしばロイの病室を訪ねるようになった。
ロイが語り始めたのは、邪悪で残忍なオディアス総督への復讐を誓う5人の男たちの物語だった。提督は男たちを絶海の孤島に閉じ込めるが、男たちは命がけで島からの脱出に成功。そこで出会ったもう一人の男と共に、提督に復讐するための旅を始めるのだ……。
だがこの物語は、傷心のロイがアレクサンドリアを手なずけ、自殺を手助けされるための手段だった。
■感想・レビュー
『ザ・セル』(2000)や『白雪姫と鏡の女王』(2012)のターセム・シン監督が、2006年に完成させたファンタジックなアドベンチャー映画。原作は1981年のブルガリア映画『ヨー・ホー・ホー』で、Wikipediaなどで調べた限り、ストーリーなどはほぼこの原作映画を踏襲しているようだ。
ターセム監督はデビュー作の『ザ・セル』から、衣装デザインの石岡瑛子と組んで映画を撮っている。石岡瑛子が参加した劇映画作品はIMDbによると8本あるが、そのうち半分はターセム監督とのコンビだ。ターセム監督にとって石岡瑛子は作品作りに欠かせない信頼できるパートナーであり、石岡瑛子にとっても仕事をしやすい監督だったのだと思う。
二人のコンビ作のうち『インモータルズ 神々の戦い』(2011)は観ていないが、『落下の王国』はターセム監督と石岡玲子コンビの代表作と言える映画だと思う。登場する衣装の数が多く、それがじつに舞台映えしている。石岡瑛子のきらびやかな衣装が置かれる場所は、世界中にある世界遺産クラスの風景の中なのだ。
観るものを圧倒する絶景の中で、登場人物たちの衣装がそれにまったく負けていない。世界のあちこちでバラバラに撮影されているにもかかわらず、衣装の持つ存在感によって、映画の中の世界観がひとつにまとまっている。この世界観を味わえることが、この映画の一番の見どころなのだ。
本作は「物語についての物語」であり「映画についての映画」だ。現実世界の中で苦しみを味わった主人公たちは、自分たちの作った物語の中に逃避し、その中で癒やされていく。現実は何も変わらなくても、物語の力が主人公たちに生きる力を取り戻させるのだ。
原作になった映画は未見だが、これは『オズの魔法使』(1939)と同じ文法を持つ映画だ。現実世界はモノクロで始まり、極彩色の物語世界へと旅した後、最後はまたモノクロの映画で終わるのだ……。
(原題:The Fall)
グランドシネマサンシャイン池袋(シアター5 BESTIA)にて
配給:ショウゲート
2006年|2時間|アメリカ|カラー
公式HP:https://rakkanooukoku4k.jp/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt0460791/
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