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たとえ別れが待っているとしても 『トイ・ストーリー5』

シリーズ第5作が描くのは、子供の成長を願うオモチャと親の気持ち。だが子供の成長を願うことは、成長した子供が自分のもとを離れていく日を受け入れることでもある。
内気なボニーがタブレットを通して新しい世界へ踏み出す一方、ジェシーやバズはその変化を喜びながら、自分たちとの別れが近づく気配を感じているのだ。
本作はオモチャの冒険を描きつつ、親が子供を見守る切なさへ視線を広げている。子供が成長することでぶつかる悩みや苦しみを支える愛情と、その先に待つ別れの痛みを、シリーズならではの温かさで描き出している。

2026年7月3日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 貨物船から海に投げ出された輸送用コンテナ。小さな島に打ち上げられたコンテナには、ハイテク版のバズ・ライトイヤーが多数格納されていた。起動したハイテク版のバズたちは通信機能を使って連携を組み、スターコマンドへの合流任務を遂行するため移動を開始する。

 郊外の閑静な住宅街。ボニーのもとに残ったジェシーとバズたちだが、彼らには現在ひとつの心配事があった。それは8歳になったボニーの、内気で人見知りな性格。彼女は同世代の子供たちと一緒に遊べないのだ。これはボニーの両親の心配でもあった。

 ボニーの両親は、娘のために子供向けのタブレット端末「リリーパッド」を買い与える。ボニーはこの新しいデジタルデバイスに夢中。オモチャたちと遊ぶ時間も減ってしまう。「子供同士がオモチャで遊ばなきゃ友達ができない!」とジェシーは大憤慨。だがリリーは通信機能を使って、ほんの数分でボニーに新しい友達を作ってみせるのだった……。

■感想・レビュー

 本作は観た人の賛否が分かれているようなのだが、その理由はわかるような気がする。過去のシリーズがオモチャ視点であったのに対して、今回の映画は子供とその親の視点がクローズアップされているのだ。もちろんオモチャが物語の中心ではあるが、彼らは親子の関係を見守る傍観者になっていて、テーマの中心から外れている。

 今回の映画のテーマは、ずばり「子供の成長」そのものだ。同じことはこれまでの映画でも、「子供は成長してオモチャ遊びをやめる」という形で間接的に描かれていた。子供の成長は自然なことだし祝福すべきことかもしれないが、そこには「別れ」という結末があって、それは悲しいことなのだ。それを今回の映画は、少し別の角度から深掘りしていく。

 映画導入部でジェシーやバズたちが心配しているのは、ボニーに同世代の友達ができないことだった。じつは同じことに、ボニーの両親も悩んでいる。ボニーニ成長して欲しい。友達を作ってほしい。オモチャたちはその応援をするわけだが、それはボニーがオモチャで遊ばなくなる日を近づけることでもある。

 映画を観ていて辛くなるのは、子供の世界が広がっていくことで、子供にとって未経験だった痛みも増える現実を描いている点だ。新しい友達ができることは嬉しい。だが他人と親しくなることは、自分の好きなものを否定されたり、嫌な言葉を相手から投げつけられる可能性も生み出す。傷つき苦しむボニーを見つめながら、両親も苦しい思いをする。オモチャたちも苦しい。しかしそれは子供が新しい世界と向き合うときに生まれる、苦しみや不安や恐れでもある。

 子供は日々成長していく。やがて子供は大人になり、オモチャを手放すだろう。そしてそのもう少し先で、子供は親のもとを去って独り立ちしていくはずだ。成長の先にある別れを予期しながら、それでも親は子供の成長を見守り、応援する。そうすることが、親にとっての幸せなのだから……。

(原題:Toy Story 5)

ユナイテッド・シネマ豊洲(1スクリーン)にて 
配給:ディズニー 
2026年|1時間42分|アメリカ|カラー 
公式HP:https://www.disney.co.jp/movie/toy5
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt29355505/

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