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これは70歳の青春映画だ! 『免許返納!?』

70歳の映画スター南条弘が、思わぬ誤解から免許返納キャンペーンの顔にされてしまう。発端は、旧友のバイク事故をめぐる軽口だった。だが世間の空気と事務所の都合に押し流されるうち、南条は自分が背負ってきた過去と向き合わされる。運転免許と愛車のフェラーリは、主人公が手放すことを強いられているキャリアや人生の象徴なのだ。

2026年6月19日(金)公開予定 全国ロードショー

■あらすじ

 俳優の南条弘は70歳。若い頃は野性味溢れるアクションスターとして数々の映画やドラマで活躍したが、最近は年相応の高齢者などにも役柄を広げ、渋い演技派のポジションを獲得している。

 そんな南条のもとに、若き日の代表作『ハーレーライダー』の共演者で今も憎まれ口を叩き合う友人・尾崎誠がバイク事故を起こしたという連絡が入る。つい最近尾崎と一悶着あった南条は、これ幸いとテレビカメラの前で尾崎を皮肉って見せたのだが、これがなぜか「南条弘が免許を返納する」という話になってしまった。

 「免許返納なんて言ってない。そんなことしませんよ!」と大慌ての南条だが、ネットやマスコミでは南条の免許返納が確定した事実として拡散。南条には高齢者の免許返納キャンペーンのCMが決まり、事務所もこれを受けてしまったから今さらあとには引き返せない。

 こうして渋々免許返納を決めた南条に、尾崎の容態が急変したという知らせが届いた……。

■感想・レビュー

 舘ひろし主演の『免許がない!』(1994)の続編みたいな映画だが、連続性は映画スターの南条弘というキャラクターと、西岡徳馬が登場するぐらい。もともと続編という企画ではなく、「今回は免許返納の話だけど、むかし免許を取る映画を作ったから、主人公の名前は同じにしよう」ぐらいの話なのかもしれない。

 そもそも映画のコンセプトからして、2本はまったく別の映画に見える。『免許がない!』は無免許の映画スターが、合宿免許で短期間に免許を取ろうとするドタバタコメディ。とにかく「運転免許を取る」というゴールに向けて、物語は一直線に進んでいった。

 しかし本作『免許返納!?』は、必ずしも「運転免許を返納する」という話にはなっていない。ここに登場する「免許」と主人公が運転する真っ赤なフェラーリは、主人公の人生や職業上のキャリアのシンボルになっている。免許を返納することは、主人公が「自分の過去」を見つめ直し、それを手放すこと。人生の節目に、自分のこれまでの生き方を振り返り、その棚卸しをすることだ。

 この映画では主人公の南条と親友の尾崎が、人生の棚卸しという共通の課題に取り組むことになる。ならばこれは、高齢者が自分の人生を振り返る「老人映画」なのか? そうではない。ここでは主人公たち以外の登場人物たちも、同じ課題に取り組み始める。南条の若いマネージャーも、尾崎の妻たちも、尾崎の息子も、たまたま出会ったスナックのママも、それぞれが自分の人生を振り返り、新しい人生を踏み出して行くことになる。

 新しい人生に踏み出して行くのは、寂しさ以上に不安が大きい。これまで築いてきたキャリアや実績を捨てて、何者でもない存在になってしまうからだ。だが「いまだ何者でもない主人公が、何者かになろうとしてもがく物語」こそが、僕の考える青春映画の定義でもある。

 この映画の主人公は70歳。だがここにあるのは、正真正銘の青春映画なのだ!

TOHOシネマズ錦糸町オリナス(スクリーン3)にて 
配給:東映 
2026年|1時間59分|日本|カラー 
公式HP:https://menkyohenno-movie.com
IMDb:https://www.imdb.com/name/nm0846164/

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