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デジタル時代に雑誌はどう生きる? 『プラダを着た悪魔2』

『プラダを着た悪魔』から20年。社会派ジャーナリストとなったアンディは、勤務先の編集部閉鎖を機に、古巣「ランウェイ」へ戻ることになった。だがそこで見るのは華やかなファッション業界の舞台裏ではなく、紙媒体からデジタルへ移行するメディア産業の厳しい現実だ。
読まれない社会派記事、広告主に左右される編集方針、数値で判断される経営改革。映画は娯楽作の装いで、雑誌文化の行方を問いかけている。

2026年5月1日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 世界的なファッション誌「ランウェイ」のアシスタントを辞めてから20年。アンディ・サックスは社会派のジャーナリストとして高い評価を受けていた。だが勤務先の編集部が突然閉鎖。アンディは仲間たちと共に仕事を失ってしまう。

 そこに救いの手を差し伸べたのが、古巣の「ランウェイ」だった。記事内容に虚偽があったとして社会的なバッシングを受けていた同誌だったが、発行元オーナーのアーヴは社会派のアンディを編集部に招いて特集記事を担当させ、「ランウェイ」のイメージアップを図ろうとしたのだ。

 意気揚々と編集部に乗り込んだアンディだが、名物編集長のミランダは相変わらず不機嫌な顔で取りつく島もない。アンディは次々に意欲的な記事を発表するが、残念ながらほとんど誰にも読まれていないのだ。

 実績を出さねば居場所がない。アンディはIT業界の大物と離婚して大富豪になったサシャ・バーンズを取材できると大見得を切るのだが……。

■感想・レビュー

 前作『プラダを着た悪魔』(2006)から20年ぶりの続編登場。メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチなど、前作のメンバーが揃って再出演しているのは嬉しい。監督のデヴィッド・フランケルと脚本のアライン・ブロッシュ・マッケンナも続投するなど、前作の夫人そのままの続編になっている。

 今回の映画は、個人的にも身につまされる内容になっている。それはここでモチーフになっているのが「ファッション業界の内幕」ではなく、紙媒体からデジタルへのメディアの大転換だからだ。これは映画の冒頭、アンディが新聞ジャーナリストとして栄誉ある賞を受賞した現場に、新聞編集部の閉鎖がメールで伝えられるというエピソードに象徴されている。

 ジャーナリズムにはまだ価値がある。しかし新聞メディアには未来がない。ならばアンディの古巣である、高級ファッション誌の世界はどうなのか?

 じつはここにも未来がない。紙版も出されてはいるが、読者の大半はデジタル版に切り替わっている。写真も記事もスマホで、何かのついでに目を通されるだけだ。編集権の独立は形式的なものになり、編集部は大手広告主の顔色をうかがいながら記事を作っている。

 昔ながらの出版文化は廃れ、デジタル的な価値観に置き換えられようとしている。出版社の新オーナーが「ランウェイ」テコ入れのため、記者や編集者ではなく、ファッションと無縁のコンサルタント会社に助言を求めるのも、そうした流れの一環だろう。ここから出てくる結論は、数値で測れる経費節減しかない。

 これは娯楽映画だから、最後は問題が解決してハッピーエンドにはなっている。しかしそれは束の間のことだろう。雑誌「ランウェイ」の20年後が、どうなっているかを予想するのは難しい。雑誌メディアが前途多難なのは変わらないからだ。少なくとも、映画『プラダを着た悪魔3』が作られる可能性は低いと思う。

(原題:The Devil Wears Prada 2)

ユナイテッド・シネマ豊洲(10スクリーン)にて 
配給:ディズニー 
2026年|1時間59分|アメリカ|カラー 
公式HP:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/devil-wears-prada2
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt33612209/


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