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宇宙の果てで目覚めた男の物語 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

宇宙で目覚めた男が、人類存亡のミッションに挑む——設定だけ見れば文句なしに面白そうなSF大作。海外では評価も高くヒットしている映画だが、個人的にはどこか物語に入りきれない違和感が残った。
感動している人には余計なお世話かもしれないが、自分としてはこの映画のどこがダメだったのかを、初回鑑賞時の覚え書きとして記しておきたいと思う。再見すれば印象が変わる可能性も高そうだが、とりあえず……。

2026年3月20日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 彼が人工睡眠から目を覚ますと、そこは巨大な宇宙船の中だった。意識が朦朧として、自分がどこの誰で、なぜここにいるのかがよくわからない。同じ宇宙船の他の乗組員は、睡眠中の事故で既に息絶えている。彼は宇宙船内で、ただひとりの生き残りになっていた。

 やがて彼は、少しずつ自分の過去を思い出す。名前はライランド・グレース。中学の理科教師だ。もともとは生物学の研究者だったが、研究が異端視されて学会を追放されたのだ。そんな彼が、国連の秘密機関から呼び出された。

 彼が宇宙船「ヘイル・メアリー号」で12光年離れた宇宙に送り出されたのは、地球を寒冷化させる太陽光度低下の謎を解明し、人類を絶滅から救うためだ。宇宙船の燃料は片道分しかない。地球に連絡しようにも、それが届くのは12年後になる。彼はたったひとりで、与えられた任務を遂行するしかなかった。

 だが目的地に到着すると、そこには思いがけない先客が存在した……。

■感想・レビュー

 2021年に発表されたアンディ・ウィアーの同名長編小説を、フィル・ロード&クリス・ミラー監督がライアン・ゴズリング主演で映画化したSFアドベンチャー映画。

 2時間半を超える大作だが、僕自身はあまりピンと来なかったというのが正直な気持ちだ。体調のせいか前半だいぶウトウトしてしまったのもあるが、資料などを見る限り、ストーリーを追えなくなるほど前後不覚になっていた様子はない。

 この映画が自分に合わなかった理由は、大きく3つある。

 まず最初に、物語の構成だ。この映画は宇宙船内の出来事を描きつつ、そこに過去のエピソードを回想シーンとして挿入していく。しかしこれが、物語の進行にいちいちブレーキをかけてしまうように思う。しかもこの構成には、謎解き的な意味合いもさほどない。ならば原作はどうであれ、エピソードを時間通りにつなぎ、前半が訓練、後半が宇宙旅行でもよかったのではないだろうか。

 理由の2つ目は、絵柄の変化のなさだ。物語の舞台がほぼ宇宙船の中だけに限定されてしまうし、回想シーンも訓練施設がほとんどで、映像的な変化に乏しくなる。物語の中では地球が寒冷化しつつある設定なので、無機質な宇宙空間と自然豊かな地球という対比もしにくいのだが、何らかの変化がほしかったと思う。

 理由の3つ目は、説明が多くて理屈っぽいこと。本格SFだから理屈っぽいのは避けられないが、それを「絵」として見せる工夫がほしい。背景情報も現状報告もすべて言葉の連続では、映画としての楽しみが半減してしまう。

 もっともこうした文句は、自分が寝てしまったことの言い訳なのかもしれない。隣の席の女性客は映画の終盤でずっと泣いていたし(花粉症の可能性もあるが)、海外では批評家の評価も良く、観客動員も伸びている映画だという。

 おそらくほとんどの客はこの映画を、グレースとロッキーの友情物語として楽しんでいるのだろう。それが正解なのだと思う。

(原題:Project Hail Mary)

TOHOシネマズ日比谷(スクリーン4/IMAX)にて 
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 
2026年|2時間36分|アメリカ|カラー 
公式HP:https://projecthm.movie/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt12042730/

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服部 弘一郎/映画批評家 よろしければ応援お願いします! いただいたチップは映画代や書籍代に使わせていただきます!