弾丸と硝煙が渦巻くファミリームービー 『ワーキングマン』
ジェイソン・ステイサムが演じるのは、過去を捨てた元特殊部隊員。恩人の娘を救うべくロシアマフィアへ立ち向かう最強の「仕事人」が、汚れた街を鮮やかに大掃除します。監督デヴィッド・エアーと製作・脚本のシルヴェスター・スタローンが本作に盛り込んだのは、さまざまな「家族」の姿とそのたどり着く果て。悪は滅び、正義が勝つ。ここにあるのは徹底した通俗道徳の安心感。暴力に満ちあふれる「ファミリームービー」です。

■あらすじ
元英国軍特殊部隊員のレブォン・ケイドは、もう何年も前に危険な世界から退き、今は建設現場監督として働いている。前職中に妻を失い、娘とも離れて暮らすレヴォンにとって、彼を雇ってくれた社長の家族だけが心許せる存在だった。
だが家族同然とも言える社長の娘ジェニーが、友人たちと出かけた盛り場で忽然と姿を消した。おそらく、何らかの犯罪に巻き込まれたのだ。レヴォンはジェニーを見つけ出すため、彼女が姿を消したクラブを探り、常連客と薬物取引をしているバーテンを尾行する。間違いない。ジェニーはこの男の仲間に誘拐されたのだ。
事件の背後には、ロシアマフィアが存在した。麻薬売買で街の裏側に巨大なネットワークを作り上げているロシアマフィアの一部が、人身売買に手を出している。ジェニーはその獲物として捕獲されたのだ。彼女はまだ生きている。
レヴォンは麻薬ディーラーを装って組織に接近するが、敵もその動きに気付いていた。
■感想・レビュー
ジェイソン・ステイサム主演のサスペンスアクション映画で、監督は『ビーキーパー』のデビッド・エアー。政策と共同脚本にはシルベスター・スタローンが名を連ねている。
主人公の行く先々で次々に人が死んでいく物騒な映画だが、殺されるのはすべて悪党連中。主人公が目の前のマフィアやギャングをばたばた倒していくシーンは爽快だが、そこには命のやり取りによる手に汗握る緊張感も皆無。体力無限大の掃除夫が、汚れた部屋を大掃除しているようなものだ。
今回の映画は主人公の行動が「自分に良くしてくれる社長一家の娘が誘拐されたから助ける」という点で、ちょっと回りくどい話になっている気がした。誘拐されたジェニーとレヴォンの関わりも盛り込まれているが、主人公と社長一家の関係も「家族同然の付き合い」以外にあまり情報が無い。これでも映画は成り立っているのだが、レヴォンと実の娘に関するエピソードほどには切迫感がないのだ。
主人公と社長一家、特に誘拐されたジェニーとの関わりについては、もう少し補強しておいた方が良かったと思う。ほんの小さな台詞やエピソードの挿入で、それか可能になったと思うのだが……。
物語のテーマは「家族」と「親子関係」だ。この映画には何組もの親子が登場する。主人公と娘。娘の母(主人公の妻)と義父。主人公の雇用主である社長夫妻と娘。ロシアマフィアの中にも、幹部と息子という組み合わせが二組出てくる。これは脚本を書く上でたまたまこうなったわけではなく、作り手の側に明確な意図があってこうなっている。これは家族をテーマにしたファミリームービーなのだ。
ファミリームービーだから、この映画はきわめて通俗道徳的な法則で動いていく。罪なくして離れ離れにされた家族は救済され、罪に汚れた家族は処罰されて破壊される。正義は勝ち、悪は滅びる。平和を望む人々は平安を与えられ、罪に汚れた者たちは痛恨の中で残りの生涯を送るのだ。
(原題:A Working Man)
ユナイテッド・シネマ豊洲(11スクリーン)にて
配給:クロックワークス
2025年|1時間56分|アメリカ|カラー
公式HP:https://klockworx-v.com/wkm/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt9150192/
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