空前絶後の宮崎アメニをIMAXで再体験する 『もののけ姫(4Kデジタルリマスター/IMAXレーザー)』
1997年に公開され、日本の映画興行記録を塗り替えた宮崎駿監督の傑作。中世(足利時代)の日本を舞台に、タタリ神の呪いを受けたアシタカ、タタラ場のエボシ、もののけ姫のサンが激しくぶつかり合う。四半世紀ぶりにIMAXで再鑑賞し、改めてその圧倒的な「熱量」に驚かされた。なぜこの映画はこれほど濃密なのか。宮崎監督が最も充実していた時期に生み出された、奇跡的作品の魅力とは!

■あらすじ
中世の日本。東北地方のエミシの村がタタリ神に襲われ、村を守るため矢を放ったアシタカは死の呪いを受ける。彼はタタリ神の体内に撃ち込まれた金属製のつぶての秘密を解くため、村を離れて西へと向かう旅に出た。
長い旅の末に、アシタカはエボシ御前のタタラ場に客人として招かれることになった。タタラ場は製鉄を営む村で、周囲の山々から木々を切り出して炉の燃料にする。そのため周囲の森に住む神々と衝突し、エミシの村を襲ったタタリ神も、エボシ御前が撃ったものだった。
タタラ場に隣接するシシ神の森には、森を守ろうとするヤマイヌの親子と、彼らと行動を共にするもののけ姫がいる。エボシ御前たちは、彼らと何度も戦いを繰り広げているのだ。もののけ姫と呼ばれる少女サンはエボシ御前の命を狙って村を襲うが、アシタカは瀕死の重傷を負いながらも彼女を助け、彼女と共にシシ神の森へと向かう。森の泉で、アシタカは傷を癒やされるのだが……。
■感想・レビュー
1997年に公開された宮崎駿の長編アニメーション映画で、日本の映画興行成績を塗り替える大ヒットとなった作品だ。それまで日本では興収10億円が大ヒット作の目安だったが、この映画は100億円超えという桁違いのヒットになった。これは洋邦画通じて20世紀最大のヒットだった。
僕がこの映画をスクリーンで観るのは、これが3度目。最初は初公開時に東宝の試写室で観た。次は2000年に英語吹替版を、やはり東宝試写室で観ている。一般劇場で本作を観るのはじつは初めてだが、それが試写室とは比べものにならないIMAXの大スクリーンだから、四半世紀ぶりとなる再会の感動もひとしおだ。
この映画については多くのことが語られ尽くしていると思うが、今回改めてこの作品の放つ熱量に驚かされた。宮崎駿の長編作品はだいたい観ているつもりだが、この映画ほど中身が凝縮している作品はない。ジャンルとしても、本格的な時代劇であり、冒険活劇映画であり、伝奇推理映画であり、恋愛青春映画でもある。自然と人間、社会と個人、生と死など、テーマも多岐にわたっている。
宮崎監督は「映画のテーマを言葉で語れるなら言葉で語ればいい。言葉にできないものを映画にするのだ」といった趣旨のことを述べているが、この映画は純粋に「映画」を突き詰めていったからこそ、これだけの豊かな世界やテーマを内包できたのだと思う。
本作は原作と脚本に宮崎監督の名がクレジットされているが、彼はイメージボードで物語の概略を作り、絵コンテで人物を動かしながらセリフを決めていく。その結果作られるのが脚本なので、脚本からはじまる通常の映画作りとは違うのだ。宮崎作品は監督の中で、絵と動きとセリフが渾然一体となって生み出されていくのだ。
この映画を作ったとき、宮崎駿は50代半ばで体力も気力も充実しきっていた。これと同じ熱量の宮崎作品は、この前にも後にも存在しないのではないだろうか。
109シネマズ木場(シアター2/IMAX)にて
配給:東宝
1997年|2時間13分|日本|カラー
公式HP:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt0119698/
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