AI占いの副業を、宣伝じゃなく現実で見てみる
はじめに:「今日の占い」がいい話なのは、なぜだろう
YouTubeを開くと「今日の占い」「今週の運勢」という動画がよく流れてきます。数万回も再生されているものが並んでいます。
わたしもたまに見ます。ただ、ひとつ気になっていることがあります。
出てくるのが、だいたい「いい話」なんです。「うれしいことが起きます」「あなたには特別な力があります」「流れが変わります」。ポジティブな話しか見たことがありません。
おみくじのように、その日の運としてめくるなら楽しいです。でも「本当に自分に合った結果なのか」と聞かれると、うなずけません。
この記事は、そういう距離の取り方をしているわたしが書いています。「AI占いで人生が変わる」とあおるつもりはありません。
いま、AIを使った占いを副業にする、という発信が増えています。「知識ゼロ」「スマホだけ」「1日15分」という言葉と一緒に紹介されています。気になっている人も多いはずです。
そこで、AI占いの副業を宣伝としてではなく、現実として見ていきます。中身はこうです。
AI占いとは、そもそも何をしているのか
副業として見たとき、稼げる部分と大変な部分はどこか
実際に始めるなら、どういう手順になるのか
続けるうえで、法律とマナーの面で気をつけること
無料で読めるのは第2章までです。第3章からは、実際に手を動かす人向けの具体的な手順に入ります。
読み終わったとき、「自分がやるかどうか」を、あおり文句ではなく中身で判断できる状態になっているはずです。それを目指して書きます。
第1章:AI占いって、結局なに?
この章でわかること:AI占いが実際に何をしているのか、なぜ「当たった」と感じやすいのか、どんな占いがAIに向いているのか。
ChatGPTが出しているのは「占い風の文章」
まず、言葉の意味をそろえます。
この記事で言う「AI占い」とは、簡単に言うと「ChatGPTのような文章を作るAIに、占い師の役をやってもらって、鑑定の文章を作ってもらうこと」です。
ChatGPTに「わたしの今日の運勢を占って」と入れると、それらしい答えが返ってきます。ここで大事なのは、ChatGPTが星の位置を計算したり、タロットのカードを実際に引いたりしているわけではない、ということです。
ChatGPTは、インターネット上にある大量の文章を読み込んでいます。その中には、占い師が書いた鑑定文もたくさん含まれています。だからChatGPTは「占い師ならこう書く」という言い回しを、うまくまねできます。
出しているのは、計算結果ではなく「占い師っぽい文章」です。ここを最初に押さえておくと、あとの話がぶれません。
なぜ「当たっている」と感じるのか
AIの鑑定を読むと、「なんか当たっている気がする」と感じる人は多いはずです。
これには理由があります。心理学に「バーナム効果」という言葉があります。簡単に言うと「誰にでも当てはまる曖昧な文章を、自分だけに当てはまっていると感じてしまう心のクセ」のことです。
たとえば「あなたは周りに気をつかいすぎて、疲れをためこむことがあります」。多くの人が「たしかに」と思います。でも、ほとんどの人に当てはまります。
ChatGPTは、こういう「多くの人が自分ごとだと感じる表現」を選ぶのが得意です。だから読むと当たっている気がします。占い師がやる占いと同じで、「確実に当たる」という根拠はありません。ここは正直に受け止めておきます。
AIが得意な占い、苦手な占い
占いにはいろいろな種類があります。AIとの相性で分けると、わかりやすくなります。
相性がいいのは、ルールがはっきりしている占いです。
西洋占星術(星座占い):生年月日から決まった読み方をする
四柱推命:生年月日と生まれた時間から決まった要素を出す
数秘術:生年月日の数字を足して数を出す
タロット:カードの位置と意味の組み合わせで読む
簡単に言うと「決まった手順で意味を出す作業」なので、文章を組み立てるのが得意なAIと合います。
相性が悪いのは、霊視や霊感のように、決まった手順がなく、その人の直感に頼る占いです。AIには直感がないので、まねしても中身が薄くなります。
副業として始めるなら、ルールがはっきりしている占いから選ぶのが現実的です。この話は第3章でくわしく扱います。
第2章:副業としてのAI占いの「本当のところ」
この章でわかること:占いの市場は実際どれくらいか、「1兆円」という数字のからくり、稼げる人と稼げない人の差、そして実際にやった人の正直な感想。
占いの市場は「約997億円」
AI占いの副業をすすめる動画では、「占い市場は日本で年間1兆円」「2兆円」という数字がよく出てきます。大きい数字を見ると「それなら自分にもチャンスがありそう」と感じます。
ここは正確に見ておきます。
矢野経済研究所という調査会社が、2024年12月に占い・スピリチュアルの市場調査を発表しています。それによると、占いサービス市場の規模は2023年度で約997億円です。対面の占い、電話占い、メールやチャットの占い、占いのスキルを売り買いするサービスなどを合わせた数字です。
つまり「占いそのもの」の市場は、およそ1,000億円です。1兆円ではありません。
では「1兆円」「2兆円」はどこから来たのか。同じ調査で、スピリチュアル関連ビジネス市場という、もっと広い区分の数字が出ています。こちらは2023年度で4兆2,418億円です。ただしこの区分には、宗教関連、パワーストーン、ヨガ、宝くじなどが含まれています。占いとは別のものがたくさん入っています。
大きい数字は、占いだけの市場ではありません。記事や発信でこの数字を見たら、「何を合計した数字か」を確認するクセをつけると、判断を誤りにくくなります。
出典:矢野経済研究所「占い・スピリチュアル関連ビジネス市場に関する調査(2024年)」
若い世代が占いを使う流れはある
市場の数字とは別に、占いを使う人のすそ野は広がっています。
2026年7月には、経済メディアのNewsPicksが「令和の時代、若者に占いが大流行している」という動画を公開しています。生成AI、カウンセリング、占いアプリといった切り口で取り上げられています。
若い世代が、占いを「未来を当てるもの」というより「気持ちを整理するもの」として使う場面が増えている、という見方です。この流れ自体は、複数の場所で共通して語られています。
稼げる人と稼げない人の差
AI占いの副業で「うまくいかない」と言う人には、共通点があります。副業を扱う複数のメディアが、ほぼ同じことを書いています。
AIが出した文章を、そのまま(手を入れずに)売っている
ほかの占い師との違いがない
お客さんを集める仕組みがない。出品しただけで待っている
値段のつけ方がずれている。最初から高すぎる、または安すぎて実績が積み上がらない
逆に言うと、この4つを避けている人は、少なくとも土俵には立てます。第3章から第5章は、この4つをつぶすための手順です。
実際にやった人の正直な感想
「AI占いは簡単」という発信が多い中で、実際に1か月やってみた人の記録があります。
ある副業系のチャンネルで、副業初心者が「12星座×12か月ぶんの運勢をAIで作り、資料作成ツールで整えてPDFにして販売する」という方法を試しています。出品から10日で最初の売上は出ていました。
ただ、本人が語っている大変だった点はこうです。
AIの出力に間違いが多い。牡羊座の話をしているのに、途中で牡牛座の説明が混ざる。修正に時間がかかった
作ったPDFのデータが重すぎて、販売サイトの上限に引っかかった。圧縮の作業でつまずいた
無料のAIだと使用回数の制限があり、複数のAIを行き来して混乱した
そして本人の結論は「深刻な悩みに、占いを学んでいない自分が答えていいのか迷いが出る」「集客にも時間がかかる」「簡単・おいしい副業ではないと思う」でした。
AI占いをすすめている発信者自身も、「これは労働収入。自分の手が止まれば、収入も止まる」と認めているケースがあります。
夢のような話ではありません。手を動かす作業があり、続ける必要があります。そのうえで「やる価値があるか」を、次の章から具体的に見ていきます。
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