「私は悪くない」が通用しない朝7時。ブラックアイスバーンと、生活を守る「心のスタッドレス」の話
1月下旬の朝。
カーテンを開けると、窓ガラスが結露でびっしりと濡れている。
吐く息が白くなるほどの冷え込みに、「布団から出たくないなぁ」なんて思いながら、身支度をして車に乗り込む。
いつもの通勤ルート、あるいは子供を保育園へ送るいつもの道。
ハンドルを握りながら考えるのは、今日の仕事の段取りや、夕飯の献立のこと。
そんな日常が、たった数秒で「非日常」に変わる瞬間があります。
カーブの手前、アスファルトが黒く濡れているように見えた場所。
何気なくブレーキを踏んだ瞬間、足の裏から「スーッ」と血の気が引くような感覚が伝わってくる。
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の作動音。
ハンドルが効かない浮遊感。
スローモーションのように近づいてくる、前の車やガードレール。
「ブラックアイスバーン」です。
冬の運転において、これほど理不尽で、恐ろしいものはありません。
今回は、一年で最も寒いこの時期にこそ確認しておきたい、冬の事故と「心のお守り」についてお話しします。
事故そのものより怖い「泥沼」
幸いにも、怪我はなかった。車の傷もバンパーが凹んだ程度。
警察を呼んで、事故処理も終わった。
「ああ、よかった。体さえ無事ならなんとかなる」
そう思うのはまだ早いです。
実は、交通事故の本当のストレスは、家に帰ってから始まります。
相手との「示談交渉」です。
特に冬のスリップ事故は、責任の所在が曖昧になりがちです。
こちらは「止まれなかった」と言うし、相手も「急に滑ってきた」と言う。
お互いに気が動転しているし、「自分は悪くない」と思っているから、電話口での話し合いは往々にして感情的になります。
「そっちがスピード出しすぎてたんじゃないのか!」
「修理費はどうしてくれるんだ!」
仕事中だろうが、夕食の準備中だろうが、相手保険会社や相手本人から電話がかかってくる。
その度に嫌な記憶がフラッシュバックし、胃がキリキリと痛む……。
そんな「精神的な二次災害」で、生活が壊れてしまう人が実はとても多いのです。
「もらい事故」の落とし穴
さらに知っておくべき、衝撃的な事実があります。
もし、赤信号で停車中に後ろから追突された場合など、あなたに過失が全くない(過失割合0:100)事故だとどうなるか。
「私は悪くないんだから、保険会社さんが全部やってくれるんでしょ?」
いいえ、違います。
法律の決まり(弁護士法)で、あなたに過失がない場合、保険会社は相手との示談交渉を代行することができないのです。
つまり、一番被害者であるはずのあなたが、たった一人で、相手(あるいは相手の保険会社)と直接交渉しなければならない。
これは、知識のない素人がプロの格闘家とリングで戦うようなものです。
「そんなの、あんまりだ」
そう思ったあなたにこそ、今すぐ確認してほしい項目があります。
自動車保険の証券にある、「弁護士費用特約」という文字です。
これは読んで字のごとく、事故の交渉を弁護士に依頼するための費用を保険でカバーできる特約です。
「弁護士なんて、裁判沙汰になった時用でしょ? 大げさな……」
そう思うかもしれませんが、今の時代の使い方は少し違います。
この特約は、「面倒な相手との連絡を、全てプロに丸投げするためのチケット」なのです。
特約を使えば、弁護士があなたの代わりに窓口になってくれます。
相手からの怒鳴り声も、理不尽な要求も、全て弁護士が盾になって受け止め、法的に冷静な対処をしてくれます。
あなたはもう、怯えながら電話に出る必要はありません。
この特約、実は月額数百円(ランチ1回分程度)でつけられることがほとんどです。
等級への影響もありません(ノーカウント事故扱い)。
冬の道、物理的な滑りを防ぐのがスタッドレスタイヤなら、
事故後の「心のすり減り」を防いでくれるのが、この弁護士特約。
いわば、「心のスタッドレスタイヤ」です。
寒波が来る前に、証券の確認を
「私は運転が慎重だから大丈夫」
「スタッドレスを履き替えたから平気」
そう思っていても、氷の上では物理法則がすべてです。そして、相手が滑ってくることまでは防げません。
だからこそ、一度ご自身の自動車保険の証券を確認してみてください。
もし「弁護士費用特約」が付いていなければ、保険会社のサイトや代理店に連絡してみましょう。
多くの保険会社で、更新時期を待たずに途中から追加することも可能です。
1月、これから寒さは本番を迎えます。
物理的な備えと一緒に「心の備え」も万全にして、温かい春を迎えられますように。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、保険商品の詳細は各社の約款・重要事項説明書をご確認ください。
※保険の補償内容や条件は各保険会社により異なります。加入前に必ず約款をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供です。最終判断は各家庭の状況・各保険商品の条件をご確認のうえご検討ください。
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