見出し画像

のりもの人生

 「私は乗り物である。」と言うとドーキンスの『利己的な遺伝子』が思い浮かぶがそうではない。私は息子の物理的移動手段なのだ。

 息子は3歳12キロ。外出時にはヒップシートを使っている。特に登園時には、時間がないため、たいてい私は走っている。ヒップシートに座るではなく立つ息子は、急ぐのが楽しいらしくご機嫌である。

 それで良いと思っていたけれど、ちょっときつくなってきた。そこで先日、私は息子に宣言した。
「乗り物を卒業する!」
息子はキョトンとしていたが、次の日、彼は途中まで歩いてくれた。

 数日が経った。私は今でも乗り物だ。結局時間がなく、抱えて走っていく毎日を送っている。しかし希望もあるのだ。

 以前は毎日肩車だった。 ところがいつしか肩車を求めなくなった。なぜかはわからないが、ヒップシートにくら替えしたらしい。いつかヒップシートに飽きる日が来るかもしれない。

 毎朝手をつないで歩いて登園する。そんな日を夢想しながら、今日も私のキャリアは続く。

いいなと思ったら応援しよう!