仕事のマインドが欠落した部下に、私が伝える3つの話
「めんどくさい」
「これ、意味あるの?」
部下がこう言うたびに、私は同じ言葉を返す。
「意味はあなたが決めることじゃない。顧客が決めることだ。」
30代。一緒に働いて数年。
仕事はそつなくこなすが、責任感が薄い。
ミスを認めず言い訳をする。
締め切りを守らない。
そして何より、「会社にいれば給料がもらえる」という空気を漂わせている。
悪意があるわけではないと思っている。
ただ、ビジネスのマインドを学ぶ機会がなかっただけかもしれない。
だから私は、3つの話を繰り返し伝えることにしている。
「ギバーか?テイカーか?」あなたはどちら側で働いているか
組織心理学者アダム・グラントの研究に、こんな分類がある。
人は「ギバー(与える人)」と「テイカー(奪う人)」に分かれる、というものだ。
テイカーは、組織や周囲から価値を受け取ることを優先する。
自分の手間を減らし、責任を他者に押しつけ、短期的な利益を最大化しようとする。
一見、賢く立ち回っているように見える。
しかしグラントの研究が示すのは、長期的に成功するのはギバーだということだ。
与え続ける人間には信頼が集まり、仕事が集まり、評価が積み上がる。
テイカーはいつか、周囲から見切られる。
あなたは今日、職場に何かを与えただろうか。
それとも受け取るだけだっただろうか。
一杯900円のラーメンが教えてくれること
客は努力を見ていない。
でも努力なしに行列は生まれない
行列のできるラーメン屋がある。
一杯900円。
客はただ並んで、食べて、帰る。
店主がどれだけ仕込みに時間をかけ、スープのレシピを何度改良し、接客を磨いてきたか。
そんなことは、客には関係ない。
しかし、その見えない努力がなければ、行列は生まれない。
給料も同じだ。
会社はあなたの「時間」に対して払っているのではない。
あなたが生み出す「価値」に対して払っている。
価値は、見えないところでの努力と責任感から生まれる。
それを怠った瞬間、信頼は静かに消えていく。
「めんどくさい」という言葉が出るたびに、私はこの話をする。
店主が仕込みを「めんどくさい」と言った日から、行列は減り始める、と。
「今回うまくいったからいい」では、仕事は積み上がらない
どんな仕事にも「再現性」が求められる。
プロの仕事には、再現性がある。
今日だけ美味しいラーメン屋には、リピーターがつかない。
その日の担当者によって接客の質が変わるサービス業は、信頼を積めない。
自分しかわからない進め方で仕事を抱え込むビジネスパーソンは、組織の弱点になる。
「今回うまくいったからいい」は、再現性のない仕事だ。
次も同じ結果が出せる根拠がない。
誰かに引き継げる形になっていない。
それは、仕事が積み上がっているのではなく、ただ消費されているだけだ。
プロとは、同じ品質を何度でも、誰でも再現できる仕組みを作れる人のことだと私は思っている。
意味はあなたが決めることじゃない
ギバーかテイカーか
900円の行列
再現性
この3つの話は、結局ひとつのことを言っている。
仕事の意味は、自分が決めるのではなく、相手が決める。
顧客が、チームが、組織が、その仕事に価値を感じるかどうかで決まる。
「めんどくさい」「意味があるの?」という問いは、相手ではなく自分に向けるべきものだ。
自分がやっていることは、誰かの役に立っているか。
その問いを持ち続けられるかどうかが、プロとそうでない人を分ける。
マインドは、伝え続けることでしか育たない
ビジネスのマインドは、誰かに教わらなければ育たない。
学校では教えてくれない。
最初の職場がそれを問わない環境であれば、気づく機会すらない。
だから私は、諦めずに話し続けることにしている。
聞き入れるかどうかは、本人が決めることだ。
しかし伝えないことには、何も始まらない。
管理職の仕事は、指示を出すことだけではない。
仕事の意味と姿勢を、言葉にして渡し続けることも含まれる、と私は思っている。
