#106 No dealを選ぶ「フラットさ」と「勇気」
前回、
私たちの選択肢は3つではなく、
実質2つしかないと書いた。
Win-Winか、
No Dealか。
では、
その「No Deal」は、
どう選ぶのだろうか。
あるとき、
私は事業部の仕組みを根本から改善する
プロジェクトを提案した。
大きな品質問題の反省からだった。
仕事のやり方を、
根本から変えられると信じていた。
しかし、
ある同僚が異議を唱えた。
いつも私の提案に
異議を唱える彼だった。
「理想的だが、時間がかかりすぎる」
「もっとシンプルな方法があるのではないか」
私にはそれが、
本質から目を逸らした
安易な手直し案に思えた。
だからこそ、
いつも以上に強く、
このプロジェクトの必要性を訴えた。
それでも、
彼は同意しない。
そのとき、
ふと気づいた。
私は、
相手を自分の正しさに
合わせようとしていた。
そして一歩引いて、
私たち二人を眺めたとき、見えた。
彼の目からは、
私とはまったく違う
ロジックの世界が見えているということ。
私と彼はいつも、
Win-Loseか、Lose-Winか、
どちらかを選ばせようとしていた。
しかしそのどちらも、
結局はLose-Loseに向かう。
そのとき、
「No Deal」という言葉が浮かんだ。
私は、こう言った。
「これ以上議論を続けても、結論は出ないようです。」
「ただ一つ、
あなたと私の意見が異なっている、
という点だけは合意できそうですね。」
「まずは、
“違っている”というところから始めませんか?」
彼は、何も言わなかった。
それが、
おそらくNo Dealだった。
No Dealには、
関係を断たないフラットな在り方と、
性急に結論を出さない勇気がいる。
中途半端なWin-Loseを選ばない。
その場の決着よりも、
関係の未来を優先する。
その選択は、
可能性を閉じるのではなく、
むしろ残していく。
Win-Winが成立しないのであれば、
No Dealを選ぶ。
それもまた、
Win-Winを生み出していくための実践である。
あなたは、
No Dealを選んだことがあるだろうか。
それとも、
自分の正しさを手放せずに
Win-Loseを選んでいないだろうか。
あるいは、
結論を出すことに縛られて
Lose-Winを選んでいないだろうか。
