第4話 最後の金曜日
私は彼と最後に会った日のことを思い出した。
「もう、会わないほうがいい」
あの言葉。
あの時の彼は、
私を見ようとしなかった。
まるで何かから逃げるように。
私は健太にもう一度会った。
「彼が何を隠してたの?」
健太は長い沈黙のあと、
一つの封筒を差し出した。
「これ、彼から預かってた」
中には、一枚の写真と手紙が入っていた。
写真には、私が写っていた。
知らない場所で撮られた写真。
「これ……いつ撮ったの?」
手紙を開く。
そこには彼の字で、
『もし俺が君と別れたら、この手紙を渡してほしい』
と書かれていた。
そして最後に、
『俺がいなくなってから読んでほしい』
私は震えた。
「いなくなってから……?」
その言葉の意味を理解する前に、
スマホが鳴った。
知らない番号。
電話に出る。
「もしもし?」
しばらく無音。
そして、女性の声がした。
「あなた……まだ彼のことが好き?」
私は答えられなかった。
女性は続けた。
「だったら、最後の金曜日に会って」
「どこで?」
「彼が一番好きだった場所」
電話が切れた。
私はすぐに分かった。
海だった。
