【ふつうじゃない子】
いつも読んでいただいて、ありがとうございます。実は相談があります。手を入れたり寝かしたりしてずっと完成しない物語があります。考え込んでしまい、ずっと表に出せなかった物語です。この物語を読んでいただき、いただいたコメントを参考に、創りなおしてみたいと思いました。あるnoterさんの共同制作に参加していて、とても良い試みだと思ったので、真似をさせてもらいました。眠っていたこの物語を皆さんの意見を活かして形にしたいです。率直な感想、ここがいい!またはこれはおかしいよ!というコメント待ってます。一言コメントでも嬉しいです。よろしくお願いいたします。

ふつうの村がありました。村の人はみんな同じような背の高さで、顔が似ていました。
ある夫婦のところに、とても大きな男の子の赤ん坊がうまれました。あまりに赤ん坊が大きかったので、赤ん坊を生むときにお母さんはひどく苦しみました。
「ふつうの赤ん坊がよかったのに」
お父さんはうらめしそうにいいました。
もともと大きかった赤ん坊は、7つのころには、おとなと同じくらいの背丈になりました。
いつしか男の子は村のみんなから、「ふつうじゃない子」とよばれるようになりました。
ふつうじゃない子はとんちんかんで失敗ばかり。畑をたがやせば、力を入れすぎて、穴だらけにしてしまう。草とりをてつだえば、野菜の苗も一緒に抜いてしまう。
「なんてぐずでのろまなんだろう」
「大きいだけで何の役にも立たないじゃないか」
みんなは口々にいいました。
「ぼくがふつうだったらよかったなあ」
男の子は思いました。
冬のある夜、ふつうじゃない子は、家の前に犬が捨てられているのに気がつきました。やせて、がりがりの毛が抜けた老犬でした。
「お前もふつうじゃないから捨てられたのかい?」
男の子はそういって、犬を拾い、自分の部屋に入れてやりました。そして、少ない食べ物を分け合って、一緒の毛布にくるまって眠りました。
この日から、犬だけが男の子の味方になりました。ふつうじゃない子は、犬を「またさん」と呼ぶようになりました。離れても、「また、会えるように」と願ってつけました。
男の子が村の子どもにいじめられると、またさんは男の子に覆いかぶさって石つぶてをあびました。男の子がお父さんに怒られると、またさんが前に立ちふさがって殴られました。ふたりはいつも一緒でした。
その年の夏は、日でりつづきで、たんぼの水は枯れ、のみ水もなくなりました。
年をとったまたさんのからだにひどいあつさはこたえて、ついに、またさんはたおれてしまいました。
「雨は空から降ってくるから、天国には水がたくさんあるはずだ」
ふつうじゃない子は天国に向けて村をでました。
「またさんを助けたい」そう思ったら、ふつうじゃない子のからだはぐんと大きくなり、家くらいの高さになりました。
ふつうじゃない子は、またさんを手のひらでつつんで、走って走って走って走りました。
ふつうじゃない子は生まれてはじめて、
「ぼくがふつうじゃなくてよかったなあ」とおもいました。
ふつうじゃない子がいなくなっても悲しむ人はいませんでした。そのころから、村には不思議なことがおこりました。子どもがひとりも生まれなくなったのです。やがて、人がいなくなり、村は絶えてしまいました。
それから何年たったでしょう。
野をこえ、山をこえ走るうちに、ふつうじゃない子のからだはまたずんずん大きくなっていきました。
「またさん、ついたよ」
雲の上に顔が出たころ、そっと手をひらいてみると、またさんは手のなかでつぶれていました。ふつうじゃない子はいつのまにか大きくなりすぎていたのです。
ふつうじゃない子は生まれてはじめて、泣きました。雲のうえからごんごんごんごん大きななみだをこぼしました。
ふつうじゃない子は、そのままかえってきませんでした。
地上には、あたらしい湖ができました。やがて、湖から水をひき、あたらしい村がいくつもできました。
あたらしい村には子どもが生まれました。
ところが、生まれてくる赤ん坊はみんな「ふつう」じゃありませんでした。
目の大きい子、背の低い子、優しい子、いじめっ子。せっかちな子、いたずらばかりする子。
いろんな家にいろんな子どもが生まれました。どの子どものお父さんとお母さんも、自分の子どもが世界で一番かわいいと思いました。
もう誰も「ふつうじゃない子はいらない」なんて言いませんでした。
