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K-POPアイドルの「オールラウンダー」の基準、下がってきてない?

K-POPアイドルを称賛する修飾語として「オールラウンダー」って言葉がありますよね。


私もK-POPに関する記事を書いているので、「オールラウンダー」という言葉はよく使用するんですけど……

ある時ふと思ったんです。

「最近、誰にでも“オールラウンダー”って使ってない?」って。


なんかこう、「オールラウンダー」って言葉が出てきた時って、もっと限定的に使われていた気がするんです。

ボーカルもラップも、ダンスも上手い。

そんな、全てにおいて高いレベルの実力を備えている人に使う言葉だったはずなんですけど……いつしか基準が曖昧になってきちゃったなって思うんです。

「ボーカルとダンスが上手くて、ビジュアルがいい」みたいな人や「ボーカル・ダンスが上手くて、やろうと思えばまあラップもできるか?」みたいな人にも使っちゃってるなと。


これの何が違うって、レベル感なんですけど。

「できる」ってだけで「オールラウンダー」になっちゃってる気がして。

それは、K-POP全体のレベルが上がっているからという理由もあると思いますが、それにしても、みんな「オールラウンダー」じゃ、差別化する言葉ではなくなってしまう気がして。


ちょっと前なら「オールラウンダー?すごいね!」みたいな感じで驚かれていたのが、今や「オールラウンダーです」と言われても、「ボーカル・ラップ・ダンス、全部やる人なんだあ」程度になってしまったというか。

これって、別にそこまで高水準のスキルを持っているわけではない人に使われていたりして、特別感が薄れてきているからそう感じてしまうんだと思うんです。

でもそれってなんかもったいないなと。


「オールラウンダー」は、K-POP第4世代から急増したと思うんですけど、「オールラウンダー」という言葉が誕生してからしばらく経った今、こうして感じている違和感を、少し客観的に分析してみたいと思います。




K-POPの進化がもたらした言葉の「インフレ」

まず、「オールラウンダー」の基準低下の原因は、K-POP業界の構造的な変化が背景にあると思います。


▼K-POP各世代の特徴は、こちらのマガジンにまとめてあります!


厳しいトレーニングによる「底上げ」による価値の低下

K-POPアイドルのトレーニングシステムは、年々厳しく、そして多角的になっています。

K-POP市場の成長と進化に伴い、トレーニング内容も、そこで身につけられるスキルも年々レベルアップしているとイメージしてもらえればいいかなと。


これはK-POPに限らず、どんな業界もそうだと思いますが、時代が進むにつれて、なんでも進化しますよね。

例えばスポーツ、わかりやすく陸上競技で例えてみましょう。

世界記録は大体、数年単位で更新されていきます。

たま〜に、女子100mのフローレンス・グリフィス・ジョイナーが1988年に樹立した10秒49のように、30年以上破られない不滅の記録もあったりしますが。

それは例外です。


こうした例と同じように、K-POPも年々進化を遂げています。

これってすごくいいことなんですけど、その結果、昔なら「スペシャルな才能」として扱われた「ボーカルもラップもダンスも平均以上にこなせる」というスキルは、今ではアイドルの最低基準になったんです。

メンバー全員が一定水準のパフォーマンスを求められるようになったのは事実です。

K-POP界は、日本のアイドルのようにビジュアル至上主義ではなく、実力至上主義。

ビジュアル≦実力な世界。

だからこうして全員のスキルレベルが上がると、「多才な人」がふつうになってしまい、相対的に「オールラウンダー」という言葉の希少価値が下がってしまうんですよね。


ポジションレス化が言葉の特別感を薄めた?

TOMORROW X TOGETHER(TXT)がデビューしてからというもの、ポジションレスグループが増えました。

ENHYPEN、NewJeans、BOYNEXTDOORのように。

HYBE LABELSのアイドルたちのほとんどがそうですよね。


TXTは、デビュー時から公式のポジションを設けていないことで有名ですが、 これは、誰がどのパートをしてもパフォーマンスのクオリティを維持できる、という事務所側の自信の表れでもあります。

でも、そんなポジションレスグループも「全員がオールラウンダー」というわけではありません。

せいぜいオールラウンダーは1人か2人で、あとは「ボーカルとダンス」とか「ラップとボーカル」とか「ボーカルとラップ」とか。

2ポジションを高いレベルでこなせる人が揃っているというイメージです。


私が考える「真のオールラウンダー」の厳格な定義

本来、「オールラウンダー」という言葉が持つ特別感を保つためには、「実力の3要素」、つまり、K-POPアイドルの基本要素である「ボーカル・ラップ・ダンス」の3要素に限定し、高いレベルを要求すべきです。


ビジュアルはスキル要素ではないので、実力ではありません。


そして、演技力は、K-POPアイドル全員が必ず備えておくべきものではありません。

それは俳優・女優という別軸の職業に必要なものだからです。


そして作詞・作曲・編曲という楽曲制作スキルも、あればもちろん素晴らしいですが、それもアイドルに必ず必要なものではありません。

ステージに上がるために必要なものではないですよね?

作詞家・作曲家・編曲家というスペシャリストが世の中にはたくさんいるので、持ち合わせていなくても問題がないからです。


そして、振付能力も別物です。

これも振付師というスペシャリストが世の中にはたくさんいるので、持ち合わせていなくても問題がないからです。


ということで、「オールラウンダー」という言葉が持つ特別感を保つためには、「実力の3要素」、つまり、K-POPアイドルの基本要素である「ボーカル・ラップ・ダンス」の3要素に限定する必要があるといえます。


厳格な基準:パフォーマンスの3要素すべてが「リード」以上

私が考える「真のオールラウンダー」とは、上記で定義した「実力の3要素」において、下記の全てを満たすメンバーを指します。

  1. 評価ポイントを、ボーカル・ラップ・ダンスの3要素に限定する

  2. 全ての要素でリードポジション(またはそれ以上)のスキルを持っている

  3. うち1つはメインポジションに匹敵する、もしくは担当している

  4. どれか1つがメインポジションなら、どれか1つはサブポジションでも問題はない

この厳しい基準で考えると、「真のオールラウンダー」はかなり限定されてくると思うんです。

では、具体的に誰のことを言うのか……

数名のアイドルを例に出してみます。

あくまでも一例ですよ〜。


BTS ジョングク:3要素全てが満遍なく「上手い」象徴

ジョングクはといえば、デビュー当初からその多才さから「黄金マンネ」と呼ばれていました。

呼び方こそ異なるものの、「オールラウンダー」の走り的存在で、ある意味「オールラウンダーの象徴」的な存在です。


ジョングクは、BTSのメインボーカル。

ソロでも通用する、卓越した歌唱力を持っていますよね。

それから、グループのパフォーマンスを支えるリードダンサーとして、ダンススキルも非常に高いです。

さらに、デビュー初期にはサブラッパーを担当していたこともあり、3要素全てを高水準でこなせるK-POPアイドルであるということになります。


NCT ジェヒョン:ビジュアルに隠れた万能性

NCTのジェヒョンは、深い声質のボーカルが武器で、NCT127ではメインボーカルを担当しています。

それから、滑らかでしなやかなダンスが魅力で、リードダンサーも担当。


そんなジェヒョンといえば、その正統派の甘いマスクがゆえに、ジュアルが注目されがちですが、ラップもこなす実力があり、どのスキルも確実に平均以上。

NCT127ではリードラッパーですしね。


とくに、ボーカルとダンスにおける安定感と表現力が高水準で、ラップパートはそんなに多くはないものの、どれも高水準でこなせる真の実力者と言えます。


WOODZ(チョ・スンヨン):マルチな才能と突出した感性

WOODZ(チョ・スンヨン)は、『Drawing』がバズって、今大注目の韓国アーティストですが、元々はUNIQ(ユニーク)のメンバーとしてデビューし、Mnet『PRODUCE X 101』に出演して、X1のメンバーにも選ばれたK-POPアイドルです。


WOODZは、ラップ・ボーカル・ダンスの全てのスキルが非常に高く、どのポジションも超高水準でこなします。

それに加え、ソロ活動では作詞・作曲もしているため、楽曲制作も可能な「マルチな才能」の持ち主としても知られています。


もともとラッパーとしての印象が強かったところ、Mnet『PRODUCE X 101』に出演した際にボーカルやダンスの実力も評価され、「オールラウンダー」としてK-POPファンに認識されるようになりました。


こうしたマルチな才能は、WOODZ自身が持つ突出した感性と、センス、そして努力が組み合わさって出来上がったものと言えます。


i-dle ソヨン:ラッパーでありながらボーカルもこなす「自主制作ドル」の核

i-dleのソヨンは、グループのリーダーであり、楽曲の作詞・作曲、グループのプロデュースまで、ほぼ全てを手掛ける「自主制作ドル」として知られています。


そんなソヨンといえば、K-POP女性アイドルの中ではトップクラスのスキルを持つラッパーです。

それでいて、ボーカルにおいても安定した実力を持ち、メインボーカルのメンバーを差し置いて、サビの高音パートを担当することもある実力者。

もちろん、ダンスも高水準。

こうして、グループのパフォーマンスを牽引する存在であり、なんといってもボーカル・ラップ・ダンスという3要素だけでなく、楽曲制作という要素まで持っていることから、「オールラウンダーの象徴」として名前が上がることの多いアイドルの1人です。


TWS ドフン:K-POP第5世代ボーイズグループを代表するオールラウンダー

TWSのドフンは、K-POP第5世代ボーイズグループのアイドルの中でも、とくにわかりやすい「オールラウンダー」です。


動画を見ていただければ分かるとおり、わかりやすくボーカルパートもラップパートもダンスパートも多く、TWSのパフォーマンスの主体になっていることがわかります。

こうした“明らか感”も「オールラウンダー」と呼ぶには必要な要素だったりします。


BABYMONSTER アヒョン:K-POP第5世代を代表する圧倒的実力者

BABYMONSTERのアヒョンこそ、K-POP第5世代を代表するエースです。


新人、いや、アイドルとは思えないほどの幅広い音域と仮称テクニックを駆使して歌い上げる、圧倒的な歌唱力を持っています。

そして、メインラッパーと同等のラップスキルも持ち合わせていますよね。

さらには、「(上手すぎて)浮いている」なんて言われてしまうくらいにダンススキルも高いです。


「ボーカル・ダンス・ラップ」の3つ全てでグループの主要パートを担える実力は、まさに「真のオールラウンダー」と呼ぶにふさわしいでしょう。


「オールラウンダー」を曖昧にする“水増し”の問題点

私が感じる違和感の正体は、この“実力以外の要素”で「オールラウンダー」と呼ぶ“水増し”にあります。


「ラップができない」を「ビジュアル」で補強するケース

本来、オールラウンダーは「ボーカル・ラップ・ダンス」という、アイドルが備えておくべきパフォーマンススキルの基本3要素が全て求められます。


でも現実には「歌とダンスはリード級でも、ラップは担当外」というメンバーが、「オールラウンダー」と呼ばれることがあります。

そのときは大体、「ビジュアルの良さ」や「多言語対応能力」、「演技力」あるいは「作詞・作曲能力」といったパフォーマンスの根幹ではない要素を組み合わせてオールラウンダーと呼んでいます。


これは、アイドルとしての「総合的な商品価値」を評価するマーケティング戦略だと考えられますが、この曖昧な使い方は、「真に三要素全てを磨き上げたアイドル」への正当な評価を薄めてしまうと思うんです。


おわりに|失われゆく「オールラウンダー」の価値を、どう守るべきか

K-POP全体のレベルが上がったことは本当に素晴らしいことで、それによってファンである私たちは、日々楽しませてもらっている。

それは紛れもない事実です。

でも、それに伴って言葉がインフレし、価値が下がっているのも事実だと思います。

だからこそ、私たちファンが「オールラウンダー」という言葉を使う際には、「厳密な定義」を意識することが大切だと思うんです。


私も長年K-POPファンをしていますし、推しが可愛いので、ボーカルとダンスが上手くて、ビジュアルが良ければ「オールラウンダー」と呼びたくもなります。

でも「ちょっと待てよ?」ってなるんですよ。

「推し、別にラップはできないよね」って。


だから、「オールラウンダー」という言葉が本来持っていた「高水準な実力」という価値を再認識することで、真のオールラウンダーへの敬意を示すことができるのではないかと思っています。



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Eum(うむ)|K-POP雑食オタクのエンタメライター このnoteも、スタバで書きました☕️ カフェラテ片手に、誰かの心に届く言葉を探しています✍️ もし少しでも何か残ったら、300円の応援で“また書きたい”を支えてもらえたらうれしいです🕊️

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