ジャズ行脚 47/47 @鹿児島
スパムチックなアカウントから立て続けにフォローされて慄いている私です。
ジャズ旅もラスト。 九州最南端の鹿児島県。
運良く2つの素晴らしいジャズを観覧できたので音楽要素強めです。
よろしくお願いします。
・指宿市
指宿行きの電車を結構早い時間から出してくれるので早朝に行ってみた。ジョギング中の方と挨拶を交わし、日の出前の明るみを拝みながら海沿いをお散歩。
道中の其処彼処で立ち込める蒸気が地熱の迫力を物語っている。道中に街灯が少ないぶん白く瞬く蒸気が道標のようで、そばを通るたびに謎の安心感をもらえた。硫黄の香りなので暖は取れないけど。




・cafe&bar tetesan
海岸に面した道にあるカフェ屋さん。現地で朝7時から営業してくださる店は数少ないのでありがたい限り。
ホットココアと季節のパンケーキを頼んだ。OLが注文しそうな組み合わせだけど気にしない。後者の商品は毎月?か定期的にメニューが変わるようで、今回は「キンモクセイとオレンジのパンケーキ」だった。てっぺんにアイスとホイップが乗ったオシャレなパンケーキ。
ちなみに当店のinstagramが毎度面白い投稿をしているので是非ご覧を。紳士な雰囲気の店主さんだが、語り口に秘められたどこか陽気なキャラクターがSNSで表現されている気がする。大変素敵なお店です。

・砂むし会館砂楽

砂風呂(砂蒸し)を体験してきた。
地熱を活かしたアツアツの砂場で粒の大きい砂をドサっと被せられる。地底の旅に行ってらっしゃい的なテーマパークのノリで容赦なく砂を乗せられ、次第に愉快な気分になる。埋められている間はホカホカくらいの熱さだが、起き上がって砂を払ってみると浴衣の中はかなり汗まみれで驚いた。
砂湯を体験した後はシャワーで汚れを落とし、通常の浴室でゆっくりする流れ。
とにかく外国人観光客が多かった。隣国の方たちの話し声がデカすぎでもう少し穏やかに砂湯を楽しみたいところだったが、サービスそのものは大満足です。

・鹿児島市
・カクイックス交流センター(ジャズ鑑賞#1)

11/15に都城でジャズバンドを観た勢いで鹿児島でも音楽鑑賞。
カクイックス交流センターで開催されたNow’s Jazz Orchestraさんのライブを見るためである。 即興的な音楽を持ち味とする11名によるバンド。11人の合奏って何と呼ぶのか分からないが、11テットである。外観はちょっとだけ頭数を減らしたビッグバンドだが、即興と謳うこともあって音楽の志向はおそらくコンボジャズであるはず。
ライブの題名は「和ヲ以テ貴シト為ス」。和ということで、日本で愛された民謡などをジャズで披露するのがコンセプトである。日本の曲というカテゴリで言うと、特に社会人ビッグバンドとかで演奏されるような邦楽は、プロの編曲家がアレンジして市販された譜面をそのまま使用するケースがほとんどで、どこが演奏しても割と似た形になる。しかし当バンドはSaxのサブリーダー(?)の方が一から編曲を手掛けるのでナウズジャズ以外では聴く機会のない、オリジナル性の強い曲調となっていた。
丸っと編曲するとはいえ、一応コンボジャズのお約束ごとというか、大半の曲はイントロ、テーマ、エンディング辺りは楽器関係なく一律譜面に定められているようだった。一方で途中のソロは本当にドフリーで、小節の区切りとか表拍裏拍とか意識せずユラユラ〜っと始まるソロはまだ想定内でも、ソロコーラスの枠組みや決まったコード進行があるのかないのか分からないほどに各各が自由に伴奏・遊びを入れる様子が、非常にインパクトあった。
なるほど紹介文にあった即興とはこういうことかと思っていたが、何曲かよく聴くとこのバンドの特徴はそこではないことに気づいた。
寧ろ味わいすら香る。ソロは当然アドリブなので、ソリスト自身がその場で引き出した音符の羅列が表現されるわけだが、その音やリズム感の違いに呼応してドラムが派手なフィルを挟みまくって掛け合いっぽさを出したり、ゆったりしたバラードチックなサックスのソロに対してベースがストリングで弦をバチバチ叩いて歌舞伎?っぽさを味付けをしたりなど、周囲の演奏から醸し出される情緒を感じ取り、己の回答をそれぞれが楽器で表現する、ブレインストーミング大会のような自由さが売りなのかもと解釈した。アンサンブルのように決められた音に対してみんなで息を合わせることはよくあるが、ナウズジャズではソロパートの人が自由に出した音色に周囲が息を合わせにいって独特のサウンドを創るスタイルのようである。
果てには、フリージャズスタイルで演奏された曲のアレンジ元がなんと落語だったりした。もはや原型が楽曲ですらないので編曲ではなく作曲と呼ぶのが正しいが、アメリカで流行ったビパップにこれまで混ざり合うことのなかった日本の文化を調合して化学反応を起こす、実験的要素の強い前衛的音楽だった。ソロ辺りからは秩序が薄まるので、予測できなすぎる音楽に置いてきぼりになる人もいそうだが、結局最終的には皆が知っている元の民謡のテーマへ帰郷する安心感があるのと、ソロで冒険したときの不安定さを交互に味わえる点がミソな気がしていて、個人的にはその起伏を心から楽しむことができた。
こういう日本的な要素をビッチリ詰め込んだジャズバンドは少ないはずなので、唯一無二の存在として、長く続いてほしいバンドであります。

・麺歩バカボンド
ライブ会場の近くにあるラーメン屋さん。
特製を注文すると写真のようにサイズ大きめのバラが3枚入れていただける。確か肉の種類もバラかロースでチョイスできるはず。写真の撮り方がアレだが大盛りだと見た目以上に量感があって食べ甲斐がある。

・川商ホール

Osaka Shion Wind Orchestraさんの吹奏楽を聴きに行った。
鹿児島2daysのドラクエコンサートが開催され、初日は別の楽団が演奏したようだが、2日目がこのShionさんだった。
公式には大阪拠点とは言え全国的に活動している楽団なのでロケーションのことは特別意識はしてなかったが、鹿児島関係でいうと指揮者の方およびメンバー数名が鹿児島出身らしく、見方によっては凱旋ライブとも取れる。
今回の演奏対象はドラクエ4〜ドラクエ6の三部作構成。ちなみに僕は初代しかやったことないです。なのでライブまでの数日間、仕事中にひたすら音源を動画サイトで聴き倒し、曲の流れを頭に詰め込んだ状態にすることでアーこの曲ネー的な感じで乗り切った。けど、どの作品が好きかの市場調査ではちっとも分からず氷のように固まる。ドラクエ5が人気らしいですね。
現地ライブで視覚情報が多いこともあり自然とアーティストの動きに着目。特に指揮者の動きをずっと見ていた。結構自由に両手両腕を動かしているようだが、個々のジェスチャーが万人(奏者)共通で伝わるような公の定義やルールがあるのかとか、右手は指揮棒でリズムをとってるのだろうけど左手は何を表してるのかとか、かなり長い小節を敢えて左手しか使わずに指揮するのは何か理由があるのかとか、興味深いシーンが多かった。
僕の趣向的にジャズとの比較になるが、コンボ/ビッグバンドのように楽器の種類をある程度絞ってシンプルさを追求するのも良いし、オーケストラみたいに多種の楽器を用いて余すとこなく音の彩りを表現するのも良い。何をフィーチャーするかで曲の雰囲気が変わる点はどちらでも同じで、こういう形態の音楽に飽きが来ない要因がよく分かる鑑賞となった。
余談、チューバとユーフォニアムの違いが相変わらず分からん。
多分一生区別つかない。
・カクイックス交流センター(ジャズ鑑賞#2)

懲りずにまた同じ場所へ来てしまった。
前回のナウズジャズさんはコンボだったが今回はビッグバンド。鹿児島県を拠点とするBig Band Seagullsさんの定期演奏会。1年前の同時期に開催されたライブもマークしていたがタイミングを逸したため、ようやく願ったり叶ったりの鑑賞である。
バンド名が結構好みで、鹿児島の海岸沿いを優雅に飛ぶカモメ(= seagull)をイメージしたネーミング。なんか語感も良い。曲間にメンバー全員で手首をクロスさせてカモメのハンドジェスチャーやってる姿が可愛かったし、手の角度がつきすぎてテツ&トモの赤い人みたくなってる方もいてこれまた可愛かった。それこそカモメというと渡辺真知子の「かもめが飛んだ日」は僕のカラオケ十八番ですが、歌唱の自信を失うのが怖いので未だに点数測定したことがありません。ちなみに職場の年配のご機嫌を取るために歌ってるわけではなく、本当に好きな曲です。
本題に戻すと、ライブの副題がIt Don’t Mean A Thing(以下略)だったのでDuke特集なのかな?とか思ってたが、あくまでこれは当バンドが掲げる演奏に対してのポリシーであって、お題目どおりスウィング調を軸として幅広いアーティストの曲を取り扱っていた。そして、一般人でもどこかで聴いたことがありそうな馴染み深い曲でギャラリーの好奇心を駆り立てつつ、その後ちょっとマイナーだけど耳に残りやすい表現豊かな曲でジャズの世界に惹き込んで一網打尽、という感じで、曲順にも配慮したプログラムに見えた。
ビッグバンドということでやはり曲の土台…寿司で言うとシャリ🍚…となるアンサンブルが大事で、シーガルズさんの場合は特にホーンの多さも活きているのか、観客の心臓を揺らすような音の分厚さとグルーヴが魅力的であった。
それだけでなく、ジャズの具材…寿司で言うと魚さん🐟…とも言えるソロでは各奏者が己の個性を出していると言うか、曲の進行に乗りつつも型に嵌まらない、自由に優雅に(大空を飛ぶカモメのように)奏でる姿が演奏から伝わってきた。ビッグバンドの良さとジャズの良さを両立している感じが好印象である。
寿司の例えは結局何にも掛かってないが、多種多様で鮮度の高いお寿司が2時間楽しめたーその音楽版ーくらいのニュアンスが伝わればいいです。聴覚だけでなく味覚にも優れたジャズとでも呼べるものだったと思います。
印象的だったのはDon Piestrup作曲のNew Blues。バディリッチ楽団がやってたらしいが全く知らない。イントロ/テーマのサックスとペット(フリューゲルホルンだったかも)のデュオが甘味溢れる。思い出したくて原曲をyoutubeで聴き返すにもダビング後の音じゃ幸せが薄れちゃうので、もう一度リアルで聴いてみたいですね。
あと、曲名は言いませぬがアンコール前ラストの曲が、僕が高三の頃受験対策の時間を削ってまでサポートで参加したビッグバンドでの思い出の1曲で、さらにそのバンドは活動が止まってしまったこともあって、再現できない過去の記憶が具現化したような瞬間だった。ジャズ旅の最終回で聴けたことも何かの運命を感じる。終わったあと涙が止まらなかった。超個人的な感想だしここで書いても届かないだろうが、シーガルズさんありがとうございました。
さてさて、フライヤーのプロフィール文を読んみると、鹿児島ジャズフェスティバル(というイベントが最近あったらしく)への次回出場を志しているそうです。出演に至るための条件?があるのかすら存じていませんが、今回の鑑賞のみでの感覚で言えば、バンドに活気があって、演奏も演出も大衆の心を惹くお見事なバンドです。僕は草葉の陰から応援するのみですが、、、フェス運営の方、いてませんか〜…?

(〆 旅の終わり)
ライブ終わり、桜島の美しい景色を背中に帰路につく。演奏の余韻に浸りつつも次第に自分の世界に戻り、頭の中で独り言を始める。
ジャズ旅が終わったら次に何をしよう。やはり日々の活力となる娯楽はあった方がいい。できればまたジャズ関係で、とは思うのだが、今回の企画があまりに壮大で、僕の頭で考えうる最大のイベントを完結させた感がある。その反動なのか、遊びは当分いいやと思う自分がいる。
47回のジャズ旅を通じて得た経験は、音楽の知見を最大限に潤わす一方、それ以外の日常の何かを満たすものではなかった。薄々自覚していたが、結局は現実逃避だったのである。特にここ1年はあらゆるリソースをジャズ旅に充てた分、仕事とか私生活とか人間関係の部分を大きく損なった。そのときのプライオリティに従ったことなので後悔はないけど、娯楽に対して倦怠期が来た今、そろそろ現実と向き合う時間が来たのかもと考えたりラジバンダリ。
今後がどうなるにしても、ひとまずジャズ旅は完結である。
次のnoteにて、これまで観覧させていただいたバンド様への感謝と、企画にかけてきた思いを語り、心残りなく綺麗にエンディングを迎えようと思う。
これまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
おわり
(次回 結言へ続く)
