2026年3月前半の読了本と感想
こんにちは!締切にもろもろ終われながら、頑張っています!
『俺の推し本』の反響が大きくて嬉しい限り!ぜひ見てね!
ちょっと告知を!
①『俺の推し本。』収録
次回の収録は4月1日。
3本ゲストは、エレガント人生・山井!
各回出演ゲストはエレガント人生・中込、オダウエダ・小田、ぼる塾・酒寄!また読書遍歴や執筆の裏側など聞きたいと思います!
チケットこちらから↓↓
②I'm home 【小説✖️間取り図】
ライフスタイル誌 『I'm home』で、連載『ある家の物語』の第6回が掲載されましたー!
僕の書いた短編小説をもとに、建築デザイナー・石川元洋さんが間取り図を書く企画。各話読み切りです!
全国の本屋さんで発売されているので、ぜひです!
③毎日小学生新聞
毎日小学生新聞で連載中の『よしもと読書クラブ』。
今月は僕が担当し、谷川俊太郎さん・西加奈子さん著 『すきがいっぱい』を紹介しています! 約2年間に渡る詩の往復書簡。 互いの作品にインスピレーションを受けながら完成した1冊。とても良い。
そして、ラストには谷川さんが最期に残した『すき』という作品が。
—2026年3月前半の読了本と感想—
①『同姓同名』下村敦史
登場人物、全員大山正紀(おおやままさのり)という狂気の一冊。めっちゃ面白いし、キャラクターの書き分けが上手いから意外と頭がこんがらがることなく読めた。ただ、間で休憩するの一回くらいにしないと、リセットしたらめっちゃややこしくなりそう(笑)
最初にがっつり登場する大山正紀は、プロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟く日を夢見て練習に明け暮れる日々。活躍を機に有名大学へのサッカー推薦が決まるが、そんな矢先、日本中を震撼させる女児惨殺事件が起きる。犯人はすぐに捕まったのだが、その名前が大山正紀だった。それが原因としか思えないタイミングでサッカー推薦が消えてしまう。
それから7年後。プロサッカー選手になれなかった大山正紀は、殺人事件の犯人が少年であり、刑期を終えて出てくることを知る。さらにネットには「大山正紀同姓同名被害者の会」が立ち上がっていた。参加してみると十数人の、殺人犯と同じ名前ということが理由で人生がうまくいかなかった大山正紀たちが集まっていた。彼らは協力して自分が殺人犯ではないことを証明するために、犯人の住所を特定し、顔を公開することを思いつく。
展開がめちゃくちゃ面白くて、ページを捲る手が止まらず、最後どうなるのか楽しみに読み切った。
あらすじでは伝わらないけれど、めちゃくちゃ社会性のある小説だった。殺人犯と同姓同名という事実と、SNSの暴力性をこれでもかと突きつけられた気がする。自分が何もしていないことを証明すること、そんな方法を考えている間にも大山正紀を非難する投稿は増え続ける。
ネットの普及で情報が溢れ、簡単に検索される時代、自分の名前を検索したら殺人犯が表示されてしまうやるせなさ、本当に日本のどこかで起きている話だと思う。
②『殺す時間を殺すための時間』どくさいスイッチ企画
R-1グランプリ2024にて大会史上初のアマチュアファイナリストとなった、どくさいスイッチ企画さんのショートショート集。
手前味噌だけど、芸人とショートショートはめちゃくちゃ相性が良いとずっと思っていて、それが確信に変わった一冊。
ネタと親和性がありすぎる。
舞台でウケるネタを作っていたら、どうしても笑い声にはならないけれど面白いものと出会ってしまう。それを文章にしてみたら面白いってことは多々あり、なんなら許容範囲が広いぶん、ショートショートは出しどころがないネタのセーフティネットになっていると感じることすらある。(もちろん舞台でやってもウケるし、文章にしても面白いものも存在する)
この本にも落語、コント、漫才、漫談のエッセンスが詰まっていた。それでいてショートショートとして表現した時のクオリティが高く、一編ごとの発想が素晴らしい。
僕はショートショートという言葉には、短いお話というほかに、「早く読める」と言う意味も含まれていると思っていて、そういう意味でも完全なショートショート集だった。電車と飛行機で読んだが、例えば動画に挟まれる広告の時間にも一遍読めてしまうほどパッと読めるのも嬉しい。タイトルの「殺す時間」とは暇のことで、「究極の暇つぶし」みたいな意訳になるだろうか。めちゃくちゃ時間を殺してくれた。
お気に入りはシークレットカスタマー、受付、コピーアンドペースト、フォーカードマジック、ゲームキッズ、就職強盗。
③『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』中川裕
「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者による、唯一の公式解説本。めちゃくちゃ面白い。
2025年に東京でアイヌ民族の儀礼「イヨマンテ(熊の霊送りの儀礼)」の公演があって、観に行ったのだが、著者の中川先生はそこでも登壇されていた。アイヌ文化の、特に人間とカムイとの関係についてたくさん教えてくれたのだが、この本は、その時の復習とさらなる理解につながった。
ゴールデンカムイを読んでいてもそうでなくても、第一章を読むだけでもめちゃくちゃ面白いと感じると思う。
「アイヌ=人間」に対して、「カムイ」はアイヌの世界で神様を表すのだと思っていたが、全然違う。もっと広い。
犬、猫、スズメ、カラスもカムイ。
木も草も虫もカムイ。
家、船、鍋、茶碗など人間が作ったものもカムイ。
ガスコンロも火もカムイ。
人間を取り巻いているものほぼすべてがカムイ。
しかし、なんでもカムイというわけではない。
この世の中で何らかの活動をしていると考えられ、人間にできないようなことをするものをカムイというらしい。人間のために何らかの役に立ってくれるものじゃないとダメで、カエルはカムイじゃないらしい。むしろ積極的に嫌われているそうだ。
中川先生は、カムイ=自然や人工物を含んだ「環境」と言う。アイヌとカムイが良い関係を結ぶことによって、お互いに幸福な生活が保たれるとされているそうだ。アイヌ文化を知ろうとすれば、この関係を知ることが全ての始まりになる。
カムイはカムイモシリ(カムイの世界)におり、そこでは人間と同じ姿をして暮らしているらしい。クマもカラスも火も木も火もみな人間の姿で、食事したり結婚したり彫刻したり裁縫したりしている。それは霊魂の状態であり、人間には見えない。
カムイモシリからアイヌモシリ(人間の世界)にやってくるとき、カムイたちは衣装を着てくる。火のカムイは火の衣装、ヒグマのカムイはヒグマの衣装(毛皮や肉)。そこで初めて人間の目に見えるようになると考えられている。身につけてくるものは、人間へのお土産でもある。
今書いたのは、ほんの触りだが、八百万の神々がいる日本文化とアイヌ文化の共通点や違いを探しながら読むことができて、めっちゃくちゃ読み応えがあった。世界の見え方、切り取り方がこんなに違うんだと、目から鱗。
他にも「アイヌ文化と縄文文化」「樺太と千島のアイヌ」「アイヌの名前の付け方」「アイヌのグルメ」など、どこ読んでも発見があった。ゴールデンカムイと中川先生に感謝。
購入したのは、映画ゴールデンカムイのロケ地にもなった『野外博物館 北海道開拓の村』の売店。
④『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』中川裕
前著『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 』の時はまだゴールデンカムイは未完だったが、こちらの本は完結してから書かれた公式解説本。まさに完全版。
前著と扱うトピックが被っているところはもちろんあるが、具体例や切り口が違うので2冊とも読んでよかった。分厚いぶん、読み応えがあり大満足。カムイたちと共に暮らすアイヌの人々の生活と歴史が、重厚に描かれている。
漫画の細部までこだわって描かれた絵をふんだんに用いてアイヌ文化の基本的知識を教えてくれる。裏設定までたくさん書いてくれているのが作品のファンとして嬉しい。
物語の中盤〜後半で舞台は樺太にうつり、樺太アイヌやニブフ、ヴィルタといった民族の描写も増えるが、北海道アイヌだけでなくそちらの解説も厚い。それぞれの違いがめちゃくちゃ面白い。
特に印象に残ったのは二章の『コタンの生活風景』。チセ(家)の造りから、囲炉裏まわりのどこに座るかというのがけっこう厳格に決まっているのが、飲み会の時みたいだった。もてなす側の席、もてなされる人の席、上席など別れており、家の中で物を置く場所まで明確に決まっていた。神棚のような、クマの骨を祀る場所や、人からもらった物を飾る棚など、配置を知るだけでも面白い。
あとは『アイヌの一年』『世界史の中に見るゴールデンカムイ』の章も最高だった。戊辰戦争で死ななかった世界線の土方歳三が出てくるのは有名だが、ソフィアも実在する帝政ロシアの盗賊を組み合わせて書かれていたのにはびっくりした。
⑤『ビバリウム Adoと私』Ado (原著)・小松 成美 (著)
いまや世界的アーティストとなったAdo。自伝的小説だけど、ほぼほぼノンフィクションだと思う。あまりに生々しい告白であり、人間くささと覚悟を感じる一冊だった。ボカロにハマり、クローゼットの中で録音した「歌ってみた動画」をアップロードする日々。そこから脱却したのではなく、しっかりと今も延長上にいることがわかった。格好良いよ。
Adoという名前は狂言の脇役を表す言葉「アド」に由来しているらしい。もうすっかり僕の人生の脇役となり、最高の歌声を届けてくれている。
内容は、Ado自らが語った半生をもとに、作家・小松成美さん3年に及ぶ取材を重ね書き下ろしたもの。衝撃を受けたボカロとの出会い、アーティストでもアイドルでもなく「歌い手」を選んだ理由。そこには必然性があったように感じる。
家族に溺愛されたがゆえに、周りと「普通」がちがい馴染めめず、不登校となった学生時代。教師やアクターズスクールの先生からの心無い言葉に傷つく日々。しだいに仲が悪くなる両親。誰からも理解されずに苦しむ感情は、その時のまま、真空パックされて歌声として届いている。
本当に所属事務所のクラウドナインCEO・千木良さんと出会ってくれてよかったと思った。千木良さんの何があってもAdoの歌声を信じる姿勢にグッとくる。徹底的にAdoのやりたいことに寄り添い、気持ちよく歌ってもらうことに全力を尽くす。仕事とはいえなかなかできることじゃない。
レギュラー活動
① 毎週水曜 21時30〜 stand.fm生配信
今週の本紹介、文学ニュース、活動報告などを行なっています。
お便りコーナーもあるので、質問お待ちしております。
第一芸人文芸部の活動のベースです!
② 毎週日曜 16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』放送
放送予定
3月22日 紙上健吾、木爾チレン
3月29日 紙上健吾、染井為人
4月5日 又吉直樹、田丸雅智、BKB(バイク川崎バイク)
4月12日 又吉直樹、ブロードキャスト!!房野
4月19日 又吉直樹、好井まさお
寄稿(WEB)
どれでも良いので読んでみてください!!
・現在連載中の「ショートショートトーキョー」
・「きょうも芸の夢をみる」からショートショート『エルパソ』を無料公開!
・「シゴトゴト」というサイトで過去に連載していたときの自信作。
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