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最初の星の物語 プロローグ・光

・・・・・・光・・・・・・

それが神木と呼ばれている
木の頂上から寒さで堅く
なった細枝を氷の枝のように
パキパキと音を立てて折りながら、
年輪の刻まれた太い大木のような枝に
幾度も叩きつけられ、
遥か下の薄暗い地面の澄み切った
浅瀬の湖に落下した。
男の体は傷だらけであったが、
安眠したかのように深い眠りに
落ちていた。
あまりの眩しさに瞬きした光が
男の目に入ったのが最後の記憶だった。

この時、この星はまるで静止した
かのように、あらゆる生命体が
同時に意識を失っていた。

天は遥か彼方まで裂けていて、
終わりの無い光の道ができていた。
そしてそこから神々しい光が
一気に溢れ出すと共に、
伝説として語り継がれてきた
絵図と同じ神龍が姿を現した。

そして地上では星全体が揺れるほどの
鼓動のような地響きが大きくなるにつれ、
巨大な地鳴りとともに天にも昇る
火山噴火が猛ったように突起すると、
大地はまるで神話に出てくる
ような暗黒の地獄の入り口のような
ものができていた。

そしてこの世界の誰にも目にすることの
無い戦いが始まりを見せた。

神龍はその至大な大穴が出来るやいなや、
速度を急激に増して叩きつけるように
突っ込んでいったが、それを押し返す
ほどの暗黒の龍が、金龍の頭を打ち砕いた。

一瞬の間に頭部は再生され、
天と地から絶え間なく溢れ出す
巨大な滝と逆滝が、至大な黄龍と黒龍の
戦いのようにぶつかり合っていた。

それは神木と比較にならないほど
肉厚のある龍で、視界一面は
2頭の龍によって埋め尽くされていた。

天の裂け谷からは直視できないほど
目を覆うばかりの黄金の眩い龍が、
暗闇の穴から出ている黒き龍と死闘を
演じている間にも、更に続くように
続々と黒龍が出てきて神龍を囲むように
動きながら取り囲んでいった。

そして大地からは一番巨大で至大な、
目を見張るほどの大きく太い体を持つ
紅く怒りの象徴のように燃え盛る赤い光の
目以外は、暗黒に包まれた大黒龍が天に
向かっているかのようにして、
金の龍に目掛けて昇龍していった。

それを目にした黄金の龍の体は、
更に輝く光を発していくと、
邪を祓う神々しい光の源を放射した。

あたり一面にいた黒き龍たちは
その神々しい火炎によって浄化されて
いった。

死闘とも呼べるほどの戦いは7つの夜を
経て、8つ目のまだ薄暗い朝まで続いた。

互いに互角の激闘の末に、龍は徐々に小さく
なっていき、母体であろう人のような形に
なり始めた。
黄金色の鱗と暗黒の傷ついた鱗は
落ちゆきながら地上に落ちる前に煙のように
消えていった。

天には蒼白の姿をした白金色の翼を持つ者が
地上を見つめていた。

対して大地には、真っ赤な目と赤黒い体を
した、暗闇の翼を持つ者が天を見つめていた。

天の者は言葉を発した。
その穏やかな声は吸い込まれそうになるほど、
男性でありながら美しい女性のような美声であった。

「お久しぶりですね、兄上」

燃え盛るような眼の黒い翼の者はそれに応えた。

「あれから五億年ほど経ったか、弟よ」

「ええ。長い間、この宇宙は平和でした。
アダムの子らも今では大勢になりました。
中には小動物から人間へとなった星も
あるようです」

「挑発しているのか、弟よ。我らが人間に
対して憎しみの思いがあるのは知っておろう」

「やはり時の経過では人間への憎しみは
消せないのですね」

「愚問。我らは神の人間への想いから堕天し、
このような姿になった。
今更退ける訳があるまい。我らの神が今や
復活するのは時間の問題に過ぎぬ」

「やはりあの方が復活なされるのですね。
地獄のバベルが出現したと聞いて察して
いました。
それならば貴方は今ここで倒して
おかなければなりません」

「我が弟ウリエルよ。我に昔敗れた事を
忘れたのか?」

「忘れてはおりません。貴方の力は昔以上に
感じています。ベルゼブブ、私も昔のままの
強さではありません。百億年は我ら天使に
とっても決して短いものではありませんでした。
永遠に感じる時の中で、私は貴方に
惨敗してから強くなれたのです」

「確かに強くなったようだ。しかし我らの
力もこの人間たちの世界では神霊体でしか
戦えぬ。父神はまるで我らがいつか反逆する
ことを知っていたかのように思えてならぬ。
ここでは人間でさえも我らと同等の力を持つ
ものさえ現れる。そうなれば厄介なことに
なるだろう。ウリエルよ、お前もルシファー様
のように永久の世界の牢獄に送ってやろう」

「言ったはずです。私も昔の私ではないと。
ベルゼブブよ、今度は私が永遠の牢獄に
送り届けて差し上げましょう」

消せない遺恨のある両者は己の真の力を
解き放って、真誠の姿を晒した。

天や地ならば真の力である100%の姿や
力が出せるものであったが、中央に位置する
異空間では50%の力しか出せないよう
神は地獄を創造した時に定めていた。

二人の戦いは10日間続いたが、決着は
つかなかった。

「確かに強くなったな、ウリエルよ。
だがまだ私の方が強い」

「確かに貴方は私よりも強い。
しかしこのまま戦えば私も貴方も
神霊力を使いすぎてしまいます。
そうなれば眠りに就かざるを得ない
事になるでしょう。
この異空間では我々の力の消耗は
激しすぎます。
この戦いは来るべき時に預けるのが
最良かと思います」

「確かに力を使いすぎたようだ。
来るべき戦いに勝利し、再び天界へと
攻勢に出るためにも今は退いておこう」

「ではまたお会いしましょう。兄上」

「神も天使もルシファーのいる最下層
にある氷の監獄に入れてやる。必ずな」

戦いの終わりから12日後の新たな年を
迎える日に、あらゆる生命体が目覚め
始めた。

新聖歴1999年1月1日

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