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1ヘルツの積み重ね その2
1ヘルツは、1秒間に1回振動する周波数を表す単位です。周波数とは単位時間あたりの振動回数を示す物理量で、音楽では音の高さや音色、迫力を決定づける核心的な要素となります。国際単位系で用いられるヘルツ(Hz)は、電磁波を実証したハインリヒ・ヘルツの名に由来します。
この周波数の概念は、ダイナソーJr.のサウンドを深く理解する上で特に重要です。ジェイ・マスシスが生み出すギターサウンドは、極めて大音量と高ゲインの歪みによって特徴づけられ、基本周波数に無数の倍音(高調波)が加わることで、分厚く圧倒的な壁のような音色を形成します。歪み回路が意図的に波形を崩すことで生じる豊富な高次高調波が、あのファジーで攻撃的、かつメロディックなサウンドの核となっているのです。フィードバック・ノイズもまた、特定の周波数で共振を起こし、持続的な高音や叫びのような響きを生み出す手法として頻繁に用いられます。
人間の可聴域はおよそ20ヘルツから20キロヘルツですが、ダイナソーJr.はそのほぼ全域を大胆に活用します。重く沈み込む低域の周波数は、曲に圧倒的な重量感と身体に響く振動を与え、マスシスの長く伸びるソロは中高域の周波数を鋭く、情感豊かに彩ります。「Feel the Pain」などの楽曲では、静かな部分から突然爆発する大音量へのダイナミクス変化が、周波数エネルギーの急激な増大として聴き手を揺さぶります。
複数のアンプを重ねたレイヤリングも、周波数スペクトルを埋め尽くすための工夫でした。このように周波数の操作と破壊が、ダイナソーJr.のノイジーでありながら美しいサウンドを支えています。
1ヘルツという小さな単位の積み重ねが、彼らの生々しく力強い音楽を形作り、今も聴く者の心と体を震わせ続けているのです。
