【まとめ版】【小説】コモド食堂
龍人と人間が共存する世界(現代日本)に異世界転生した中世ぐらいのお姫様の話。
『流されてドラゴン』の設定を(大体)引き継いでます。(ストーリー的な繋がりはないです)
※本作品はR18指定の内容です。note運営の判断の如何に関わらず18歳未満の閲覧はご遠慮ください。
※本作品に於ける描写は、現実的な観点での法的な問題、衛生的な問題をフィクションとして描いており、実際にこれを真似る行為に私は推奨も許可も与えません。当然、その事態に対して責任も負いません。
※フィクションと現実の区別の出来ない人は、本作品に影響を受ける立場であっても、本作品の影響を考慮する立場に於いても、一切の閲覧を禁止します。
飲食店なんて人並みの衛生観念と人並みの味覚、それと愛想の良さと金の計算さえ出来れば誰でも儲けることなんて出来る――とか思っているが、どうにもそれのどれかが絶望的にダメな人間がやるので潰れやすい業種になっているのだ。
個人事業主にせよ経営者になるにせよ、自分一人で仕事が成り立つと思い込んで始める人間が多い。
曰く、会社で上手く行くような性格じゃないからとか云々。
勿論、それがピッタリハマる人間もいるのだろうが、自分で商売を始めるということは、自分一人で営業も会計も税務もやらなければならない。
そして、「会社で上手くいかない云々」と言う言い訳をするような奴らは、その辺りの仕事が全く出来ないのだ。
黙ってても注目されたり、仲間が集まるような特異体質や、その他をアウトソースしても十分稼げる人でもなければ、大人しくどっかの会社で社員をやっている方がいい。
そう、飲食は人並みの仕事が一通り出来るのなら誰にだって黒字は出来る。
しかし、全てを一通り出来る人間というのは、案外世の中に多くない。
そう言う事情で、"どれかが絶望的にダメな人間"が始めて、そして潰れるのだ。
人に出せるレベルの料理なんて、誰だって作ることは出来る。
それこそバイト君にやらせたって美味い物を作るよ。
と言うか、コンビニやそこいらのチェーン店で食べるものは、大抵十分満足出来る味である。
じゃぁ、そこで儲けるにはどうしたらいいのか?
確かに味一本で売れている店はあるけれども、それ以外の要因も大きいだろう。
ブランディングが上手い店、店の雰囲気が飛びきりいいお店、いつでもぱっと入りやすいお店、見栄を張るのに都合のいいお店……そう言うのが沢山ある。
私の店はその要因の一つの立地がいいと言う事、そして自前の土地だと言う事がずっと有効に働いている。
賃料を払わなくていいというのは、本当に経営的に楽である。
と言うか、潰れる店の一つの原因は売り上げに見合わない賃料を払っていると言う事が案外多い。
自分も地所を持っている手前、あまりこういう事を言いたくないが、不景気だからとかこういう事情だからと言う理由で賃料を下げるなんてことは基本的にしない。
と言うか、下手に安く貸した挙げ句に、税務署から変な勘ぐりとかされたくないだろう。
いやまぁ人の世はカネ、カネ、カネだ。
それは龍人も皮人も変わらない。
それこそ力が全ての時代の方がよっぽどスマートだったと思えるほど、世の中というのはどうにも生きづらい時代ではある。
皮人は寿命が短いし、何かと大変な気がする。
とは言え、何だかんだで人口が多いし、政治的な発言力はやっぱり皮人になる。
尤も、皮人の龍人に対する信頼度は高かったりする。
国によって雰囲気は全く違うと言うか、少なくとも日本に於いては、嫌いな同種族よりも好きな異種族の方が信頼できるものである。
そう言う事情だから日本に限ればずっと平和だ。
まぁ私のガキの頃は戦争が終わったばかりだし、何かと苦労の多い時代だった訳だが。
何にしても、何だかんだで今の店と家賃収入で食えている。
立地が繁華街の若干住宅寄りと言う所か。
一回のカフェは"コモド食堂"と名を打っている。
冗談だけじゃなくて、こども食堂もやってたりする。
まぁ、子供が食えなかった時期を知っているから、こういう活動をしていると言う部分もある。
まぁ喜ばれるのは悪くない。
無駄に金ばかり溜め込んでも、世の中が変われば途端にひっくり返る。
そんな経験が私にこういう事をさせるのだ。
その日は天気が良かった。
開店前の早朝の空。
夏至が近くて空は明るい。
浅い光が差していても空は青く、何処までも深かった。
その時、何となく空が気になった。
気持ちいい朝の空と言う事もあるけど、それ以外の何かを感じた。
具体的にどういう理由とか、何と言う予感でもない。
ただ不思議に気になっただけだ。
空を見上げると、突然に女の子が振ってきた。
魔法がこの世の中にあったら、テレポーテーションと言うのはこうして行われるのだろうか?
何の前触れもなく、本当に突然現れた。
上空10メートルぐらいだろうか。
手を伸ばし受け止めた。
私が龍人でよかった。
皮人だったら大事だ。
私は彼女をキャッチした。
ややコスプレっぽい雰囲気のあるドレスである。
本当によく分からないけれども、空から女の子が現れたのだった。
年齢は十代半ばってぐらいの女の子だ。
スラブ系の顔立ちの女性で、突然と日本語で捲し立てた。
無礼だ何とか言って。
仕方ないので地面に下ろしてやると、私の姿を見て腰を抜かす。
逃げだそうと這々の体である。
何なんだこの女?
私はただシャッターを上げるためにここにいるだけだ。
変な女に触ってしまったなと言う感じか。
これは面倒くさい事になったぞ?
彼女は周囲を見渡している。
「貴方大丈夫?」
私が声を掛けると割と混乱した様子だった。
ダメだこりゃ。
完全に頭をヤっている。
とは言え空から……
ウチのマンションで路面に接してるのは住居のベランダ側だしなぁ。
棚子にこんな子いたっけ?
取り敢えず店に連れて行こうとするけどやたらと喚く。
まだ朝早くて近所迷惑だ。
取り敢えず店に引っ張り込んだ。
そんなに難しいことではない。
とは言え、彼女はまるで取って食われるかのような反応を示してどうにも手に負えなかった。
差し当たり警察には連絡した。
自殺未遂だと言うと色々面倒くさそうし、表で騒いでたってだけにしておこう。
にしてもこの子、全く見た事がない。
近頃は外国人も珍しいものではないのだが、それでも近所にこんな子が住んでいるのなら顔ぐらいは覚えていると思うのだ。
取り敢えず適当にジュースでも飲ませておくか。
商売的にはあんまり良くない事とは思うが、取り敢えず冷蔵庫のオレンジジュースをコップに注いで出してやった。
未だに警戒度マックスなのだが、喉が渇いていたのかどうなのか、彼女は一気に飲み干した。
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