《ショートショート》信号機ぶどう味(404字)
「ねえ、冷蔵庫開けると臭うから、ちょっと見てくれる?」
お袋に頼まれ、俺は渋々冷蔵庫を開けた。
「また信号機腐らせたのかよ。…あ」
俺は慌てて、点滅している青信号を口に入れた。危ない。腐った信号機が増えるところだった。
俺の好きなぶどう味だ。ラッキー。
俺は赤信号だけを取り出し、慎重に匂いを嗅いでいく。
赤信号には2種類あって、まだ熟していないものと、腐ってしまったものに分かれる。
前者は待てばそのうち青信号になるが、後者はいくら待っても赤信号のままだ。
厄介なことに見分けがつかないから、嗅ぎ分けるしかない。
そのうち悪臭を放つ赤信号を見つけたので、ゴミ箱に投げ入れた。
それにしても、風変わりな食べ物だ。
安価だが、どの果物の味がするか完全ランダム。しかし絶大な人気を誇る。
街へ出ると、今日も道路が混みあっていた。
交通誘導員が新人なのか、車があちこちでクラクションを鳴らしている。
もっとわかりやすく誘導出来たらいいのだが。
