〈自分を生き、共に生きる学校へ〉京都文教小学校の新たな挑戦の始まり
少子化と学校改革──「2028年問題」が突きつける転換点
ここ数年、全国の学校改革が急激に進んでいる。
私立は、在校生の保護者が戸惑うくらいの急な構造改革に舵を切る学校も少なくない。公立も中高一貫校化や部活動の地域展開、中体連の大幅縮小など、根本的な変革を見据えて段階的に動き始めている。
時代の変化に応じた教育の見直しの必要性が高まっていることはもちろんだが、少子化の波がダイレクトに学校に影響し始めるため、学校存続のためにも変わらざるを得なくなってきている。
現在の小6の子が生まれた2013年の出生数は、約102万人だったが、2025年は70万人を切るまで落ち込んだ。
そして、出生数が急減して70万台に突入した2022年生まれの子どもたちが小学校へ入学してくるのが2028年。いわゆる、学校教育における〈2028年問題〉だ。
1学年の学級数はがくっと減り、小規模校は閉校や統廃合が増えると言われている。私の息子が卒業した小学校も、2027年度から閉校が決まり、青森の実家の隣にある公立小学校も閉校になるらしい。
システム原型的にも、急激な構造の変化は痛みや分断が起きがちではあるが、なかなか変革が進まなかった学校教育の構造を大きく変えるよい機会がきているとも言える。
大切なのは、少子化という子どもたちの「量」への対処ではなく、教育の「前提」そのものを転換する改革が必要だということ。
教師は「教える人(一方向)」から「共に探究する人(双方向)」となり、教師と生徒の関係性は大きく変化していく。
それに伴い、教師同士、教師と保護者においても、何を目指し、どういう関わり合いをしていくのかを対話する必要が出てくる。
教育改革は、ある意味〈関係性の再設計〉から始まっていくのだと思う。
教師の葛藤の奥にある「願い」を見つける対話
一人ひとりの子どもたちに光を当てて丁寧に育ててきた京都文教小学校もまた、前提を見直し、大きく改革をしていこうと挑戦を始めた学校の一つだ。

切実さと情熱を持って、改革の中核を担う2人の先生から連絡があり、初めての全教員向け対話研修を実施した。

先生方は、みなさんとても誠実な印象。学校が変わらなければならないことも頭ではわかっている。でも、具体的にどうしたらいいかわからない。そこで止まってしまう。
誠実がゆえに、自分の内側にある「こうであるべき」と「ないべき」の間で葛藤が起こる。
自分の思いを押し通そうとするAくんにイライラするというB先生。そのイライラをおさえながら、他の子どもたちにAくんの気持ちもわかってもらえるよう働きかける。Aくんにも、自分の思いだけではなく、みんなのことも受け入れてほしいがなかなか伝わらない。B先生は、その狭間でますますしんどい気持ちになっていくという。
そんな自分に対しても「教師とはこうあるべき(ないべき)」が向いて苦しそうだった先生の奥にあった願いは「調和」。
Aくんに、自分のことだけじゃなくみんなの気持ちもわかってほしいけど、Aくんの想いをおさえたいわけじゃない。みんなにも、Aくんのことを理解してほしい。
誰かが我慢して自己犠牲を前提とした表面的な「和」ではなく、一人ひとりが自分らしくありながらも、互いのことを思いやれる「真の調和」へ。
B先生が願う「調和」の世界が言語化され、解像度が上がっていくと同時にB先生の表情が一気に晴れやかになっていく。
『そうなんです!私は、ずっと「調和」を大切にしてきたんです!!だから、学級通信の名前も「調和」なんです!!』
それまで沈んだ表情をしていたB先生が、嬉しそうに生き生きと語ってくれた。そして、この学校に「真の調和」を実現するために、まずはB先生自身が「調和」を体現する「調和の大使」となっていくことを宣言してくださった。
他の先生もまた、自分の「願い」を感じ、言葉にすることで解像度が上がり、自己理解が深まることで晴々とした表情になっていく瞬間がたくさん場に現れた。
先生が願いを生きるとき、学校は変わり始める
この学校の財産は、ここにいる一人ひとりの先生方そのもの。
先生たちが自分の願いを体現し、子どもたちに表現し、他の先生たちから尊重され、互いに支え合う組織へと育っていくこと。
先生自身が願いを生きる喜びを実感できると、子どもたちにも同じように関わっていくことができる。
先生は、「正解へ導く人」から、子ども一人ひとりが自分の願いを生きることを尊重し支える「伴走者」になっていく。
この学校の先生たち一人ひとりの内側には、まだ光が当たっていないたくさんのギフトがある。逆を言うと、私立小規模校というシステム上、これまで「自分の願いは何か」と考える機会があまりなかったのだと思う。
実際に会ってみた先生たちは、まさにポテンシャルの塊そのもの。全国の学校を見てきたからこそ、確信を持って言える。
先生たちの命が輝き、のびのびと表現されていったら、子どもたちの命とつながり、響きあっていく関係性へと変化していく。
それは、少人数だからこそできること。
これから京都文教小学校は、大人も子どもも自分の願いを生き、尊重し支え合う、命と命が響きあう学校へと向かっていくだろう。
そんな挑戦の第一歩として、在校生のみならず、未就学児の親子や全ての方々が参加できるオープン対話の場を開いていく予定だ。
私も対話の場のファシリテーションを始め、できうる限りのサポートをしていこうと思っているので、京都や近隣にお住まいの方は、ぜひ足をお運びください!!小規模校だからこそできる可能性を、共に探究していきましょう!

