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自宅三国志#9  〜未来の私へ、同じようにもがいているあなたへ届きますように〜

ここは、国王(父)・国母(母)・女王(私)が暮らす自宅大陸。認知症禍により、今日も何かが勃発しています。
今回は、朝風呂を満喫しようとした国母がとんでもない事にーー。
どこまでも女王目線で綴った記録です。
※あくまで個人の見解です。

#9  湯船攻防戦、国母クライシス!定時出社への果てしなき道


女王はお疲れである。
国母を寝かしつけた途端、電池が切れる。
本人も気づかぬうちに寝落ち。
そんな状態だから、朝は戦場である。

分単位のスケジュール? 
そんな甘いものではない。
著名人も真っ青な、秒単位スケジュールである。

今日も朝から入浴。
出社時間から逆算し、限界まで詰め込んだタイムテーブル。
お風呂から上がり、さあ動こうとしたその瞬間――
国母が言った。

「私も入る!」

……何を寝言を。
そなたは昨日入ったではないか。
この忙しい朝に、また訳分からん事をーー。

饒舌な心の声とは裏腹に、口から出た言葉は極めてシンプルだった。

「……どうぞ」

勝手に入る分には手を煩わせまい。
好きにやってくれ。
そう思い、私は自身の支度に勤しんだ。

それから10分ほど経ったころだろうか。
風呂場から悲鳴が響いた。

慌てて駆けつけると――国母が湯船で暴れている。
よく見ると、足が踏ん張れず、どれだけ力を込めてもズルズルと滑っている。
これでは湯船から上がれない。

ーーー終わった。
その瞬間、私は悟った。
定時出社は幻となった事を。

何はともあれ、この状況、私ひとりではどうにもならない。
私は国王を呼んだ。

国王は驚いた様子で駆けつけた。
「国母! 大丈夫か!」
そう叫び、力ずくで湯船から国母を引き上げようとする。

だが、ずぶ濡れの国母の体は、国王の腕をすり抜けてしまう。

「ギャアアアーー!」

耳をつんざく国母の悲鳴。
なおも必死に引っ張る国王。
恐怖の人間ピストン連続技。

絶叫マシンか⁉︎

――完全地獄絵図。修羅場である。

「ちょっと、一旦落ち着いて!」
私は叫んだ。
そして湯船のヘリを叩き、二人に伝える。

「ここに座らせよう!」

国王と私は息を合わせ、国母を引き上げ、なんとかヘリに座らせた。
浴室にそれぞれの荒い息が響き渡る。

一旦落ち着かせてから、片足ずつ湯船の外へ。
ようやく国母は湯船から出ることができた。

洗面所へと連れていき、体を拭こうとするが――
国母はガクブルに震えている。
今にも倒れそうだ。

このままでは危ない。
そう思い、近くの椅子に座らせた。
タオルを取りに行き、振り返ると――

そこには、変わり果てた国母の姿があった。


最後までお読みいただきありがとうございます。

朝の戦い、皆さまの国ではいかがですか?
我が国は今日も、ぎりぎりの攻防を繰り広げております。
……なお、このあと国母は、湯船の次に“愛”に溺れそうです。

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