身体の歪みって本当に悪い?
「身体が歪んでいますね」
「骨盤がズレています」
「左右差があります」
こう言われると、
「このままで大丈夫なのかな?」
と不安になる方も多いと思います。
ただ、結論から言うと、
身体に左右差や“歪み”があること自体が、必ずしも悪いわけではありません。
人の身体はもともと完全な左右対称ではありませんし、生活習慣や利き手、スポーツ歴などによって左右差が生まれるのは自然なことです。
大切なのは、
歪みがあるかどうかではなく、それによって身体にどんな影響が出ているかを見ること。
だと考えています。
そもそも人の身体は左右対称ではない
私たちの身体は、見た目以上に左右で違います。
心臓の位置。
内臓の配置。
利き手・利き足。
片側でバッグを持つ習慣。
よく脚を組む方向。
スポーツや仕事で繰り返す動作。
こうした影響によって、身体の使い方に左右差が出るのは自然なことです。
そのため、
肩の高さが少し違う。
骨盤の高さが左右で少し違う。
片脚の方が立ちやすい。
身体を捻る方向に差がある。
こうしたことだけを見て、
「身体が歪んでいるから悪い」
と判断する必要はありません。
「左右差がある=不調が出る」ではない
実際、身体に左右差があっても、痛みや不調なく生活している人はたくさんいます。
反対に、
見た目としては左右差が少なくても、
肩こりや腰痛を感じている方もいます。
つまり、
左右差そのものと、痛みや不調は必ずしもイコールではありません。
大切なのは、
その左右差が、
・動きを制限していないか
・特定の場所に負担を集中させていないか
・左右差がどんどん大きくなっていないか
・痛みや違和感につながっていないか
といった部分です。
問題なのは「歪み」よりも、動きの偏り
例えば、
右脚では片脚立ちができるのに、左脚では大きくふらつく。
身体を右には捻れるけれど、左にはほとんど捻れない。
スクワットをすると、毎回身体が同じ方向に傾く。
歩くときに、いつも片側の腰や膝だけが疲れる。
こうした状態では、
単純な見た目の左右差というよりも、
身体の使い方が一方向に偏っていること
の方が重要です。
身体にはある程度の左右差があっても、
必要な動きができて、
状況に応じて左右を使い分けられて、
痛みなく動けているのであれば、
大きな問題にならないことも多いです。
「左右対称にすること」がゴールではない
身体の歪みを気にしている方の中には、
「左右を完全に同じにしなければいけない」
と思っている方もいます。
ですが、人間の身体を完全な左右対称にすることは現実的ではありません。
また、必ずしも左右対称である必要もありません。
例えばスポーツでは、
利き腕。
踏み切り脚。
投げる方向。
回転方向。
など、左右で役割が違うことがあります。
こうした左右差は、その人がその動作に適応した結果でもあります。
そのため、
左右差をなくすことよりも、その左右差があっても身体をうまくコントロールできること
の方が大切だと考えています。
姿勢だけを見て「歪んでいる」と決めない
例えば、立っている写真を撮ったときに、
片方の肩が少し高い。
骨盤が少し傾いている。
身体が少し左右どちらかに寄っている。
こうした特徴が見えることがあります。
ただ、その一枚の姿勢だけで身体の状態をすべて判断することはできません。
姿勢は、体調や疲労、緊張、立ち方によっても変わります。
そのため、パーソナルトレーニングでは、
立った姿勢だけでなく、
しゃがむ。
歩く。
片脚で立つ。
身体を捻る。
腕を上げる。
といった実際の動きを見ることが重要だと考えています。
止まっている姿勢より、動いたときにどう身体を使っているか。
そこにその人の特徴が表れることも多いです。
「骨盤がズレているから戻す」だけでは足りない
身体の歪みに対して、
「骨盤を正しい位置に戻す」
「左右差を整える」
といった表現を耳にすることもあると思います。
もちろん、一時的に身体を動かしやすくしたり、筋肉の緊張を減らしたりすることで、姿勢の見え方が変わることはあります。
ただ、
その後もいつもと同じ身体の使い方をしていれば、また同じような状態に戻る可能性があります。
そのため私は、
身体の位置を一時的に整えること以上に、
その状態でどう動けるか
を大切にしています。
例えば、
股関節を使えるようにする。
体幹をコントロールできるようにする。
左右どちらにも体重を乗せられるようにする。
身体をさまざまな方向へ動かせるようにする。
こうした動きを身につけることで、
結果として特定の場所への負担が減り、姿勢の見え方が変わっていくこともあります。
左右差があっても「選べる」ことが大切
理想は、
左右差をゼロにすることではなく、
必要に応じてさまざまな動きを選べる身体
だと思います。
右にも身体を捻れる。
左にも捻れる。
右脚でも支えられる。
左脚でも支えられる。
身体を反ることもできる。
丸めることもできる。
一つの姿勢や一つの動きに偏らず、
状況に合わせて身体を変えられる。
そうした身体の方が、日常生活でもスポーツでも負担を分散しやすくなります。
まとめ
身体には誰にでも、ある程度の左右差があります。
そのため、
「歪んでいる=悪い身体」
と考える必要はありません。
大切なのは、
左右差そのものではなく、その左右差によって動きづらさや負担の偏りが起きていないかを見ること。
そして、
左右を完全に同じにすることよりも、
右にも左にも動ける。
必要なときに必要な場所を使える。
さまざまな動きを選べる。
そんな身体を作っていくことが重要だと考えています。
「身体が歪んでいるかもしれない」
と気になっている方は、
見た目だけを気にするのではなく、
自分の身体がどのように動いているのか
にも目を向けてみてください。
身体づくりで大切なのは、
完璧な左右対称を目指すことではなく、偏りがあっても自由に動ける身体を作ることです。
ー 著作者情報 ー
飯田陽明(いいだひろあき)
◾️パーソナルトレーナー/理学療法士
◾️活動範囲 : 渋谷、都立大学、東白楽、反町
◾️姿勢・呼吸・体幹の“基盤”を整え、日常動作から身体を変える

