⑰バイク事故【実体験シリーズ】【第ニ章】見えない世界との交差
ー天使のラジオー
【実体験シリーズ】【第ニ章】
天気のいい昼間、
友達とバイクで二人乗りをしていた。
風が心地よくて、
どこまでも走っていたくなるような日だった。
しばらく走り続け、
ある道に差し掛かったとき
おかしな感覚に包まれた。
走っているはずなのに、
風が止まる。
音も消える。
無風無音の中で、
お線香の香りだけが広がった。
まるで、
自分たちだけが別の空間に入り込んだような感覚
その瞬間、頭に浮かんだ。
「このままだと、死んじゃう」
理由は分からない。
ただ、そう思った。
あれが何だったのかは、今でも分からない。
あの頃は、
祖父が危険を知らせてくれたのだと都合の良い解釈をしていた。
それからしばらくして――
友達がバイク事故で亡くなった。
ある晩、眠ろうとしていると、
頭の中にバイクのエンジン音が響いた。
止まらない。
何日も続いた。
ずっと、鳴り続けていた。
会いに来てほしいのかもしれない。
そう思い、お線香をあげに行った。
それからは、
エンジン音が聞こえることはなくなった。
あの日以来、
私はバイクに一度も乗っていない。
あのとき感じたものが、
何だったのかは分からない。
ただ
あれは
偶然ではなかったと、今でも思っている。

