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私の臨床を支えてくれた三冊

昨年末から今年の春にかけて、私は蔵書の大半を処分しました。
「仕事の役に立つはず」と思って買い集めた鍼灸の本たちのなかには、一冊の中で本当に必要なのはごく一部だったり、もう自分には合わなくなっていたものも少なくありませんでした。

結局、何年も手に取らないまま抱えていたのだと思います。そして残ったのは、毎日のように開き、確認し、臨床の現場で支えてくれる本

そのなかでも特に大きな影響を与えてくれた三冊を、ここで紹介します。

1️⃣ 『針灸二穴の効能』

最初に取り上げたいのは、『針灸二穴の効能』です。
迷ったとき、ページを開けば必ず臨床のヒントが見つかり、最も多く手に取っている本です。

忘れられないのは、臨床経験が浅い頃のこと。両脇を抱えられないと歩けないほどの重症の腰痛患者さんを担当したときです。
私は不安でいっぱいでしたが、この本に載っていた「急性腰痛に有効な二穴」を思い出し、そのまま実践したところ、症状は劇的に改善しました。

この体験によって「鍼灸にはこんな力があるのか」という驚きと、「自分でもやれる」という手応えを得ることができました。臨床を続けていくうえでの大きな支えとなった一冊です。

さらにこの本からは、経穴のイメージを学ぶことができました。
その積み重ねが、現在私がよく口にする「要穴=専門家集団」という考え方の基礎にもなっています。

単なる「○○に効くツボ」ではなく、それぞれの経穴がどんな役割を担うのか、まるで専門家チームのように見えてくる感覚を与えてくれた本でもあります。


2️⃣ 『東洋医学見聞録』

次に紹介するのは、西田皓一先生の『東洋医学見聞録』です。
副題は「初心者でも再現性がある鍼灸治療の実際」。まさに私が臨床で大切にしてきた視点と重なります。

上・中・下の三部構成で、専門的な理論に終始するのではなく、ストーリーとして読み進められる臨床記録が魅力的です。
さらに、西田先生は医師でもあるため、東洋医学だけでなく西洋医学の視点も交えて解説してくれます。初心者でも理解しやすく、臨床にすぐ役立つ内容になっているのです。

この本に出会って感じたのは、「特別な才能や感覚がなくても、誰でも結果を出せる仕組みは作れる」 という希望でした。

当時の私は「鍼灸は職人芸ではないか」という不安を抱えていましたが、この本のおかげで「迷ったらここに立ち返ればいい」という基盤を得られました。

開業後の臨床を安心して続けられる、大きな支えになった一冊です。



3️⃣ 『和漢診療学 あたらしい漢方』

三冊目は、鍼灸ではなく漢方の本。
寺澤捷年先生の『和漢診療学 あたらしい漢方』です。

寺澤先生も医師であり、漢方の素晴らしさを紹介するだけでなく、東洋医学の欠点や限界についても率直に書かれているところに大きな信頼を抱きました。
精神論に流されることなく、問診から気血水・虚実を数値化し、臨床に活かせる形に落とし込もうとしている点も、私にとって強く共感できる部分です。

鍼灸や漢方の世界では「東洋医学こそ絶対」という語りが少なくありません。けれどこの本を通じて、西洋vs東洋という単純な構図に陥らず、公平に学ぶ姿勢を教えられました。
この態度は、私が西洋医学の言葉も尊重しながら経絡や経穴を活用するスタイルにつながっています。


おわりに

今回ご紹介した三冊は、私にとって単なる参考書ではなく、独学の友であり、迷ったときのコンパスであり、毎日のように手に取ってきた相棒です。

『針灸二穴の効能』からは、初心者でも結果を出せるという確信と、経穴を専門家集団のようにイメージする視点を。
『東洋医学見聞録』からは、再現性のある臨床と、初心者に寄り添うストーリーを。
『和漢診療学 あたらしい漢方』からは、公平に東洋医学を見つめ直す姿勢を。

特に後の二冊に共通するのは、西洋と東洋を単純に対立させない視点です。
その柔軟で誠実な姿勢に、私は大きな尊敬を抱いています。

著者の先生方に直接お会いしたことはありませんが、遠くから学ばせてもらいました。
そして、これらの本が私を支えてくれたように、この記事がどなたかの“独学の友”や“コンパス”になれば嬉しいです。

🌿今日も記事をよんでくださり、ありがとうございます。
あなたの三冊はどんな本ですか?
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羽鳥節子|鍼灸のユニバーサルデザイン(UDA) もし記事が参考になったり共感していただけたら、チップでの応援をお願いします。皆さんのサポートが、ユニバーサルデザイン鍼灸(UDA)の発信を続ける力になります。