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世界の偉人シリーズ|第6話 スティーブ・ジョブス Apple 創業者・世界を変える製品を生み出した男

優れた技術者は多い。
優れた経営者も多い。

だが、「機械」を、
人類の生活文化そのものへ変えた人物は少ない。
コンピュータは元々、一部の専門家の物だった。

巨大で、高価で、難解で、
普通の人間とは無縁の存在。

その時代に、
「個人が自由に創造できる時代を作りたい」
と本気で考えた男がいた。
彼が作ったのは、単なるIT企業ではない。
「テクノロジーを人間の感性へ接続する文化」
そのものだった。


スティーブ・ジョブズ
「世界を変えたプレゼンター」
「体験を設計した経営者」
1955-2011|Apple共同創業者。


【普通ではなかった少年】

1955年、アメリカ・カリフォルニア州で生まれる。
実の親ではなく、養父母に育てられた。

ジョブズは後に、
「捨てられた」と感じた時期もあったと言われる。
一方で、養父は機械いじりが好きだった。
ガレージで、工具を触り、分解し、組み立てる。
この経験が、後のAppleの原点になったとも言われる。

彼は、早い段階から「普通」に馴染まなかった。
教師と衝突する。
学校に反発する。
協調型ではない。

だが一方で、
異常な集中力と、異常な執着心を持っていた。


【世界に爪痕を残したい】

1970年代、
当時のコンピュータは、企業や大学のものだった。
巨大な機械、専門知識、一般人には遠い存在。

しかしジョブズは違った。
コンピュータを、一部の専門家から解放したい。
個人が、テクノロジーを使って、
自由に創造できる時代を作りたい。

彼は、有名な言葉を残す。
「宇宙にへこみを作りたい(put a dent in the universe)」
世界に爪痕を残したい。

ただ会社を成功させたいのではない。
ただ金持ちになりたいのでもない。
世界そのものを変えたい。

欲望の規模が、最初から普通ではなかった。


【ウォズニアックという天才】

ジョブズ一人では、Appleは生まれていない。
そこに、スティーブ・ウォズニアック
という天才技術者がいた。
ウォズは、純粋なエンジニアだった。

回路を愛し、
技術を愛し、
作ること自体を楽しむ人物。

一方ジョブズは違う。
「それを人間にどう体験させるか」
に異常な執着を持っていた。

・どう見えるか
・どう触れるか
・どう感じるか
・どう美しく見えるか
・どう世界観として成立するか

ここに狂気的だった。

ウォズが「技術」を作り、
ジョブズが「意味」を作った。

この組み合わせが強かった。


【ガレージから始まったApple】

1976年、二人はガレージからAppleを始める。
今では伝説だが、当時は小さな挑戦だった。

資金もない。
巨大企業でもない。
ただ、「個人用コンピュータ」
という未来だけを信じていた。

多くの技術者は、
性能競争を見ていた。
しかしジョブズは違った。

普通の人が使えるか
美しいか
直感的か

そこを見ていた。
つまり彼は、
コンピュータを

「工業製品」ではなく、
「生活道具」として見ていたのだ。


【技術を文化へ変えた男】

Appleが本当に恐ろしかったのは、
発明そのものではない。
「技術を生活文化へ変えた」ことにある。

例えばMacintosh。
当時のコンピュータは、難しかった。
コマンド入力、専門知識、技術者中心。

しかしAppleは、マウスを使い
視覚的に操作できる世界を作った。
直感で使える。

これは単なる機能ではない。
「人類と機械の距離」
を変えたのである。

後の、
iPod
iPhone
iPad
も同じだ。

スペック競争ではない。
「生活体験」を設計していた。


【異常なまでの完璧主義】

ジョブズは、極端な完璧主義者だった。

妥協を嫌う。
細部に執着する。
容赦なく怒鳴る。

そのため、パワハラ気質だった。

社員を激しく叱責する。
会議で否定する。
突然方針を変える。

現代なら、問題視される場面も多い。
しかしその異常な基準が、Appleという会社を作った。

「これくらいでいい」を許さない。
だから、常識を超える物が生まれた。


【デザインへの狂気】

ジョブズは、製品の中身だけではなく、
外側にも異常にこだわった。
例えば、基板の配置。

普通は見えない。
ユーザーには関係ない。

しかし彼は、
「見えない部分も美しくあるべきだ」
と言った。
さらに、

箱の開け方、
文字の余白、
店舗デザイン、
広告、
プレゼン。

全てに関与した。

彼にとって事業とは、
単なる利益獲得ではない。

「人類の生活体験をデザインする行為」
だったのである。


【一度、追放された男】

1985年、ジョブズはAppleを追放される。
自分で作った会社から、外された。
理由は衝突だった。

強烈すぎた。
独裁的すぎた。
組織と摩擦を起こした。

普通なら終わる。
だが彼は、

NeXTを作り、
Pixarへ関与し、
再び挑戦を始める。

特にPixarは大きかった。
後に、『トイ・ストーリー』を生み、
CGアニメ時代を切り開く。

つまり彼は、
コンピュータだけではなく、
映像文化まで変えていた。


【Apple復帰】

その後、経営危機に陥ったAppleへ戻る。
そして彼は、徹底的に削る。

商品数を絞る。
思想を統一する。
ブランドを再設計する。
さらに、

iMac、
iPod、
iPhone

を次々投入する。
ここで世界が変わった。

電話は、単なる通話機ではなくなった。
音楽は、持ち歩くものになった。
インターネットは、ポケットへ入った。

Appleは、
人類の生活導線そのものを書き換えた。


【Apple Parkの思想】

ジョブズは、オフィス設計にも異常に関与した。
Apple Park。
単なる本社ではない。

彼は、
「最高の才能が偶然出会う場所」
を作ろうとした。

だから、
・廊下
・会議室
・共有空間
・トイレ配置
にまで口を出した。

偶然すれ違う。
雑談する。
そこからアイデアが生まれる。

彼は、
建物すら、創造性を生む装置
として考えていたのである。


【SONYとの共通点】

ジョブズは、
日本企業のSONYを強く研究していた。

特に、
井深大
盛田昭夫
の思想へ影響を受けたと言われる。

小型化。
生活変化。
感性設計。

これはAppleと極めて近い。
単なる性能ではない。

「生活をどう変えるか」

そこを見ていた。
だからAppleは、IT企業でありながら、
どこか家電文化的だった。


【戦っていた相手】

IBMでもない。
Microsoftでもない。
ジョブズが本当に戦っていたのは、

・機械は難しいもの
・専門家だけのもの
・性能だけが価値
・デザインは飾り
・妥協で十分

という、古い常識だった。
だから彼は、
技術ではなく、体験を売った。
機械ではなく、未来を売ったのだ。


【これは戦略だったのか】

結果だけ見れば、Appleの成功譚。
しかし中には、かなり強い型がある。

・技術者と組む
・未来を先に信じる
・性能ではなく体験を見る
・デザインへ執着する
・世界観でブランド化する
・常識を疑う
・不要を削る
・生活導線を書き換える

極めて体験設計型の構造である。

ジョブズは、単なるコンピューター技術者ではなかった。
彼は、

パソコン
 ↓
個人利用
 ↓
音楽携帯化
 ↓
スマートフォン
 ↓
アプリ経済圏
 ↓
常時接続生活

という、未来への連続性を見ていた。
彼が見ていたのは、「何が作れるか」ではない。

人間が、
どう感じ、
どう使い、
どう生活するか

だった。
だから彼は、

不要を削り、
直感化し、
機械を感情側へ近づけ、
生活導線そのものを書き換えていった。

しかも面白いのは、
スペック競争を主戦場にしなかったことだ。
彼が重視していたのは、

感動
没入感
美しさ
体験
世界観

だった。
つまり Apple が作っていたのは、
単なる電子機器ではない。

「人間の体験空間」

そのものだったのである。


【世界認知度】

Appleは現在、
世界最大級のブランド企業の一つとなった。

代表的なブランド価値ランキング
Interbrand「Best Global Brands」では、
長年、世界上位を維持している。

iPhoneは、単なるスマートフォンではない。
世界中の人間の、

・仕事
・音楽
・映像
・SNS
・情報取得
・コミュニケーション

そのものを変えた。
Appleは、製品企業ではなく、
「生活インフラ」になったのである。


【まとめ】

スティーブ・ジョブズが作っていたのは、
コンピュータ会社ではない。
それは、

「人類とテクノロジーの関係性」

そのものだった。

・機械を個人へ解放した
・技術を感性へ変えた
・性能を体験へ変えた
・製品を文化へ変えた
・常識を疑い続けた
・未来側から現在を見た

結果としてAppleは、世界企業になった。
だが彼が残した本質は、
スマートフォンではない。

「世界は変えられる」

という思想である。
だから今でも、
Appleの製品発表には、
単なる新商品以上の空気が宿る。

それは、
ジョブズが最後まで、
「未来を売っていた」
からなのである。


次回予告


世界の偉人シリーズ|第7話 井深 大
東京通信工業(現、SONY) 創業者


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