藤田晋著(2025)『勝負眼』株式会社文藝春秋
経営者としての考え方を知れる本
個人的にはサイバーエージェントをあまり知らないのですが、一人の経営者がどのように物事を捉えているのかに興味を持ったのでkindle版をポチッとしてみました。
わたしは麻雀をやらないので、良くはわかりませんが、本著には麻雀の文脈が良くでてきて、いわゆるタイトルにもなっている勝負眼というのも、麻雀での勝ち筋を予測し、限られたルールの中で最善を尽くすという点で経営と相通じるものがあるのだろう。その麻雀の勝負のように、著者は経営においても常に先手必勝を意識してきたという。
一緒にサイバーエージェントを創業した日高副社長も起業する前は駄目社員だったが、ゲーム部門をゼロから立ち上げ事業拡大に至る仕事の出来る人になったのも、下から火で炙られているような感覚だったらしい。
面白いエピソードで、バレンタインは禁止というメールを社員に送ったというものがある。自由と自己責任を強く意識した会社づくりを心がけ、ルールを増やすと社員が自分の頭で考えなくなりコドモの会社に、自由度を増やせば自分の責任の元に行動するオトナの会社になるという主旨の高橋俊介著『オトナの会社・コドモの会社』という本に感銘を受けたそうである。わたしも創業間もないコンサル会社に一時期属していたが、経営層が本や外部のセミナーなどで共感した内容を直ぐに会社の人事評価等に採用したりするその速さには感心したが、自分が考えて良いと思うものを直ぐに取り込むことができるのは素晴らしいことでもある。
また著者の交友関係も本書の中には盛り込まれており、KADOKAWAの夏野氏の食に関する下りや、見城氏の大事な会食は秘書に任せないなど、GMOの熊谷氏のワインの話、など、どれも健康に関わりそうな話だと思ったら、著者の人間ドックの話へと導かれた…
また話し相手としてのChatGPTの話や、面白いのは相手に対し初めて聞いたような「へえ~」の一言で全然新聞を読んでないことを露呈してしまったいたという下りである。対応一つでバレることって実は多いのが社会人の実情かと今でも思います。
タイミー社の話の中で、プランより人を見た方が良いというのも興味ある観点。超優秀な人ほど変人であるというのも面白い。マジョリティがポジティブという言葉やオセロの話なども興味深く読ませていただいた。
そして引退に関する考え方。いずれ自分への依存が会社の大きなリスクとなるという予見に納得できた。若くして経営者になった人の人となりが把握できる本でした。
