なぜ教員は辞めるのか? ~現場で見えた「本当の原因」は部活動だった~
はじめに
近年、教員不足や志願者の減少が深刻な問題となっています。長時間労働や保護者対応、増加する事務作業など、さまざまな要因が取り沙汰されています。
しかし、現場に立つ者としてもっと根本的で、あまり語られていない原因があります。それが
「部活動顧問の強制」
です。
「見えにくい負担」が教員を苦しめる
部活動の何が問題なのか……?
一言で「忙しいから」と言ってしまうと、その本質は見えません。
多くの教員が抱える不満は、以下の3つの要素から成り立っています。
① 未経験分野での専門性の要求
教員がこれまで一度も経験したことのない競技や文化活動の顧問を任されることが少なくありません。技術指導や大会の引率、さらには審判資格の取得まで求められることがあります。
教員としての専門は「教科」であるはずなのに、別の専門職並みの役割を強いられる状況が続いています。
② 授業の質が犠牲にされている
土日には大会や練習試合、平日には放課後の指導が続くことで、教員は授業準備の時間がほとんど取れなくなります。
「授業が本業」と言われながら、実際には“本業に時間を使えない”という構造が出来上がっています。
③ 責任と負担のバランスが崩れている
生徒の安全を守るための責任、保護者とのコミュニケーション、さらには対外試合の責任が重くのしかかります。
一方、手当は十分ではなく、振替休日の取得も難しいのが現実です。
責任の重さに見合った制度的支えがないという不均衡が続いているのです。
「好きな人がやればいい」とはならない現実
もちろん、部活動を楽しんでいる教員もいます。自身の経験、専門的な知識や技術を活かせる場として充実感を感じることができるでしょう。しかし、
問題なのは「全員がやる前提」になっている
ことです。
経験者はやりたいと思うが、未経験者は強制される。この構図がストレス
を生み続けています。
「新しい経験ができる」などという前向きな言葉ではカバーしきれない現実が、そこにはあります。
現場で行われている“応急処置”
現場では負担を軽減するための工夫が行われています。たとえば、
主顧問と副顧問での役割分担
競技単位ではなく施設単位で顧問を割り当てる
専門性のある教員に主担当を担わせる
また、大会を目的としない部活動については教員個人ではなく「校務分掌での一括管理」へとシフトする提案も出されています。
それでも解決しない理由
これらの対策はあくまで“延命策”に過ぎません。教員が部活動を担うことが前提であり、学校内で完結する構造を変えない限り、負担は残り続けます。
地域移行は「理想」か「現実」か
その中で浮上してきたのが「部活動の地域移行」です。専門家に任せることによって、教員の負担を軽減し、指導の質を向上させることが期待されます。
しかし、これも制度設計を誤れば新たな歪みが生まれる危険性があるのも事実です。
次に考えるべきこと
学校の関与の範囲や教員がどこで線を引くか、地域との役割分担を明確にしない限り、やはり進展は難しいでしょう。
おわりに
部活動は本来、生徒にとって価値のある活動です。しかし、その価値を支える側が無理をしている構造では持続可能ではありません。
「価値ある活動を持続可能な形でどう残すか」という視点で、もう一度設計し直す必要があると私は考えています。
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