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「AIが使える人、見てますよ」──採用の話をしていて、経営者がさらっと言ったこと

「AIが使える人かどうかは、見てますよ」

中小企業の経営者の方と話していて、採用の話になったときでした。

特に構えて言われたわけではなく、雑談の途中で、さらっと。

私はそのとき、「へえ」と返しただけでした。

でも後になって、あれは結構大きなことを聞いたんじゃないかと思い直しました。

その方が話していたのは、AIの専門家でも、エンジニアでもありません。

普通の事務職の採用の話だったのです。


💬 「AIが使えます」は、次の「Excelが使えます」なのか

その話を聞いて、思い出したのが「Excelが使えます」という言葉でした。

事務の仕事では、Excelを扱えることが、自分のできることを伝える一つの材料になります。

ただ、文字を入力できるのか、関数で集計できるのか、毎月の作業を効率化できるのかで、できる仕事は違います。

AIも、それに近いのかもしれません。

「使ったことがあります」

「メールの下書きに使っています」

「会議メモを整理して、内容を確認してから社内に共有しています」

同じ「使える」でも、聞いた側が思い浮かべる仕事の姿は変わります。

AIを知っていることより、仕事でどう役立てているか。

そこが、自分のできることを伝える材料になっていくのだと思います。


🌐 いずれ、Webを使うくらい当たり前になる

私は、もう少し先には、AIはWebを使うことに近づいていくと考えています。

今、仕事で分からないことがあれば、Webで調べます。

取引先の会社概要を確認する。商品の情報を探す。訪問先への行き方を調べる。

そのたびに、「今からインターネットを活用します」とは言いませんよね。

必要だから、自然に使っています。

AIもいずれ、それくらい当たり前に、仕事の中に入ってくるのではないでしょうか。

文章を書き始める前に相談する。

長い資料の要点を整理してもらう。

うまく伝わらない説明を、別の言い方に変えてもらう。

「AIを使うぞ」と身構えることなく、仕事を進める途中で自然に使う。

もちろん、いつ、どの職場でもそうなるかは分かりません。

それでも、あの経営者の一言を聞いて、私が思っているより身近なところで、変化は始まっているのだと感じました。


🤔 「使ったことがある」のに、仕事では使えていない

仕事柄、研修の前にアンケートを取ることがあります。

「AIを使ったことがありますか」

この質問には、多くの方が「ある」と答えます。

数字だけを見ると、かなり使われているように見えます。

ところが、実際に話を聞いてみると、一度質問してみたところで止まっている方も少なくありません。

触らないより、ずっといいと思います。最初に試したこと自体、大事な一歩です。

ただ、「答えを見て終わる」と「自分の仕事に役立てる」の間には、思っていた以上に距離がありました。

私は、その差を少し甘く見ていたのだと思います。

例えば、メールの文案を作ってもらったとします。

出てきた文章が、妙に堅い。自分の言い方とは違う。

そこで「やっぱり使えない」と閉じてしまう。

でも、そこで一言、続けてみるんです。

「もう少し柔らかくしてください」

「この相手には、そこまで丁寧でなくて大丈夫です」

「お礼は伝えたいけれど、大げさにはしたくありません」

そうやって、自分の仕事に合う形へ近づけていく。

最初の回答を、完成品だと思わなくていい。

ここが分かるだけでも、付き合い方は変わると思います。


📊 調べてみると、使われているのは身近な仕事でした

気になって調べてみると、マイナビ転職の調査がありました。

直近1年以内に転職した正社員700名を対象にした調査では、生成AIを活用している割合は全体で46.7%。

年代別では、20代が53.7%、30代が61.7%でした。

主な用途として挙がっていたのは、メール作成、報告書作成、情報収集・要約です。[出典:マイナビ転職の調査紹介記事/2026年8月掲載

※転職した正社員を対象とした調査であり、働く人全体や事務職全体の利用率ではありません。

私が目を留めたのは、数字だけではなく、その使い道でした。

メールを書く。報告書をまとめる。必要な情報を整理する。

どれも、普段の仕事の中にあることです。

さらに、Microsoftが2026年5月に公表した調査には、気になる結果がありました。

日本を含む10か国のAIを利用する働き手2万人を対象にした調査で、AIが仕事を担うにつれて重要になる人間の能力として、**「AIが出した内容の品質を確かめる力」が50%、「情報を吟味して判断する力」が46%**と、上位に挙がっていました。[出典:Microsoft「2026 Work Trend Index」

これは、採用の合否を調べたものではありません。

ただ、私には「AIを使える」の中身を考えるヒントになりました。

AIに頼んで、答えを出してもらう。その内容が正しいか、自分の仕事に使えるかを確かめる。

この確認や判断まで含めて、AIを活用する力なのだと思います。

だから、採用の場で自分のできることを伝えるなら、「AIを使っています」の一言で終わらせない。

何に使ったのか。何を自分で確認したのか。仕事がどう変わったのか。

そこまで話せると、「使える」の中身が伝わります。


🛠️ 明日から試せる、小さな4つのこと

「では、何から始めればいいのでしょうか」

難しい勉強から入らなくても、今の仕事で試せることはあります。

① 分からない言葉を、そのまま聞く

専門用語が出てきても、そこで止まらなくて大丈夫です。

「この言葉を、事務の仕事の例で説明してください」

それでも分からなければ、「もっと簡単に」「具体例を一つ」と聞き直します。

分からないことを上手に質問しようとして、止まらなくていいんです。

② やりたいことを、そのまま伝える

例えば、会議のメモを整理したいなら、こんな頼み方ができます。

次の会議メモを、「決まったこと」「担当者」「期限」「確認が必要なこと」に分けてください。書かれていない内容は補わず、「未確認」としてください。

「AIで何かしよう」だと、何を頼めばよいか迷います。

「このメモを、次にやることが分かる形にしたい」

自分が困っていることから始めると、頼み方も具体的になります。

③ 説明しにくいものは、画面を見せる

文章では説明しにくい画面や表もあります。

画像を読み取れるAIなら、画面の画像を添えて質問する方法もあります。

「この表示の意味が分かりません」

「この表を、見やすく整理したいです」

ただし、資料や画面を渡す前には、会社で認められたAIか、入力してよい情報かを確認します。練習なら、架空の名前や数字でも十分です。

④ 答えを確認して、使える形まで直す

会議メモなら、元の記録と照らして、決定事項や担当者、期限が合っているかを確認します。

メールなら、相手との関係や、伝えたい内容に合っているかを見ます。

合わなければ、修正を頼むか、自分で直す。

マイナビの調査でも、AIの回答に誤りや曖昧さがあり、最終確認に手間がかかるという声が紹介されていました。[出典:マイナビ転職・同調査紹介記事

だから、文章が速く出てきたことだけで判断しない。

確認や修正まで含めて、自分の仕事に役立ったかを見る。

そこまでが、仕事でAIを使うということなのだと思います。


📝 「AIが使えます」に、具体例を一つ添えてみる

一つ試せたら、何に使って、何が変わったかを短く残しておくと、自分のできることも見えてきます。

例えば、実際に会議メモで試したなら、こう説明できます。

「会議メモの整理にAIを使っています。決定事項と担当者を一覧にして、元のメモと照らして確認してから共有しています」

「AIが使えます」だけより、仕事の進め方が伝わりますよね。

時間が短くなったなら、実際に測った結果を添えてもいい。

数字がなくても、「何に使い、何を自分で確認したか」は説明できます。

大きな実績をつくろうとする前に、いつもの仕事で、繰り返し役に立つ使い方を一つ持つ。

まずは、そこからでいいと思います。


🌱 あの一言が、後から残った理由

「AIが使える人かどうかは、見てますよ」

もちろん、一人の経営者の言葉だけで、すべての会社がそうだとは言えません。

それでも、普通の事務職の採用で、その話がさらっと出てきた。

私には、それが印象的でした。

AIを使うことが、Webで調べるくらい自然になる。

そんな世界を、私は想像しています。

そのときも大切なのは、何を伝えたいのか、何を整理したいのか、出来上がったものが仕事に使えるのかを考えることなのだと思います。

今の仕事を知っているからこそ、AIに頼めることも、気づける間違いもあります。

最初から、何でもできる人になる必要はありません。

明日、いつもの仕事を一つだけ、AIと一緒に進めてみる。

皆さんなら、どの仕事から試してみますか。😊


最後までお読みいただき、ありがとうございます😊

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