「お付き合いできたら」と言われた、3回目のランチ

3回目のデートは、郊外のイタリアンへ。

これまでの2回は、彼の仕事やこれまでのキャリアについて話を聞く時間が多かった。

仕事のこと。
これまで経験してきたこと。
今取り組んでいること。

専門的な話になると、彼は本当に楽しそうに話す。

私はその分野の専門家ではないので、細かいところまでは分からないこともある。

でも、そんなことより、

「この人、本当に自分の仕事が好きなんだな」

ということが伝わってくるのが印象的だった。

これまで積み重ねてきた努力や責任。
一つひとつの仕事に向き合ってきたこと。

話を聞いていると、肩書きそのものよりも、
その背景にあるもののほうが気になってくる。

そして、3回目のランチ。

これまでより少しだけ、仕事ではない話も増えた。

私は、恋愛に関しては慎重なほうだと思う。

好きになるのにも、少し時間がかかる。

実際、今回も最初から「この人が好き」と思ったわけではなかった。

むしろ、もともとは誰かとお付き合いするつもりもなかった。

恋愛自体、もういいかなと思っていたくらい。

それでも、彼とはまた会いたいと思った。

一緒に食事をして、
いろいろな話をして、
知らなかった一面を少しずつ知っていく。

その時間が、自然と楽しかった。

そしてこの日、彼から

「お付き合いできたら」

と言ってもらった。

嬉しかった。

でも同時に、私はすぐに「はい」と答えられるほど器用ではない。

もう大学生で、手はかからないが私にも子どもがいる。
子どものことを一番に考えたいし、すぐに結婚を前提に誰かと付き合いたいわけでもない。

そのことは、以前から彼にも話していた。

彼は、その気持ちを受け止めてくれた。

急かすこともなく、

「まずは少しずつお互いのことを知って、一緒に楽しい時間を過ごしていけたら」

と言ってくれた。

その言葉が嬉しかった。

そして、もうひとつ。

この人のどこに惹かれているんだろう、と考えてみた。

私は、これまで積み重ねてきた努力や責任を尊敬できる人がいいと思っていた。

仕事ができて、自分の知らない世界を持っている人。

そういう人に惹かれる。

でも、プライベートでは、
自然と尊敬できて、安心して甘えられる人がいい。

そんなことを思っていた。

彼には、確かにそういうところがある。

でも、結局一番心に残っていたのは、意外にも仕事の話ではなかった。

以前、彼が話していた、僕も子どものことはいつも気にかけていて、ちょっと良いレトルトとかお土産とか詰め合わせて
「子どもに小包を作って送っている」
という何気ない話。

それが、なぜか一番いいなと思った。

仕事の実績も、これまでのキャリアももちろんすごい。

でも、子どものために小包を作って送る。

そういう何気ないところに、その人の優しさや人柄が出る気がする。

もしかしたら私は、そういうところを見ていたのかもしれない。

3回会っただけ。

まだ知らないことのほうが、ずっと多い。

だから、今すぐ答えを出す必要はないと思っている。

少しずつ知っていけばいい。

一緒に美味しいものを食べて、
お酒を飲んで、
たくさん話して。

その積み重ねの先で、

「この人と一緒にいたい」

と思えたらいい。

恋愛にもう一度踏み出すことに、まだ少しだけ不安はある。

でも、

「また会いたい」

と思える人に出会えたこと。

それだけでも、今はちょっと嬉しい。

3回目のランチは、
そんなことを考える時間になった。

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