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キャンプの夜、焚き火の横のradiko

薪がパチパチとはぜる音だけが、沖縄の夜の静寂に響いていた。

車のトランクからお気に入りのBluetoothスピーカーを取り出し、焚き火の傍らのテーブルに置いた。最初はスマートフォンのプレイリストを繋いで、キャンプの夜にふさわしいチルな音楽を流すつもりだった。頭上には星空が広がり、目の前には揺らぐ炎。そこに心地よい音楽が重なれば、完璧な非日常の空間ができあがるはずだった。

しかし、実際に音楽を再生してみると、どうにもしっくりこない。整えられたメロディや計算されたビートが、自然の静けさの中でひどく人工的に、無理に雰囲気を作ろうとしているように感じられてしまったのだ。そっと再生停止ボタンを押し、少しの間、炎の揺らぎと風の音だけに耳を澄ませた。

その時、ふと思いついてradikoのアプリを立ち上げた。今年からこのテントサイトにはStar linkが導入されていた。平たい衛星通信のアンテナのおかげで、街から遠く離れたこの場所でも通信は途切れない。radikoで番組を選び、再びスピーカーに繋いだ。

スピーカーから流れてきたのは、パーソナリティの気負いのない、他愛もない世間話だった。その瞬間、テントサイトの空気がふっと柔らかくほどけたのを感じた。

不思議なことだが、音楽であれほど「作られた感」を覚えたのに、ラジオから聴こえる人の声は、まるで焚き火の向こう側にもう一人、気心の知れた友人が座って話しているかのように、自然に風景に溶け込んだ。リスナーからのクスッと笑えるお便り、パーソナリティの相槌、そして時折挟まれる思いがけない選曲。それらは決して夜の空間を支配しようとはせず、ただそこに寄り添ってくれていた。

特別な夜だからといって、特別な演出はいらなかったのだ。ただ火を見つめ、遠く離れたスタジオから届く誰かの日常にクスリと笑う。それだけで、キャンプの夜は十分に満たされていた。ぱちん、と大きく爆ぜた薪の音と、番組のジングルが心地よいハーモニーとなって、煙とともに夜空へ吸い込まれていった。

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